more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第54回 高松宮記念

マッドクール、ナムラクレアの追撃を凌ぎ切りました。

 

坂井瑠星はスタートからかなりアクション大きくプッシュしていましたが、ちらっと右側を見てから手綱を控えてスピードのコントロールに切り替えました。

ここで深追いをしない判断、事前に想定していた展開だったのでしょう。簡単に逃げ馬を前に入れないように、でもオーバーペースにならないように。個人的にはこの瑠星の判断が隊列と展開を決める、そして勝敗の大きなポイントになったと思っています。2ハロン目が10.8ですからペース判断としても妥当ですね。

 

おそらくですが、あの右側へ視線を送ったタイミングで、ビクターザウィナーのスピードの乗り方とテイエムスパーダがいないことが確認できていたのではないでしょうか。これは自分の前方にどの馬がはいるのか、あるいは自分が先頭をとるべきなのかを見積もる情報になっていたはずです。

馬場も込みで、この前半の局面でレースをコントロールしていたのは瑠星だったかもしれません。マッドクール自体がラチを頼るタイプという点から、ただ自身の走りと縦のポジションに集中していた可能性もありますけどね。

 

「自分がここでこの動きをすると周囲にはこういう影響を及ぼす」というフィードバックと作為があったうえで、あの進め方を選んでいたなら。自身がおこすバタフライエフェクトの影響範囲を十分に理解しての一連のアクションだったとしたら。

90年代~00年代前半くらいの武豊は、そうした自身の影響力をわかったうえで戦略を立てていたはずですから。ひょっとしたら、すごいジョッキーがまさに成熟していく様をちょうど目の当たりにできているのかもしれません。

 

公式レースラップ

12.5-10.8-11.6-11.4-11.0-11.6

昨年のラップも。今年は重、昨年は不良でしたね。

12.5-11.3-11.8-11.6-11.9-12.4

 

馬場読みがもう難しい

当日9Rの大寒桜賞はキタサンブラック半弟のシュガークンが逃げ切り。2200mの道中で13秒台が4回登場する相当なスローペースから、ラスト3ハロン12.6-11.3-11.7という直線だけの競馬に持ち込んでいました。

その直線は武豊が内から4、5頭目にもちだしながらのスパート。馬場コンディションを確かめていたように見えていましたね。

実際、そのあとのG1で逃げて3、4着だったビクターザウィナー、ウインカーネリアンもほぼ同様のコース取り。香港のリョンもよく観察して分析しての進路取りだったと思っています。

 

でも、内ラチ沿いなんですよね。2着ナムラクレアも5着ロータスランドも、3、4コーナーは内ラチぴったりのコース取り。このコーナーで1頭分外をまわることがどれだけのロスになったのか。馬場にスポイルされたのは差し馬というより外を回した馬だったように思っています。

こうなると内枠を引いているアドバンテージが顕著ですよね。一見すると掲示板に2桁馬番が3頭はいっていますが、3、4、5着馬はそれぞれ、スタートから馬群を避けてプッシュして前をとるか、スタートから馬群を避けて引いて内ラチを目指すか、という極端な競馬を強いられていますから。1、2着馬が後続に着差をつけたのは馬場をこなしたことと同じくらい、内枠が奏功した面があると思っています。

しかしあれだけ掘れていて、勝ったマッドクールは33.7、2着ナムラクレアは33.2で上がっていますからね。うーむ、難しい。

 

ナムラクレアは3度スプリントG1に届かずの2着

ネガティブな予想はいい意味で裏切られました。パドックは決して良く見えなかったんですよね。内ラチ1頭分が伸びる可能性を感じつつも、差し馬がスポイルされるイメージがどうしてもぬぐえず、そこにパドックの印象が加わって大きく評価をさげる判断に。

 

いやー頑張りました。パトロールビデオでみると直線マッドクールのひとつ外にだしてから、右鞭をきっかけに内に寄れ気味なんですよね。そこがなければ、という分析を目にしていまして、まぁ着差が着差だからそりゃあねと共感は覚えた次第です。

でもここまで連れてきたのが浜中ですからね。直線にはいってすぐの右鞭はマッドクールとラチの間を狙った戦略的なものと見受けられますし、前半のスピードをもとめずにこの馬場で差し勝負に徹したことも、この鞍上との長いコンビだからなせる思い切りよい判断だったことでしょう。

結果だけが伴わなかった。残念ですね。スプリンターのピークはそんなに長くないなと思うと余計に、ね。

 

サンデーレーシング、全G1制覇の大記録

オーナーとして、この高松宮記念ですべてのJRA・G1勝利したとのこと。ちょっとした酔狂で、各G1を初制覇した馬を並べてみることにしました。参考にしたのはサンデーサラブレッドクラブの重賞一覧ページ、以下から閲覧できます。

www.sundaytc.co.jp


以下、順にG1レース名、初めて勝った所属馬、勝利年です。

注釈的に。ホープフルSはG2時代にハートレーが制していますが、ここは格付けを優先しました。またレッツゴーターキンは前身というべきでしょうか、日本ダイナーズクラブ名義の時期の記録でしたので、それを除いて遡りました。

 

…こうして並べてみると、ブエナビスタヴァーミリアンはえらかったなぁというのが率直な感想です。特にヴァーミリアンは黎明期から発展期というべき時期を支えたように見えますね。

 

また別の視点ですが、古馬短距離G1を制する時期が他のG1に比べて遅いのも特徴的です。ヴィクトリアマイルブエナビスタを除くと2021年グランアレグリアまで待たなければいけませんので。

早熟性があって強い中距離馬を指向する(=クラシックを目指す)日本の競走馬生産の特徴がトップオーナーのG1成績にも反映されているのかもしれません。手元調べですが、クラシック最多勝皐月賞(5勝)ですので。

 

…少しまとめが過ぎた語り口かな、G1最多勝阪神ジュベナイルフィリーズの7勝なんですよね。中距離血統でも能力で獲れるG1、とでも解釈しておきましょうか。

 

重馬場スポイル

トウシンマカオ、ビッグシーザー、ママコチャ、メイケイエール、ルガル、ディヴィーナ、ウインマーベル。有力馬は軒並み重馬場に能力をスポイルされてしまいました、というしかないでしょうね。

 

特に、という見え方をしているのがソーダズリング。調教助手さんのコメントが重馬場への適性のなさを物語っています。一部引用しますね。

news.netkeiba.com

スピードに乗った時にトモがすごく入ってきたんです。「うわっ!」と思うくらいで、トモが入ってきて背中が使えて首も振る、というトモからの繋がりでどんどんスピードが上がってくるような感覚でした。

トモ=後ろ脚が深く入って、そこから背中の柔らかさで全身が連動して動くわけですから、滑ったり脚がとられるような重馬場は深いトモの入り(=大きく後ろ脚を振り上げる)からのスピードアップを阻害する要因と推察できます。持ち味を発揮できなかったと考えるのが自然でしょうね。

 

ルガルは馬場だけではない印象。ギアチェンジで勝ってきたタイプではないでしょう。もっと前半流れてほしかった、前後半イーブンか前傾ラップがほしかっただろうと思っています。

 

メイケイエールラストラン

あの大きくて柔らかいフットワークにもっと筋力がついていれば。おそらくあの気性でなければ、もっと攻めたトレーニングができたのではないかと、勝手な思い入れをもってパドック中継に映るスラッとした馬体を眺めておりました。やっぱり惜しいなぁと。

 

結果的にゲートが開いてから力を抜いて走ることは覚えられませんでした。緊張からなのか興奮からなのか、いずれにしても前の馬を追い抜くことに異常な集中力を発揮する馬でしたね。

ユタカさんが乗ったチューリップ賞、ノリさんが乗った桜花賞は象徴的でしたね。パトロールビデオでみると前進しようとする意思が強すぎて、手綱を押さえる力を上回った首の力が横に逃げている様がよくわかります。

 

その不器用さから愛されるキャラクターへイメージが昇華しましたが、持ち上げるファンの無責任さと大成されることができなかった陣営の思いを考えると、なんとも複雑な心持ちで見ておりましたね。

でもそのあたりも乗り越えたうえで関係者は引退式に臨まれていたように思います。なにより馬は常に一生懸命走っていましたよね。おつかれさまでした。

 

最後に

すでにドバイの地で有力馬のトレーニング映像や関係者のコメントなど、続々と情報が舞い込んできています。何より枠順が決まっていますからね、これからじっくり予想にも取り組めますね。

もっと早く高松宮記念を書き上げてサウジカップデーの投稿に臨みたかったのですが、うーんギリギリかな。ドバイへ向けた復習にもなるでしょう。あまり時間をかけられなさそうですが、頑張ってみようと思っています。