more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

年度代表馬はイクイノックス

イクイノックス、文句なしの2年連続年度代表馬選出でした。

 

JRAのリリースはこちら。

www.jra.go.jp

記者投票の内訳はこちら。

www.jra.go.jp

 

宝塚記念天皇賞秋そしてジャパンカップと国内G1を3勝。そしてドバイシーマクラシックからこちら、世界No.1のレーティングを保ったまま年内無敗で引退となりましたから。これを評価しないのはもう、ね。

 

今年負かした相手も豪華。リバティアイランド、タイトルホルダー、ドウデュース、スターズオンアース、パンサラッサ、ジャスティンパレス、ジャックドール、スルーセブンシーズ、シャフリヤール、ジェラルディーナ、ヴェラアズール…。思いつく順で書きましたがまだまだおりますね、多過ぎです。

ここ2年のG1戦線の主役級をすべて負かした成績とパフォーマンス。秋の2戦は自身の完成度も合わせて集大成といえるレース振りだと思っています。

 

リバティアイランドも順当な受賞。ジャパンカップを勝っていたら。この表彰もいろいろひっくり返っていたでしょうね。

 

一方、最優秀2歳牝馬と最優秀ダートホースの票の割れ方にはある種の健全さを覚えました。そりゃ割れますよね。

海外G1と国内G1の評価をどう位置付けるのかは相変わらず投票者の恣意性に委ねられる面が大きいまま、今年はウシュバテソーロ特別賞というきれいな着地で厳格な議論は回避された形になりました。「栄誉をたたえ、感謝の意をあらわす」目的からするとその着地も妥当だなと思っているところではあります。

 

あとはスターズオンアース。最優秀古馬牝馬と最優秀マイラーで棲み分けをする投票がどれくらいあるのかなと注目していましたが、やはりG1タイトルがないのが大きかったかな。とんでもない安定感だったんですけどね。

 

満票の部門はなし

満票での選出をあまり神格化しないほうがよいと思ってはおります。「最優秀」に関する考え方がさまざまに存在するのは尊重されるべきで、だからこそそれらの意見が重なっての満票にこそ価値があると考えます。

ただイクイノックスよりドウデュースを、リバティアイランドよりブレイディヴェーグを上位に取る価値観はどんなものなのでしょうね。年間の馬の成績やパフォーマンスだけではない何かが作用しているように邪推してしまいます(一方的に否定すべきではないと思ってはいますが)。

 

TLの一部ではイクイノックスの調教師の過去の経緯に対する非難を背景にみる向きもありました。それも頭ごなしに否定できないところが何とももどかしい。ここで表現すると歴史の1ページとして語られるようにはなりますので。爪痕を残すと言いますか。

「競馬の市民性やステータスの向上と馬事の普及を図ること」もJRA賞の目的ですから、完全に見当違いな議論ではないんですよね。でも馬の評価に味噌が付くのは残念としかいいようがなく。

せっかくの表彰ですので馬のことに集中したいというのが率直な感想です。

 

最優秀スプリンターと最優秀マイラーが初選出

今年から最優秀短距離馬の部門が2つに分割されました。よかった。それぞれ、ママコチャとソングラインが選出されましたね。

それぞれのローテーション、目標としたレースは全く異なっていましたから、別部門として設定したことの効果は選出馬によって表現されたという印象です。

 

面白いなと思ったのはリメイクとレモンポップにわずかですが投票があったこと。ダート馬の選出が視野にはいるとその年の最優秀をどう評価するか、その見識が問われることになりますね。単に日本は芝のレースが中心だから、ではない議論が喚起されるのはよいことと思っています。

 

投票基準のアイデア

3年前に以下のような私案をまとめていました。昨年の投稿でも引用していましたが改めて。

  • 各部門賞はJRA所属馬のうち年間の獲得賞金額最上位馬(地方、海外を含む)、および該当するG1(Jpn1を含む)の最多勝利馬のいずれかから選出する
  • 獲得賞金は該当年度のオープン競走で獲得した賞金総額で算出(地方、海外はどうしましょうね)
    • 該当馬が1頭の場合は自動選出
    • 該当馬が複数の場合は記者による決選投票
  • 短距離の距離区分をスプリントとマイルに分けて再定義(「SMILE」のうち「S」と「M」)
  • スプリント部門とマイル部門の受賞馬は、その他の部門表彰と重複して選出されない
  • 年度代表馬はファン投票(各部門賞選出とは別扱い)

スプリンターとマイラーは分割されましたので来年からは割愛しましょうね。

一方で、仮に他の部門と重複選出されないというアイデアが採用されていれば、ソングライン以外から最優秀古馬牝馬が選ばれていたかも。より多くの馬に感謝の意と栄誉をたたえる機会を。その意味では重複を避けるのはひとつのアイデアと思っています。

 

昨年の自身のコメントを引用します。見解は変わっていませんでした。

部門賞は投票者の心情をあまり挟まず(その年度の最優秀ですので)、反対に年度代表馬は心情面が大きく結果を左右する仕組みの方がよいように感じています。われわれも参加したいですしね。

 

「該当馬なし」はNGで

これを記載するのもほぼ恒例行事と化しています。部門賞はその年度の最優秀を「相対的に」選出することが目的でしょうから、投票権をもった方が別のものさしを持ち込んで投票できてしまうことが可能な制度設計を是正していただきたいところ。

特に今年は最優秀スプリンター部門で「該当馬なし」が43票。どうやら「私の考える理想のスプリンター像>今年最も優秀だったスプリンター」という判断があったとしか解釈ができず。。。

 

3年前に投稿していたテキストを引用しておきます。こちらも見解は変わってないですね。

ご本人にその意図はないのでしょうが、投票権の放棄と同等に扱ってよいのではないかなと思っております。投票権を失効するルールはありましたっけ。一定の条件下で、該当馬を選べない方の権利を失効するルールを設けてもいいかもしれません。

 

投票権の失効ルール

上記の自分の観点とは異なる角度からですが、会友に対して投票権の失効ルールが設けられる模様です。記事を紹介するポストを引用します、日刊の松田さんの記事ですね。

記事の一部を抜粋します。

「会友となって3年が経過した有資格者は、投票権を喪失するという。」

「会友は極端に現場に触れる機会が減っている状況で、今年、全体の15・3%にあたる45人が投票者リストに名を連ねた。00年は5・8%(17人)、すでに取材制限が始まっていた2年前の21年は11・8%(35人)今年はさらに増えていた。(中略)通年となると競馬に携わっている方は半数にも満たない。」

個人的には「前進」と思います。馬もひとも世界のビッグレースを制するところまで来ました。であれば、主要国の競馬をけん引するような批評、語り方もまた必要でしょう。

年度表彰は日本競馬の自己認識を表明する機会と思います。その役割を専門性をもって果たすには投票権利をもった方の絶えざるアップデートが必要になるはずです(われながら理想論だと思いつつ)。

すでにX、旧Twitterでは投票された方が自身の見解をポストするという動きが珍しくなくなってきました。年度投票にあたり質の高い見解が重なることを引き続き望んでいきたいと思います。

 

レースオブザイヤーは有馬記念

堅苦しい議論が続きましたね。個人的なレースオブザイヤーは有馬記念というのは合わせて書いておきたいです。netkeibaの投票でも同様の選択をいたしました。

いやー、3コーナーを過ぎて捲っていく人馬を確認してからこちら、府中のスタンドで爆上がりしてましたからね。

一般的にはイクイノックスのいずれかのレースでしょう。ここでドウデュースと武豊を選ぶあたりはオールドファンなのかもしれませんが、あの復活劇は見事でした。

 

最優秀とは異なる、より各自の思い入れが集積したところで年度表彰は決まってほしいところ。ホースオブザイヤー、そしてオフィシャルにはまだ存在していないレースオブザイヤーはファンの投票も織り込んだ形で実施されてほしいなと思っているところです。

 

最後に

JRA賞の発表後、対象馬の次走が続々と決まっています。

リバティアイランドはドバイシーマクラシック、ブレイディヴェーグはドバイターフ。ドウデュースはどちらに出ても強敵と相まみえることになりましたね。

レモンポップはチャンピオンズカップを選択した際にその先に見ていたであろうサウジカップへ。そして本日、ウシュバテソーロも参戦を表明。票を分けた2頭がキングアブドゥルアジーズで初対決となりそうです。

 

引き続き日本のトップホースが海外のビッグレースへ。昨年はイクイノックスが橋渡ししたように、日本競馬のプレゼンスを対外的に高く保つことは、開催規模とレースの質の維持にかかせない材料と思っています。

国外の競馬との価値をつなぐことは、まわりまわって競馬ファンが良質な競走を存分に楽しめる環境を持続的に享受することにつながるはずなんですよね。

 

年度表彰はそうした自己認識がちゃんと反映される機会になってほしいと思いますし、世界に日本馬をプレゼンテーションする大事な機会にもなってほしいです。カルティエ賞エクリプス賞と合わせて語られるくらいのプレゼンスを確保したいですよ。制度設計も含めてよりよい在り方を目指してほしいと思っています。