more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第80回 皐月賞

コントレイル、無敗の皐月賞馬となりました。

ひと呼吸おいてからの4コーナーの大外捲り。2コーナーのポジションに「これは大変だな」と思った鞍上。聞いたこちらもその見立て通りと思いましたし、それにしては慌てずに向こう正面でインからアウトへ対処したベテランの余裕もいい意味で感じました。

3コーナーのコーナリングを利用してダーリントンホールを内から押圧する形をとっていましたが、これも鞍下に脚勢があってこそ。一番外に誘導してからの捲りは他のライバルを圧倒していましたね。大外に展開したのは選択肢が限られてしまった消極策とも取れますし、外差し傾向を読んで取った鞍上の積極策とも受け取れます。でも、この不利のない誘導があれば、コントレイルには十分なのでしょう。強い1冠でした。

公式レースラップ

12.2-11.3-12.1-11.8-12.4-12.9-12.2-11.9-11.8-12.1

前日の雨で難しい馬場、キメラヴェリテの逃げ

土曜の日中にまとまった雨が降り、日曜当日は晴れ。メインに向けて馬場が稍重まで回復しましたが、どうやらインが伸びない外差し傾向に。さらにレース前から直線はかなり強い向かい風。これを読みながら隊列をイメージするのはなかなか難儀でしたね。

ウインカーネリアンの外からキメラヴェリテがハナを主張して1コーナーへ。外枠を引いたビターエンダーはもう少し前で運びたかったでしょうか、3番手となりました。

藤岡康太の味付けは2コーナーの11.8でしょう。少しラップを上げて後続を引き離してから、向こう正面を目いっぱい使ってじりじりと溜めを効かせました。3コーナーからの加速ラップと合わせて、持続力を求めやすい流れを作ろうとする意図が伝わりますね。

3コーナーからの加速勝負、他馬を凌駕したG1馬2頭

残り400まではキメラヴェリテのラップ。じりじりと上がるレースラップに外を回した馬の鞍上は順々に手が動いていきます。加速勝負と書きましたが、促し続けないとスピードが維持できない、パワーをともなう持続力勝負といえる流れになりました。

馬場のわるいインで我慢したサリオス、大外をぶん回したコントレイル、結果的にG1馬の2頭が他馬を置き去りにしました。サトノフラッグの後ろで加速のタイミングが遅れ、かつ直線外に流れていったガロアクリークが3馬身以上離れた3着ですから。2頭が抜けて強かったですね。

コントレイルは今季緒戦でG1制覇

昨年のサートゥルナーリアに続き、前走ホープフルSからの皐月賞制覇。これまではノーザンファーム陣営がトライアルをスキップし外厩調整でG1へ望んできましたが、コントレイルはノースヒルズ産。大山での調整から3月下旬に帰厩して結果を出しました。2着のサリオスも朝日杯以来ですし、もはやトライアルの価値は相対化されたといってよいのでしょう。

ピーキングに関する考え方も昭和の頃とは格段に変化しているはずで。このあたりは昨年のグリーンチャンネルの番組『平成競走馬進化論』の内容ともリンクしております。以前投稿した記事がありますので詳細はこちらで。

keibascore.hatenablog.com

トライアル不要論に肩入れするつもりはないのですが、トライアルの再整備はあってもよいと思っています。少なくとも若葉Sの勝ち馬はここ2年権利を行使していませんし。優先出走権の配分を見直す、というのが程よいように感じています。例えば、共同通信杯がトライアル化するのも面白いのでは。

折り合いと末脚の破壊力に大きな期待

ものすごいミーハーな感想かもですが、コントレイル、この一戦で3冠まで視野にはいったように思います。問題は今回と同じスタートダッシュでダービーが良馬場過ぎた場合、でしょうか。ワグネリアンで先行した鞍上ですが、1番人気ではそんなにすんなりとした展開にはならないでしょうから。

ただ、3000mもこなせそうな道中の折り合いと、2歳時に府中で示した高速馬場での軽快な末脚。期待してよいんじゃないでしょうか。父ディープインパクトが亡くなってから活躍した産駒。期待のかけ方も異なりますよね。

サリオスは力を示した2着

向こう正面と3コーナーで外に張るチャンスはあったように見えましたが、明確に距離ロスをしにいった福永とは対照的に、レーンはインコースにこだわりました。決して間違いと断ずる戦略ではないと思っていますが、ウインカーネリアンとビターエンダーが直線まで蓋になってしまった格好。結果として馬場の良い外目に出すまでに時間を要し、その間に加速力を100%前方に向けることができなかったように見えています。

馬場のいい外からはスピードに乗ったコントレイルですから、その差がそのまま着差になってしまった模様。ずっと右手前で走っていたのは右鞭のせいだけではないような。。。このあたりは分かりかねますね。レーンの直線までインで我慢、リスグラシューでは成功していましたけどね。

馬体もしっかり出来ていた認識ですが、ハーツクライの3歳春はどうしても未完成の度合いが見えてしまいます。ただ、サリオスの異形の筋肉質はデインヒルだと言われて納得。詳しくは望田潤さんのブログですね。こちらを読んだうえで、内枠、馬場コンディション、先行脚質をすべて加味して本命にした次第です。

blog.goo.ne.jp

惜敗となったわけですが、「勝負付けはまだ済んでいない」というアンカツツイートに思わずうなずいてしまいました。負けて強しという内容。パトロールビデオで直線を見ると、内外でだいぶ馬場コンディションに差があるように見えますのでね。ダービーの枠順や馬場コンディションでまたアドバンテージの有無も変わってくるでしょう。この2頭の動向だけでも十分楽しめるダービーになりそうですね。

サトノフラッグの敗因は馬場?

思ったより伸びなかったという5着。ルメールが初騎乗というところで精度のある分析コメントがでてきませんでしたが、もともと弥生賞でも戦前の評価は重馬場は苦手であろうという見解が大勢でした。前走のスローからの決め脚勝負がうまく嵌ったと考えるべきなのか。

個人的には外からコントレイルに捲られたことでマウントを取られた形になっての意気消沈、が少しはいっていると捉えてもよいのかな、などと思っています。良馬場の府中でパフォーマンスは上げてくるでしょうね。

マイラプソディは大器晩成?

力が付き切っていないハーツクライに、あの重馬場とパワーを要する持続力勝負は向かなかったという見解です。予想の段階でも評価は上げにくかったですね。ここから仕掛けて粘りこめなければ仕方ない、という武豊の判断があったように思います。

すごくいいフォームを持っている馬だと思っているのですが、筋力がしっかりついて初めて成績につながってくるのでしょう。こうなるとダービーで武豊がどの馬に乗るのか、少しわからなくなってきたかもしれないですね。京都新聞杯のアドマイヤビルゴは土日の移動が制限されるため藤岡康太に乗り替わり。ワグネリアン神戸新聞杯よろしく、ワンポイントリリーフの可能性があります。こちらもダービーに向けて楽しみな話題が残りました。

最後に

ダービー当日の5/31まで無観客競馬続行が決まりました。ダービーが無観客で開催されるのは76年ぶり、戦時中まで遡ることになります。残念には違いありませんが、まずは開催継続にむけた関係者の努力に感謝する方が先でしょうね。

競馬を止めないことが大きなテーマになる日々が来るとは。でも重篤化すれば命の危険がある感染症ですからね、当面は蔓延を防ぐアクションが必要と理解しなければ。

明日から東京と京都開催がスタート。きっと長期戦ですからね、この状況下での楽しみ方もうまく会得していきたいところです。