more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

アーモンドアイ顕彰馬選出と制度設計について

アーモンドアイ、今年は無事に選ばれましたね。

 

得票数96.6%、200/207票を集めての選出ですからちょっと強迫的な印象も覚えますが。牝馬三冠を含んでの歴代最多G1・9勝、これだけで「競走成績が特に優秀であると認められる」でよいですものね。

JRAの発表はこちら。

www.jra.go.jp

 

競走成績をざっと振り返りました

すでにJRAHPの「競馬の殿堂」配下にはアーモンドアイのページができています。

www.jra.go.jp

阪神で1勝した以外は府中でのG1タイトルがずらりと並び、中山や阪神の中長距離では成績を残せなかった、という点だけにフォーカスするとウオッカと符合してはいます。

でもやはりウオッカとは別の存在感ですよね。安田記念で結果をだせなかった点は大きな相違点ですし、なによりジャパンカップの世界レコードが強いインパクトとして残っていますので。隔年でジャパンカップ制覇というのも牝馬の消長を考えると立派すぎるでしょう。

 

印象深いのは桜花賞ジャパンカップヴィクトリアマイル

桜花賞は鮮烈でしたね。当時はラッキーライラック中心でシンザン記念から直行のアーモンドアイがどこまで?という雰囲気でしたが、この一戦で一気にクラシックの中心になりました。

直線の頻繁な手前替えが話題になったことが当時の投稿にも色濃く反映されています。見解はいまと変わらず、走りの「幼さ」に由来するもの。古馬になってからの映像と見比べると手前替えは落ち着いていて、フォームにみえる柔らかさもパワーも変わってきていることがわかりますよ。

keibadecade.blog98.fc2.com

 

世界レコードのジャパンカップは凄かった。ロンジンの電光掲示板に2:20.6を確認した瞬間の鳥肌はいまでも覚えています。独特な高揚感がスタンドにあった印象ですね。

 

そしてアーモンドアイの走りの美しさを堪能するならヴィクトリアマイルでしょう。時計のでる良馬場でストレスフリー、直線でめいっぱいストライドを伸ばすチャンピオンが確認できます。

直線で一回だけヘンな手前替えがあるのですが、その理由について大胆に?邪推している過去の自分を見つけました。ご興味あるようでしたら。

keibascore.hatenablog.com

 

こうして名馬の走りを振り返る機会になるという意味でも顕彰馬選出は喜ばしいこと。長く語り継いでいきたい馬がちゃんと選ばれてよかったというのが率直な感想です。早く府中の博物館で目の当たりにしたいですね。

 

コントレイルが落選

一方で、2023年の投票では残念な結果も。コントレイルが初めて対象馬になりましたが、0.1%の差(=1票差)で規定の3/4得票に届かず(155/207票)、落選となりました。

昨年のアーモンドアイに引き続き、と端的に思ってしまいますね。史上3頭目の無敗の三冠、その後ジャパンカップを制した馬を4頭の選出馬のなかに加えられない競馬関係者ならば、そのキャリアと見識は疑われてもやむを得ないと思います。

 

対象から外れたステイゴールドへ投票した方がいるなど(公式のPDFからは訂正、削除されたようです)、そもそものルールへの理解がない投票権者もいらっしゃる様子。

何と言いますか、ベテランであるならそして競馬の付加価値でご飯を食べているのなら、競馬のもっている価値が棄損されないように、より高まるように投票しましょう、と言いたくなります。もう言ってますね。

 

顕彰馬投票ルールの私論

あらためて現行ルールを確認するのに、以下のブログ記事がとても参考になりました。丁寧にポイントがまとめられていて読みやすかったです。「日本中央競馬会顕彰規則」はWebサイトでは公開されていないようですので、なおのこと参考になりました。

gachach.hatenablog.com

 

そのうえで改めて以前のうるさい投稿を。

keibascore.hatenablog.com

 

当時から変わらず、以下の3点を現行ルールに追加すれば徐々に改善されていくものと考えているところです。

 

  1. 種牡馬繁殖牝馬の表彰部門を新設する
  2. 投票者は必ず1票以上を投票すること
  3. 過去5年で得票率10%未満の馬にしか投票実績のない投票者は、投票する権利を失う

…ちょっと変更を加えたいかな。「過去5年」は「過去3年」、そして0票ないし非投票者は即投票権を失う、…このくらい制限を設けておきたいですね。

 

1.の種牡馬繁殖牝馬という部門があれば、ステイゴールドキングカメハメハサンデーサイレンスノーザンテーストもめでたく表彰されていくことでしょう。基準次第という可能性もありますが、エアグルーヴシーザリオの選出も現実感がありますね。

 

その価値を後世に伝えるオーソライズドされた「仕組み」、これをもう少し整えてほしいという願望は個人的には年々高まっております。

 

最後に

欧米とも、ホールオブフェイムにそれなりの質と量で人馬が追加されていったり、名馬の名前を冠したレースが次々生まれたり、保守的な日本とはかなり異なる仕組みで過去の名馬を反芻する文化が機能しています。それだけオフィシャルに名馬の語り直しができるきっかけは多くなりますよね。

とはいえ、顕彰馬選出についてはただただ粗製乱造させるのではなく、妥当な選出に至る仕組みを改めて検討いただきたいと思っているところです。

 

思い余って、先ほどJRAHPにご意見を送信してしまいました。…いや、こういう意見も存在もめんどくさいんですよね間違いなく。

でも、妥当な馬は妥当な評価に至ってほしいなと。そのうえでサイレンススズカのような馬は顕彰の基準から外れても名馬、とか語りたいわけなのです。ほんと、面倒ですみません。