デアリングタクト、強い差し脚で1冠を獲りました。
重まで悪化したとはいえ先行有利の馬場バイアス。まして1番人気は先行脚質の2歳女王、かつペースメイクに秀でた鞍上武豊。これだけ条件がそろっていての中団待機ですから、おそらく松山は予め腹が括れて望んでいたのでしょう。その根拠が鞍下への信頼だったとしたら、ものすごく貴重な経験になったと思われます。
ガッツポーズが池添に似ているとの冷やかしは、確かにまぁそうなのですが(笑)、池添もデュランダルで追い込み馬のリズムを体感してドリームジャニー、スイープトウショウへと続いていきましたからね。一度でも体現して見せることはとても大きいと思います。
馬にもフォーカスしましょう。シンザン記念のアーモンドアイが引き合いに出されるのも頷ける末脚でした。1頭だけ上がりが36秒台、自身もラスト登坂しながらだいぶブレーキかかっているんですけどね。これまでの戦歴では見せなかったゴール前のあの粘り、右手前に変えてからの踏ん張りは素晴らしかった。
エルフィンSでは良馬場での加速力とトップスピードの高さを示していますし、あとはレース後のコメント通りテンションが高くなりすぎなければ。2冠の可能性も同時に見いだせる桜花賞制覇だと思っています。
公式レースラップ
12.4-11.2-11.3-11.6-11.5-11.7-12.6-13.8
3/4エイシンヒカリの超前傾ラップ
大方の予想通りスマイルカナの逃げ。柴田大知が中途半端な形にしないだろうと思っていましたが、想像以上に踏んでいきました。しばらく流し気味だったマルターズディオサはたまらず控えた格好。おそらく深追いし過ぎるとの判断でしょう。
内からナイントゥファイブが主張したこと、3コーナーで早々にレシステンシアに来られてしまったことが引けない材料になったと思われます。それでも直線半ばまで2歳女王に食らいつく粘り込み。継続騎乗の強みがしっかりでたでしょうか。
スマイルカナはエイシンヒカリといとこの関係。道悪の逃げですから、あのイスパーン賞が思い出されますね。引かない、引けない前傾ラップになりましたが、底力が引き出されたように見えています。
武豊のレースプランと切り替えの早さ
レシステンシアは乗り替わりの武豊。外枠にはいった時点で概ね逃げの可能性は少ないだろうと思っていましたが、武豊はその可能性も考慮して望んでいたように見えました。ええ、レース中にそんな素振りもみせませんから、長年のファンの勘みたいなものですけどね。
映像だけ見るとスタート直後にひとつ内のケープコッドと接触しています。ほぼこのタイミングで強くプッシュする戦略を選択肢から外したのだと思っています。ここが切り替えの早さですね。きっと、そうです。
3コーナーまでの直線を目いっぱい使って、ジリジリとインへ寄せていく所作。セーフティでありつつ、後続にとってはなかなか抗しがたい進路取りでしょう。このあたりはパトロールビデオで確認できます。
スマイルカナの粘り込みまで計算に入れていたのなら、相当見えていたというべきでしょうね。コーナーでもペースを緩めさせず、自分のスタミナをロスし過ぎず。後続の各馬にとっては深追いできない、牽制が十分効いた前傾ラップをつくりだして直線を迎えたのだと思っています。
武豊の戦略込みで本命でした。良馬場だったら、と思いますが、そうするとデアリングタクトの切れもまた増していたでしょうね。スマイルカナと枠が逆だったら。うーん、たらればは浮かんじゃいますね。でもこのレースはデアリングタクトを褒めるべきでしょう。
クラヴァシュドールは3コーナー過ぎの不利が響く
スタートからしばらくはいいポジションをキープしていましたが、3コーナーで5頭雁行の真ん中に入ってしまいました。インで張られ、外から押し込まれる位置取り。ちょっとだけ引いて下がったところに一列後ろのインターミッション、エーポスが被せてくる悪循環。大きく顔を上げてポジションを下げる場面はわかりやすいですが、その少し前から悪循環が始まっているのが見て取れます。
デキはよく見えていましたし、直線はミルコが選択したインの荒れ馬場もこなしていましたから、あの3コーナーでアドバンテージが取れていれば。巻き返しは十分とみています。
リアアメリア、マジックキャッスルは馬場に泣く
2頭とも、府中の良馬場なら存分に末脚を繰り出せることでしょう。予想の時点で気にはなりましたが、悪化する馬場と武豊の先行ポジションが脳裏に浮かんでからは評価を下げる判断になりました。
特にリアアメリアはここを叩いてさらによくなりそうな印象。桜花賞よりオークスのイメージでいましたので、なんとか良馬場でのスピード勝負にならないかなと思っています。
デアリングハートとシーザリオ
デアリングタクトの血統に懐かしさを覚えるファンのツイートがなかなか感慨深かったですね。同期の2頭が血統表に同居。桜花賞はシーザリオが2着、デアリングハートが3着でした。祖母が届かなった桜に孫が届くとは。
フラワーカップ以降、当時は完全にシーザリオ派でしたね。オークスは絶望的な位置から追い込み切って勝利しました。あのレースも鮮烈でしたね。一方のデアリングハートはNHKマイルカップに向かって2着、オークス参戦はありませんでした。こうした視点で次のレースを楽しみにできるのは競馬ファンの醍醐味といえるでしょう。長く続けるものですね。
最後に
JRA、コロナウイルス追加対策として馬とジョッキーの移動を制限する形をとっています。5/3まで、オープン競走と障害競走を除いて、関東馬は京都と阪神、関西馬は東京と中山への出走が不可となりました。ジョッキーも土日で関東圏と関西圏の移動に制限、皐月賞に乗るためには土曜から中山にいる必要が生じました。
あくまでコロナ対策の一環という理解ですが、やはり少し観る側にも我慢が必要ですね。引き続き無観客で中山、阪神の最終週。競馬は止めずに進んでほしいものです。
皐月賞はなかなか難解。土曜の日中に相当量の雨が降る予報です。最終週の馬場にどれだけダメージが残るのか、馬場読みが大変になりそうですね。いまのところ最内のコントレイルを割引して、サリオス、サトノフラッグ、クリスタルブラックに比重を置いています。ダーリントンホールも要注意ですね。キメラヴェリテは当日の馬場をこなせるのか、あたりを疑いながらじっくりまとめていきたいと思っています。