more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第84回 桜花賞

ステレンボッシュ、モレイラが上手く導きました。

 

4コーナー出口でインからアウトへ展開。矯正しながら運んでいたアスコリピチェーノが直線を待たずに左手前に変えて膨らんだタイミングをモレイラは見逃しませんでした。サッカーでいうなら肩をいれて相手をブロックする程度のインターフェアではない接触。コーナーで膨らみながらですから、セーフティな範囲内でしょう。

 

アスコリピチェーノは9番、ステレンボッシュは12番。スタートで後手を踏んでいたのはステレンボッシュでしたが、その後3コーナーまでにインへ潜り込んでいるんですよね。

アスコリピチェーノの真後ろは安全なポジションではあるわけですが、前走はそこからアクセルを吹かすタイミングが後手に回っていましたから。モレイラ含め陣営がもうひと工夫と思っていた可能性はありそうです。

もしモレイラが4コーナーの出口の進路取りから逆算してインを狙っていたのであれば、めちゃめちゃすごい先読みですけどね。個人的にはアスコリピチェーノより位置取りの不利を消しておくための判断だと思っています。あのペースでそれより外ではまた届かない結果になる可能性がありますからね。

 

4コーナーでついた差はそのまま埋まらず。終わってみればこの世代の中では阪神ジュベナイルフィリーズのレベルが高かったことを証明するような結果となりました。

 

公式レースラップ

12.5-10.8-11.2-11.8-11.8-11.4-11.2-11.5

昨年の阪神ジュベナイルフィリーズのラップも。似た推移ですね。

12.4-10.7-11.3-12.0-11.8-11.3-11.4-11.7

 

外差し傾向が強くなっていった馬場コンディション

ひとつ前のダイワスカーレットカップは、エーデルブルーメの外差しが決まっていました。ピンク帽ということもあったのでしょうが、川田は直線で外に展開していましたから外枠をそのまま活かした格好。

内枠に人気馬がいなかったこともありますが、着順によらずインから伸びる馬が見当たらず。そして外を選んだ勝ち馬が33秒台で上がっているだろうこと(その時点ではレースの上がりからの推測)、そのあたりを踏まえて直線外に展開できる有力馬に焦点を合わせることにしました。

 

そういえば、エーデルブルーメは福永厩舎。時間差で厩舎初勝利ではありませんでしたが川田将雅×福永祐一のコンビでは初勝利。表彰台を調教師がまちがえてジョッキーが激しく突っ込む場面もみられましたので笑、順調な滑り出しといえるのでしょう。

 

アスコリピチェーノは惜敗2着

3コーナーにはいるあたりでセキトバイースト、チェルヴィニアと順に前にはいられるけん制を受けて手綱を引く場面がありました。3コーナーではそれを持ち直すために少し手綱が動く場面も。スムーズにクリアしたい場面でリズムを崩す展開がありましたね。1番人気の宿命といえそうです。

4コーナーをきっちり回っていれば、というタラレバが聞こえてきそうですが、阪神外回りで直線的なコーナリングをする際に逆手前になるケースは珍しくなく。加速を促した際に膨らんでしまうのはやむを得ないところでしょう。まして4コーナーではステレンボッシュに手ごたえが見劣る状況。無抵抗でチェルヴィニアとの間を割られるわけにはいかないでしょう。加速に手間取るなかでのワンテンポ早い手前替えは、ある意味必然の事象と言えるように思います。

 

このあとはオークスではなくNHKマイルカップ。走りから見てそうだろうなーと思っていましたが、サンデーレーシングの会員向けサービスという観点とも合致したでしょうか、この路線分けが奏功するように思います。

そういえば、と改めて血統表を見て、ああと受け取りなおしました。リッスンの孫ですね。リッスンの仔というと、自分はタッチングスピーチが思い浮かびます。父ディープということも、脚長でコンパクトなトモを含めたシャープな馬体というイメージ。

一方のアスコリピチェーノは、ここにデインヒルダンサーダイワメジャーと重ねてのパンプアップですから、中距離で切れるというよりマイルを前受けできるイメージが強くなります。メジャーエンブレムも、こちらはオペラハウス経由ですがサドラーズウェルズを母系にもつ父ダイワメジャーNHKマイルカップの必勝パターンのひとつのように思えてきました。

なお、リッスンの仔ミスタージーティーがこのあとの皐月賞に出走。父ドゥラメンテ、こちらはもう少し切れに寄った、また異なるタイプというイメージでいます。

 

ライトバックとスウィープフィートのけん制

坂井瑠星と武豊のけん制は見ごたえがありましたね。基本は閉じ込める瑠星とむしろインに拘る武豊という構図でした。

チューリップ賞のラスト1ハロンを切って、スウィープフィートは脚色がグッと鈍っていたんですよね。このあたりの力強さというか息の長さは祖母よりもひとつ見劣るように認識していました。武豊TVでも最後に脚があがったとコメントしていましたね。

そこから武豊が大外をぶん回すイメージはあまり湧かず。もちろん他馬のスキがあればすぐにポジションを奪っていたでしょうから、瑠星(とマスクオールウィン津村)の4コーナーの回り方は見事なそれでした。

 

ライトバックは前走エルフィンSで何とか後方でなだめることに成功。これを崩すわけにはいかないでしょうから、おそらく思い切った待機策でどこまで着順をあげるかという作戦が濃厚かなと推察していました。その分買い目からは外したのですが(大外一気は難しいと思っていました)、だいぶ1、2着馬に迫りましたね。

 

スウィープフィートも直線入口で進路がなくなってからの進路読みがもうすばらしい。その考察は金色のマスクマンさんに同意するところですので、以下にて。

note.com

 

クイーンズウォークは内枠とトラックバイアスにスポイルされて8着

見事な馬体だったんですけどね。その素材のよさと現段階での仕上げとを信じて本命だったのですが、いくら川田でも2番枠から取り得る戦法は限られていたようです。どうやらできる限り前で運ぼうとしたようですけどね。

好スタートから下げずに流していきましたが、ひとつ外枠のイフェイオン西村淳也が先行したいけどできなくて下げるわけにもいかない、というような間をつくりながらクイーンズウォークと併走。これで川田は外へ展開するチャンスを逸することになります。では西村は上手くいったかというと、キャットファイトに前にはいられ、1頭外へ切り返したらコラソンビートに前にはいられ、行き場をなくして口を割ってしまいました。…クイーンズウォークはこれにお付き合いせざるを得ませんでしたね。

 

外差し傾向のなかで川田の馬群の捌きに期待する面があったのですが、こればかりはどうしようもなく。上記のように書きましたが西村もそれ以上ペースを深追いしたら自滅でしょうしね。

もともとオークス向き、という陣営の言葉を信じて、府中での再会を楽しみにしようと思っています。

 

チェルヴィニアは噛み合わずに惨敗

チェルヴィニアは久々と大外枠と気性とムルザバエフがかなりのアンマッチという印象でした。ルメールで結果を出した馬の折り合い、ですから、それまでが上手くいきすぎていると考えるべきで、やはりかなり要注意ですね。

見た目的に無難なポジションに収まっていますが前に行き過ぎている印象。案の定といいますか、直線は脚色がなくなってしまいました。「4コーナーまではいい形ですすめられたが」というレース後のコメントでしたので翻訳のニュアンスもありそうですが、やはりアンマッチだったのかなと思っています。

 

最後に

もう皐月賞の直前なんですよね。今朝は中山競馬場まで行ってきまして、献花台前で記帳を済ませてきました。藤岡康太の事故についてはこの週中、なかなか気持ちが取りまとまらず、少し間をおいて言葉にしようと思っています。

 

皐月賞についてはいまのところですが、いろいろ検討した結果、1週前の康太の追い切り内容を信じてジャスティンミラノ本命のつもり。

…冷静に能力比較や展開を検討したつもりですが、やっぱり情緒がはいっているかな。これでジャスティンミラノだったら泣いてしまうかもしれませんね。