more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第68回 大阪杯と第73回 川崎記念

べラジオオペラが厳しい条件を制しました。

 

インコースが水分を含んで掘れる馬場コンディション、1コーナーまでのポジション争い、そして向こう正面でのローシャムパークの捲り。

向こう正面にはいったあたりまではスタニングローズの作る緩ペースだったんですけどね。残り1000mを待たずにペースアップしたまま、レースラップは持久力勝負だったことを示しています。それでも前が粘り切れたのは実力を示したと言えそうです。

 

やはり大阪杯は1コーナーまでに好位のポジションを取れる馬がしっかり立ち回れますね。それがわかっていての先行策。上村師とも見解が一致したうえでしっかり戦略を実行し切った横山和生の勝利でもありますね。

 

あとは風かな。どうやらローシャムパークは追い風で捲り、最後の直線を向かい風の中で粘って凌いだようです。差し馬からすれば脚元のわるい短い直線を向かい風を受けながら差し切る必要があったわけで。そう考えるとステラヴェローチェのパワー差しは注目に値します。

でもその向かい風を受けながら、そしてローシャムパークの捲りを受け止めながら、そのまま押し切った内容は力の証と言っていいように思います。

京都記念は本命だったんですけどね。少し狙うのが早すぎました。

 

公式レースラップ

12.4-10.9-12.5-12.6-11.8-11.5-11.5-11.4-11.4-12.2

 

1コーナーまでの攻防と明暗

昨年は本命だったスターズオンアースがスタート直後に両サイドの馬に前方の進路を塞がれて後方に置かれてしまったわけですが、今年はエピファニーにその役が回ってきてしまいました。エピファニーが中団につけられていたら、もう少し直線で見どころがあったようにも思います。

 

またソールオリエンスもスタートから少し進めたあたりで、地味にステラヴェローチェとキラーアビリティに挟まれる格好。ただこれはもうこの皐月賞馬の初速にウィークポイントがあるというべきなのでしょう。

キャリアのうち直線の短い中山と阪神のG1のほうが戦歴が多いのは何とも。今回も武史が向こう正面でローシャムをマークする積極策を示しましたが、それだけでは、ね。

4コーナーでインのジオグリフと併走していたはずが、直線入口ではひとつ後ろのプラダリアと併走。1頭外を回る難しさを体現してしまっていました。

個人的には痛んでいない馬場コンディションでの阪神2400m(外回りですね)でソールオリエンスの全開を観てみたいなぁなどと思いついております。

 

スタートダッシュが厳しいという点ではローシャムパークも同様。戸崎はそれも含めて1コーナーまでに馬群の外へ誘導しました。3着ルージュエヴァイユが13番枠からローシャムパークの前を横切って1コーナーまでに内ラチまでもっていくのとは対照的。双方の思惑が交錯した「X」の文字が馬群後方で描かれておりましたね。

 

本命はジオグリフ

ローシャムパークが捲ってきた時にかなり色めきたって観ていたのは私です。ええ、その捲りの影響でペースアップせざるを得ないスタニングローズ、べラジオオペラの直後で控えることができていましたから、力さえ足りていれば絶好位では、と。

北村宏司が馬群の真ん中でじっと立ち回る様は昨年の阪神ジュベナイルフィリーズと同様。あそこから伸びないかぁ。道中少し手が動いていたあたり、馬場かな。中間も当日の馬体もよく見えていましたし、自分の持ち味をしっかり活かせるレースはできたのだと思っています。

 

タスティエーラは厳しい内容で11着

パドック映像でおや?と思ったのがタスティエーラでした。フジの中継で井崎さんは「上品すぎる」という独特な表現をしていて興味深かったのですが、自分も同様の特徴を別の言葉で捉えていました。自分の印象は「首差しだけ力強い」というもの。

もともとシャープな馬体ですが、肩回りもトモもすっきり見えていてもうひとつ締まるなりパンプアップするなりという変化がほしいなと。結果、すらっとして見えますから「上品」という表現にたどり着くのもわかるなぁと観ておりました。

 

土日の計測とも11~12%という含水量。良馬場発表ですがほぼ稍重と同等の値ですので、それだけ水分を含みつつ掘れる馬場コンディション。そこに筋力に欠けて見えるさらりとした馬体。パワー不足が敗因だったかもしれません。もちろん持病のDDSPが影響した可能性もありますね。

 

スポニチの記事から当週の堀師のコメントを引用します。

21日の追い切り後は14日の後のように歩様に硬さが出なかったので、24日に坂路で軽め(4F57秒6)の調整を。直前はオーバーワークを避けるために、八分程度で伸ばす微調整をした。道中で余裕があるのか、耳が前へ向いて、内のコースの馬に気を取られたり物見をしていた。改善の余地はあるが、できるだけ集中させるように努めてきた

…他の要素への配慮から、タスティエーラの心肺機能に十分な負荷がかかっていなかった可能性が推察されます。このあたりが順調にこないともう一回り強くなったダービー馬を見ることは難しいように思いました。陣営の苦労を察しているところです。

 

大阪杯の立ち位置

G1昇格当時から言われていたことではありますが、ドバイミーティングの真裏に当たりますので、一線級の中距離馬は高額賞金込みで遠征に出てしまいます。でも、これを前提に国内のローテーションを云々するのも微妙ではないかと。

サウジカップの投稿でも記していますが、結果として日本馬の層の厚さを示すことができればそれが理想ではないかと思います。べラジオオペラ、ローシャムパークはそれにあたるだけのパフォーマンスを示してくれたのではないでしょうか。

 

今後のG1でドバイ遠征組と対戦した時にどんな競馬が見られるか。そうした楽しみを増やしてくれる大阪杯と考えたほうが、ファンとしてはよりレースを堪能できるように思っています。

…ドバイミーティングが開催されずに走れなかったゴールドアリュールを思い出してしまうのもこの考えの背景にはありますね。

 

川崎記念はライトウォーリアの逃げ切り

川崎記念も合わせて書いておきたいと思います。ライトウォーリアが見事に逃げ切りました。川崎所属の馬の勝利はエスプリシーズ以来といいますから、それは古いよと端的な感想がもれましたね。

レース結果はこちら。

www.nankankeiba.com

 

公式レースラップ

6.9-11.1-12.7-13.7-12.5-12.8-13.6-12.3-12.6-13.4-13.9

 

レース後半は持続力勝負に

アイコンテーラー松山の判断はわるくなかったと思います。2周目の向こう正面で早めに逃げるライトウォーリアを捕まえに行く仕掛け。3、4コーナーでこれを捲り切らせなかった吉原のペース配分と判断が一枚上手だったというべきなのでしょう。

 

レースラップをみるとかなり加減速幅の大きい逃げだったことが窺えます。13秒台を計時しているところは1周目の4コーナー付近と2周目の2コーナー付近。コーナーでしっかり減速させている様が見て取れます。

その減速は非常にうまく折り合えた中で実現できているように見えるんですよね。最初の3、4コーナーでしっかり馬の首を抱えるようにして減速を試みる吉原の姿が確認できます。

1周目のスタンド前、少し首を振って行きたがるアイコンテーラー、対して軽く手綱を動かしながら追走するノットゥルノやグロリアムンディ。
鞍上の描くペースと鞍下の反応を嚙み合わせに苦心するライバルとは対照的な操縦性を、勝った人馬には感じ取ることができます。

 

前が早めに仕掛けた分、直線は全馬が我慢比べになりました。いや、グランブリッジとディクテオンだけは差す力を発揮できていたように見えますね、上がりタイムをそれを裏付けているでしょう。でも、これまでの人馬の経験が逃げ切りを実現させました。

…一昨年の東京大賞典は本命だったんですけどね。少し狙うのが早すぎました。

 

ノットゥルノとセラフィックコールは適性が合わない印象

左回りの不安が解消されないノットゥルノ、今回は出来もよいし自身のペースで立ち回れると踏んでの本命視でしたが、やはり左回りに難しさがあるのかな。

府中を1度も使っていないので「左回りの小回り」が苦手という可能性もあるかもしれません。コーナリング性能を左回りで求められると厳しいという決め打ちで予想に臨んだほうがよいように思えてきました。

 

セラフィックコールは、少し締まった馬場コンディション、自身の大きなストライド、そして小回りコースの内枠スタート、このすべてが最悪の相性のわるさを示しての敗戦と理解しています。

条件戦を連勝していた頃はそうした不器用さとミルコの捲りに相性のよさがあったわけですが、今回はいわゆるデバフ効果ばかり発動してしまった格好。引き続き順調なら平安Sあたりでしれっと巻き返してくるかもしれません。

 

川崎記念の立ち位置

今年から4月初旬に開催時期が移動、古くはホクトベガから、近々ではウシュバテソーロに至るまで、ドバイ遠征の壮行レースという役目を果たすことも多かった1月開催から、別の立ち位置に変化することになりました。…そうですね、川崎記念にナイターのイメージがないですしね。

大阪杯高松宮記念と同様に、ドバイ遠征のほぼ真裏。こちらもダート路線の層の厚さを示してくれるのがベストですが、マイルの強豪と中距離チャンピオンが相互に乗り入れて交流重賞で競っている状況ですので、なかなか層にはなりにくいでしょうか。

 

現状はウシュバテソーロやデルマソトガケといったアメリカ産の上位馬と互角に渡れる馬がいる分、分散しているようにみえる、と理解することもできそうです。

フォーエバーヤングのように海外を転戦する前提で中央に所属する3歳もいますしね。3歳ダート路線の整備による中央と南関東の棲み分けも、数年スパンで川崎記念の存在感に一定の影響を与えるように思っています。

 

個人的には寒さに耐えながら観るのが川崎記念のイメージですので、まずその先入観を改めないといけないですね。あと1、2週間あとに開催されるとスギ花粉の影響を気にせず現地観戦ができるのでそれは希望しておきます。ほんとに死活問題なんですよ。

 

最後に

年度明けの週明けから仕事で仙台におりまして、花粉症が終わらぬうちに風邪をもらって帰ってくるという厳しい週中を過ごしていました。アレルギー反応なのか寒さなのか、断続的なくしゃみがつらいですね。。。寒暖差アレルギーもあるように自覚しております。

ようやく上向いた体調でこの投稿を書いておりますので、ドバイミーティングのとりまとめはもう少し先でしょう。自分なりに感じたことはそりゃあありますので書いておきたいと思っています。なによりルメールの早い回復を祈っております。

 

さて、桜花賞JRAのシステム不具合から枠順発表が遅れていましたが、それに関わらず難解なメンバーになりました。クイーンズウォークの走りは直接観ている分、鮮烈ではあるのですが、内枠スタートからうまく立ち回っているイメージがあまり湧いておらず。。。リバティアイランドはあくまで例外的な存在ですからね。

気になっているのはそのクイーンズウォーク、スウィープフィート、アスコリピチェーノ、ライトバック、テウメッサ、マスクオールウィンあたり。展開などはこれから検討ですのでいろいろ前後しそうです。

 

そうそう、出走馬のうちディープインパクトの血を引く馬がキズナ産駒の2頭だけ、母父ディープインパクトは0頭という事実に少し驚いているところ。現在BMSのリーディングですからね、ライトウォーリアが母父ディープで結果をだしていますし。

個人的にはトモの容積がポイントなのかなーなどと素人見解をもっていますが、今回の桜花賞では予想のファクターにはなりませんしね、ゆっくりピントを合わせていければと思っています。