more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

2023年 年末のご挨拶

この大晦日は午前中にGallop最新号を購入して、冒頭に掲載されている武豊と友道師のコメントを確認しておりました。

ドウデュースは復活や逆襲という形容がしっくりくるようになっていますね。いつも泰然自若とした本馬の性格からは少し力みの強い印象があります。来年は「忘れ物を取りに行く」ことになりますが、秋3戦している疲労が年明けにかけてどう出るでしょうね。

改めて、チーム・ドウデュースの雰囲気はとてもよいですよね。それがインタビュー記事にも滲んでいまして、これもまた心地よく応援できる一因だと思います。有難いものです。

2024年最初のGallop、1ページ目にはドウデュース


2023年、今年は特に世界と日本がより明確につながった一年でした。

なにはともあれ、イクイノックスでしょう。ロンジンワールドベストホースランキングで世界No.1、ドバイシーマクラシックで受けた「129」が年間を通じた物差しであり最強の基準であり続けました。

ドバイで負かしたウエストオーバー、モスターダフ、ザグレイがその後に欧州G1を勝利。今年勝ち星はありませんでしたがシャフリヤール、ウインマリリン、レベルスロマンス、ロシアンエンペラーといった馬が相対的な評価の物差しになっていましたね。

シーマクラシックの参戦馬の戦歴を辿るにはJRA-VAN Ver.Worldのページが適当と思います。

world.jra-van.jp

 

スルーセブンシーズが間接的に凱旋門賞馬エースインパクトとの評価をつないでくれましたし、負かした馬が走るほどイクイノックスを頂点としたランキングが確かなものになっていく印象がありましたね。

以下の最新のランキングは11月初旬までのものですが、どうやらその後129を上方修正する機運もあるとのこと。年明けには2023年全体のランキングが発表されると思いますので、そちらが楽しみですね。

www.jra.go.jp

 

芝だけではなくダートも。ウシュバテソーロがドバイワールドカップ、パンサラッサがサウジカップを制しました。デルマソトガケもBCクラシックで2着と気を吐きました。

…ちょっと信じられないですよね。東京大賞典ドバイワールドカップがホントにつながってしまっているんですよね。個人的には横浜Sの尋常でない末脚を思うと、東京ダート2100mにG1を設けて、ぜひメイダンと府中をつなげてほしいなと思います。

JRAの賞金表示をバグらせてしまったパンサラッサも、中山記念ドバイターフ、そしてサウジカップをつなげてくれました。昨秋の天皇賞を思うと府中ともイクイノックスともつながっていますね。

ゴスデン師が嬉しそうにイクイノックスの天皇賞レコード勝ちを語っている映像も確認しましたが、ああいうリアクションをもらうとこちらも嬉しくなってしまいます。

 

着順が奮わなかった馬たちも多くありましたが、チャレンジを繰り返すことで日本競馬のプレゼンスが確かなものになっていくはずで。ビジネスが成立することとエンターテインメントとして充実することはかかせない両輪であるでしょうからね。


おそらく来年は海外遠征することになるであろうリバティアイランド。2023年を語る上ではこちらもかかせない1頭でしょう。後方一気の桜花賞、「別格」だったオークスディープインパクトを彷彿とさせた秋華賞。どれも印象深いパフォーマンス、素晴らしい牝馬三冠でした。

今年のリバティアイランド桜花賞から始まったジョッキーカメラ。追い込む馬の画は見ごたえが凄いですよね。個人的に秀逸だったのは桜花賞秋華賞の川田の感動、そして有馬記念の3つでした。

本人が話していた通り、川田が継続騎乗してG1を戦っていくような、いわゆるベストパートナーがついに現れたというところ。お嬢さんがイクイノックスからバトンを引き継いだ形ですものね。


3歳牡馬はソールオリエンス、タスティエーラ、ドゥレッツァの3頭が三冠を分け合いました。

個人的にはそれぞれの父ですね。キタサンブラックサトノクラウンドゥラメンテ。2015年世代の同期G1馬が種牡馬となってクラシックで再び相まみえるというのは、いやーたまりません。そりゃあもうドゥラメンテのサポートカードも引いちゃってますよね笑

牡馬3冠はファントムシーフとともに歩みました。神戸新聞杯の戦略は納得しつつ、これで実力が最上位にはならないことがはっきりと掴めました。皐月賞の馬場が悔やまれますが、それも乗り越えてこそのクラシック戴冠。もう少し馬体が膨らんでくれば、というないものねだりをしながらの秋の観戦でした。


そうです、リーディングサイアードゥラメンテ。ついにディープインパクトがその王座から降りることになりました。

サンデーサイレンスが2世代でリーディングを獲った1995年からこちら、父系がサンデーサイレンス系でないリーディングサイアーは父キングカメハメハの2010、2011年のみ。2位がロードカナロアですから、父キングカメハメハがサンデーの牙城を崩したというべきでしょうか。

ただ、ドゥラメンテは残念ながら早逝。今後の推移はまだまだ読み切れない状況と思います。それこそコントレイル産駒やイクイノックス産駒が活躍するころにどう変わっているか。

しかし、現役時代に管理していた堀師が種牡馬ドゥラメンテにかけた期待の言葉は、決して贔屓目ではありませんでしたね。今読んでもじわじわきます。

もう何度となく引用していますが以下、凱旋門賞回避の話や現役当時キタサンブラックとはライバル視されていなかった件など、合わせてまとめています。どうぞ。

keibascore.hatenablog.com

 

王座から降りたディープインパクト。しかし同じ年に産駒オーギュストロダンがまた新たな価値と存在感を提示しています。いやー、ザ・ダービーをディープインパクト産駒が勝つとは。

 

欧州のサドラーズウェルズガリレオ、米国のストームキャットタピット、そして日本のサンデーサイレンスディープインパクト。ポスト「サイアーオブサイアーズ」のトレンドは、これら別地域のリーディングサイアーの血を取り込むこと。

日本ではすでにそれが進んでいますし、ディープインパクト×アルゼンチンの良血牝馬というトレンドはもはや珍しくなくなっているわけですが、オーギュストロダンもその一端を担って来年の現役生活とその先の種牡馬の活躍が期待されているのでしょう。

それがどんな次の潮流を生んでいくのか。個人的にはしばらくわかりやすく影響力の強い種牡馬が現れにくい時期にはいるような気がしていますが、どうなるでしょう。

 

年末に集中していましたが、G1で活躍した馬たちの引退が目立ったとも思っています。引退式を行ったイクイノックス、タイトルホルダーはもちろん、パンサラッサ、デアリングタクト、ソングライン、シュネルマイスター、ダノンザキッド、ピクシーナイト、カフェファラオ、テーオーケインズ…。全部列挙するには多過ぎるくらい矢継ぎ早に引退報道を目にしました。

個人的にはソダシ、そしてグレナディアガーズが印象深いですね。

 

ソダシが府中に来たときは入場者数とパドックで待機する人の数が一気にマシマシになっていましたし、レースでの頑張りは何度となく気持ちよく予想を外すことにつながりました。いやー、ソダシに頑張られたかー、というちょっとしたすがすがしさがありましたね。白毛という注目以上にその頑張りが印象深いです。

グレナディアガーズも特徴的なレース振りでした。圧倒的なピッチ走法と強めの前進気勢、結果として前半の我慢とポジショニング、そして仕掛けどころの難しさを抱える悩ましいパフォーマンスが続きました。そろそろ阪神カップをG1にしましょう、という思いにさせてくれましたね。


あとはレモンポップを駆った坂井瑠星ですね。あのフェブラリーSのドライビングは次の時代を楽しませてくれるジョッキーという期待感を大きく膨らませるものでした。

「技術もヘッドワークも胆力も」という表現をしたのですが、あとは常に高い精度で騎乗し続けること、が課題になるでしょうか。ひとつ前のホープフルSの投稿で矢作師の高い期待について書いたつもりです。こちらも期待していますよー。

レモンポップはサウジカップで再び1800mへ挑むのではないでしょうか。高額賞金というごくまっとうな理由で、日米欧と中東の地元馬が顔を合わせる機会。ここでの結果は広く高くその馬の評価を高めますよね。次のチャレンジが楽しみです。


競馬の話題ではありませんが、日記ですのでね、自分のプライベートにも触れておきたいと思います。秋口ですが正式に離婚が決まりました。自分としてはもっと前に気持ちを固めていたのですがもろもろやり取りが続き、ここ1年は別居した状態で、このタイミングでの区切りとなりました。

自分が音を上げた、というのが正直なところです。ただどちらかのせいにするのはいずれも嘘になってしまいますので、どちらにも原因はあったと理解をしております。生活にかかる価値観や分担、コミュニケーションなど様々な場面で掛け違ったボタンがもう取り返せない状況に至ってしまいました。

ここ数年はだいぶ身辺が揺れながらも、競馬もこの投稿も続けていた格好です。むしろこれまでのリズムで競馬をしっかり堪能することで、決定的に自分を見失わずにいられたと言えるかもしれません。

つらい思いをさせてしまいましたし、つらい思いもしたわけですが、彼女には身につけた技術とセンスがあるんですよね。今後の生活でぜひそれを発揮して多くの人に形にして届けてほしいと願っています。どうするかは本人次第なのはもちろんですけどね。自分も添い遂げられなかったなという思いはありつつ、わだかまるよりは前に進もうと思っています。

…湿っぽい感じですみません。もう区切っていますし、でもなかったことにはするのは絶対違いますからね。ちゃんと胸にしまいながら、自分を粗末に扱わないように日々の充実を大切にしていくつもりでいます。


この文脈で「やっぱり競馬はいいと思います」というレジェンドのセリフを持ってくるとヘンに重たくなってしまうでしょうか。

放っておくと平坦な日常が続いてしまうところに毎週のメリハリを作れますからね。ハレとケ、「晴れ」と「褻」が毎週繰り返されるというはせわしなくもあり、でも欠かせないものになっています。

自分の平日の仕事柄、そして一部門の長としても一喜一憂するのは努めて避けているのですが、一喜一憂する健全さもまた大事ですよね。

フサイチコンコルドから27年。せっかく得られた趣味ですから、これからも堪能していきたいと思っています。やっぱり競馬はいいですよね。


2023年も身勝手な投稿にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。相も変わらず、個人的にこう見えたよという楽しみのポイントをたくさんの言葉を費やして書き記すという、最近の効果的なマーケティングとはおよそ異なる投稿を続けておりますね。自覚的にやっているから厄介なことこの上ないと思っています。

競馬ブックの一筆啓上で須田鷹雄さんが、関係者全肯定でも匿名ヘイトでもないファンは存在するのか、という議論をしていました。ええ、どうやらここにひとりいるようですよ。様々な言葉を持ち込める余地を競馬に見出しているからこそ楽しく続けられているわけですので。

個々の思いは個々の中にしかないわけで、ネット上にすべての思いが表現されていてもれなくアクセスできるわけではないんですよね。その視点を忘れずにいると、自分のワクワクも相手のワクワクにも、ちゃんと動き回れる余地を確保する「配慮」なり「尊重」が大切になると思っています。

厳しい言葉の応酬はその配慮や尊重が土台にないとただ攻撃的なだけでしょう。…お互いをリスペクト、という表現のほうがしっくりくるでしょうか。

 

世界的に評価される日本競馬、われわれも世界No.1の声援を送り続けたいものです(WBCの特番を観ながら書いているせいか、ちょっと表現が引っ張られていますね笑)。

 

本年もご愛顧、ありがとうございました。
あと少しで2024年、よいお年をお迎えください。