more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第73回 安田記念

ソングライン、見事な連覇達成となりました。強かった。

 

直線目いっぱい使って末脚を伸ばし切りましたね。インで我慢したセリフォスも道中ひとつ後ろで待機していたシュネルマイスターも押さえてのゴールイン。道中のペースもポジションも受けに回って直線を迎えるあたりは、継続騎乗だった戸崎の特徴ともよく合致していたという印象です。

懸念されていた大外枠ですが、3、4コーナーの馬場悪化を避ける外々の追走になりましたからかえってよい条件だったかもしれません。内枠だったら全く異なる展開で、おそらく苦戦していたのではないかと。終始スムーズに進めることができたように見えています。

 

セリフォスはソダシとジャックドールを交わすのに苦労していましたし、シュネルマイスターはどうしても序盤でポジションが取れないですし。テンよし中よし終いよし。勝ち馬をほめるべきでしょうね。

 

公式レースラップ

12.0-10.8-11.4-11.8-11.6-11.1-11.2-11.5

ジャックドールの頑張りに注目して2015年のモーリスのラップを。

12.4-10.8-11.1-11.6-11.4-11.2-11.3-12.2

 

馬場コンディションは週末の降雨で回復途上

安田記念の週末は、金曜から土曜の朝にかけてまとまった降雨。土曜の朝は不良馬場でスタートして重までは回復、日曜はやや重スタートで午後いちに良へ回復しました。

ただ、乾きながらレースを使っていますからね。徐々にインが掘れるコンディションに変わっているのは見て取れました。当日は外差し傾向にはあったものの、インを選ぶ人馬もそこそこ。

掘れた馬場はインから乾きますからね、その変化を読み取るのが難しいと感じながらの予想になりました。

 

外枠からウインカーネリアンの逃げ

ケレン味ない逃げ、という表現がふさわしい皇成のスタートダッシュがみられました。外枠かつ先行するであろうジャックドール、ソダシ、メイケイエールが内枠ですから、場合によると控える判断?とも思っていましたが、持ち味を活かすには、という判断だったのでしょう。

ジャックドール、ソダシは好スタートからウインカーネリアンを前に迎え入れつつ、ペースを深追いしない格好。ウインカーネリアンの作ったペースに乗る形をつくりました。

なお、レース後の報道では、メイケイエールはレース中に蹄球をケガしていたとのこと。患部はざっくりいっていたそうで、おそらく他馬に接触したのでしょうね。いつものポジションや行きっぷりでなかったのはこのためかもしれません。

 

ジャックドールは100%を発揮した5着

そういえばモーリスはどんなレースをしていただろう、と思い当たって2015年の映像を観てみました。3番手から早め先頭でそのまま押し切るという展開、ジャックドールとかなり近しいレース運びでしたね。

モーリスの方が前傾気味で突っ込んだラップなのですが、かえってそれが活きたラスト1ハロンの粘りのように見えています。そのラスト1ハロンの粘り込みに初のマイル戦という状況も含んだ、ジャックドールとの差があったように感じますね。

 

武豊のジョッキーカメラの上下動がめちゃめちゃ少ないのもTLをざわつかせていましたが、レジェンドのヘッドワークをしてもここまでだったか、というのが正直な感想です。

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セリフォスは自分のタイミングでスパートできず2着

インから掘れていった馬場コンディションと内枠のアンマッチを受け止めざるを得ない展開だったとみています。レーンはスタートから下げずに、むしろポジションを取りに行きました。

ガイアフォースより前、ジャックドールの後ろ。ジャックドールとの距離を空けながらの追走でしたが、3コーナー少し手前でかかり始めてしまいました。3、4コーナーを破綻なく乗り切ったのはレーンの手腕と思います。

 

が、直線にはいってなおジャックドールが眼前に。待って待って、ジャックドールの内を狙って仕掛け始めましたがジャックドールが十分な間隔を与えず、外へ切り返してソダシとの鍔迫り合いになりました。

5、7着に粘る先行馬に囲まれながら直線に向いたわけですから、その後ろから進路を確保するまでに苦戦するのはやむなし、ですね。

 

競馬ブロスというグリーンチャンネルの新番組でゲスト出演していた福永が、馬が前方を気にする点に触れていました。ダービーのソールオリエンスの解説で話していたのですが、スパートするにも前方(斜め前方)に近接して馬がいると、気にして全力で踏み込めないとのこと。それはひとでも同じように思いますね。

この安田記念でいうと、セリフォスとガイアフォースが前方をクリアにして全開スパートにするまでに苦心したように見えています。インから捌く差し馬はこうしたリスクも背負うことになりますね。

 

ソダシは他馬の目標&馬場コンディション&テン乗りの影響?で7着

ジャックドールのひとつ外で3番手、ポジション的には絶好位を取れたわけですが、直線は粘り切れませんでした。3、4コーナーで馬場が掘れたイン寄りを通らなくてはいけなかったのが堪えた面もあるのかな。

少なくとも先のセリフォス然り、他馬の目標になるポジションではあったでしょう。昨年のヴィクトリアマイルもほぼ同様のポジションから突き抜けましたから、牡馬と競り合うフィジカルやメンタルという点で安田記念とは異なる要求度があるのでしょうね。

 

川田との初コンビですが、仕掛け方に吉田隼人との差があったように思います。ソダシのエンジンが直線に向いてすぐかかっているのは同じですが、川田の方が早くに「腰を入れる」といいますか、ギアをあげにいくのが吉田隼人のそれより(昨年のヴィクトリアマイルより)早いように感じました。

全力をもとめるタイミングが早い分、失速が始まるポイントも早かったのかな、と邪推をしているところです。このあたりがテン乗りの難しいところですね。決して明らかに失敗しているわけではないですからね。

 

直線半ば、失速気味になったあたりでセリフォスの急接近にのけぞるような所作。どうやらそこでソダシの集中は途切れたようです。戦意を失ったという言い方でもよいかもしれません。秋に向けて少しだけ心配な材料だなと思っているところです。

 

ソウルラッシュはスタートで後手を踏んで9着

出負け気味のスタート、ポジションを下げたところからレースに参加した形になりました。この時点で正直厳しいと思っておりました。

松山は向こう正面でいったん外のコース取りを探っているようでしたが、そこにはシュネルマイスター。そのまま外に拘った場合、ルメールに被せられて直線でシュネルマイスターより仕掛けが遅れる可能性があったでしょう。インに切り返したのは、その場の判断としては妥当だったと思っています。


ただ、後方かつ馬場のわるいインで3コーナーを迎えることになったのはアドバンテージとは言い難く。

おそらく4コーナーから直線にかけて外へ出していく進路をイメージしていたものと推察しますが、直線にはいってからは加速に手間取るガイアフォースが前方にいてその結果、馬場のわるいインへインへ切れ込むことになりました。…つらい展開でしたね。

そもそも直線いつもの伸びが見られなかった印象もあり。馬場だけの要因ではないように感じているところです。道中力んだ面もありましたね。

 

予想の段階では中団につけられて3、4コーナーで外目の進路を確保すればソングラインのような競馬になるのでは、とイメージが膨らんでおりました。そこまでには至りませんでしたね、残念です。

 

最後に

場合によると府中でソダシがみられるのはラストかもと思い至り、当日はパドックで出待ちをしておりました。ええ、どミーハーですね。いやー、シンプルに白かった。

でもこの白さをキープするために今浪厩務員が苦心されていたわけですので。定年前の最後のコンビ。おつかれさまでした。合わせて目撃してまいりました。

 

一方、スマートシートエリアの立ち入り厳格化が進んでしまったことでこれまでの観戦スタイルに弊害が。

これまではスタンドの少し高い位置まで階段を登って返し馬を俯瞰していたんですよね。複数の馬を同時に視野に入れることができるので、かなり有用な観察ポイントでした。それが指定席が当選しないとできなくなってしまったのが何とも痛手で。

 

地上波や場内の馬番順の紹介ではとても全馬の「下ろししな」の様子は追い切れないですからね。定点カメラで返し馬を映す配慮もみえているのですが、そろそろドローンカメラの導入検討をお願いできないか、などと思ってしまっております。

以前からどのジョッキーも「返し馬が大事」とコメントするわけですからね。観る側にひとつひとつの意味がわからなかったとしても、その様子が楽しめる状況はつくっていただきたいところ。中継のカメラワークにはぜひご一考お願いしたいです、はい。