more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第40回 ホープフルS と第69回 東京大賞典

ホープフルSは平日の業務がありますので不完全燃焼な予想になりました。一方の東京大賞典は現地観戦、ある程度予想のピントを合わせながら観戦できました。

 

ホープフルSはレガレイラ

史上初めて牝馬がG1のホープフルSを制しました。2歳牝馬にしてはしっかりパンプアップした馬体だとフォトパドックで確認していましたが、中山でアタマまであるか?と疑ってかかってしまいました。

後方待機から3、4コーナーで進出。4コーナーでは前のゴチャゴチャをしっかり待ってから外へ展開する余裕。判断できるジョッキーとそれに呼応できるレガレイラ、どちらも落ち着いたものですね。

 

ホープフルSは2014年にラジオNIKKEI杯を引き継ぐ形でG2に設定、2017年からG1に昇格しています。JBIS-Searchでは1988年まで過去のレースを遡ることができますが、牝馬が勝ったのはオープン時代の2002年マイネヌーヴェル以来。

マイネヌーヴェル、懐かしい名前ですね、自分的にはマイネルチャールズの姉、最近のファンにはユーバーレーベンのおばあちゃんといえばピンとくるでしょうか。

 

G1以前の勝ち馬を紐解くとウイニングチケットエアシャカールトーセンジョーダンベルシャザール、そしてG1直前の2013年はダービー馬レイデオロ。のちにG1馬となる牡馬が並んでいます。2000mという距離も含めて牡馬に一日の長あり、そもそも牝馬を出走させない判断にする方が定石といえそうです。

その分、レガレイラのねじ伏せるような末脚は大いに評価すべきでしょう。皐月賞、ダービーに登録とのことですので、サトノレイナス以来の牝馬ダービー挑戦となるでしょうか。ファンディーナの例も脳裏によぎりますが、楽しみに待ちたいと思います。

 

そうそう、個人的には母ロカを阪神ジュベナイルフィリーズで本命にしていた経緯があるのに、というところ。お母さんのフットワークを評価していたことがここでつなげられないあたりがね。。。

 

公式レースラップ

12.5-10.8-12.1-12.5-12.1-12.2-12.1-12.4-12.0-11.5

 

スタートから内枠のヴェロキラプトル、アンモシエラが10.8を計時するスタートダッシュ。他馬はこれを深追いしませんでした。

枠の並びの分ヴェロキラプトルが先頭で1コーナーへ侵入しましたが、ショウナンラプンタが引っかかってしまいアンモシエラに接近、あおられたアンモシエラがヴェロキラプトルをいったん交わし、向こう正面にはいってヴェロキラプトルが再び交わしにかかる展開。どちらも押さえながら折り合いを破綻させずにすすめていたことで平均に近い一貫ラップに見えます。が、息が抜けないなかで勝負所を迎えてしまったのでしょう。

 

シンエンペラーはこの緩みの少ない流れが奏功したと言えそうです。あれで直線先頭に立ってからソラを使っていますから、スタミナには余裕があったのかな。ただ抜け出してからの右鞭に大きく外へ寄れる進路取り。

トロールビデオで確認しましたが、ムルザバエフ、あれは制御が効いていないと言っていいレベルでしょう。こわい騎乗と映りました。3着サンライズジパングを挟んだことで過怠金のようですがより重いペナルティがあってよいと思う事象でした。

 

ミスタージーティー坂井瑠星の騎乗ミスについて

これはもう矢作師の見事なコメントが見え方を変えてしまったなと。以下、引用します。

完全に騎乗ミス。勝ちまであった。ひどい競馬です。将来性はすごいものがあるし、かなり能力は高いです。これからも追いかけていただきたいです

直線インで詰まった弟子を叱責をもって庇う(師匠が叱ったことでそれ以上ジョッキーに非難の矛先が向きにくい)というニュアンスはどうやら伝わっている模様ですが、自分はそれに留まらない意味をもつコメントだと受け取っています。

 

ひとつは「勝ちまであった」というコメントから、矢作師が何をミスとしているか。これはおそらく3コーナー過ぎから勝ち馬レガレイラを前に行かせてしまったこと、ではないかと推察します。

向こう正面では瑠星の斜め後ろのインにルメールが控えていました。ということは外への進路を切ることができるポジションに瑠星はいたわけです。直前にいた武豊センチュリボンドの手ごたえはあまりよく見えていなかったでしょうが、レガレイラを外に出さない方策はゼロではなかったでしょう。

これが4コーナーでは逆、レガレイラを斜め前にみるポジションに逆転されてしまっていました。ルメールはミスタージーティーの進路を切るというより、馬場のよい外に出すことに集中していたように見えます。先によいコース選択をされてしまったわけですね。結果として距離ロスを避けて勝負するほうに切り返したわけですが、急遽の判断は最悪の結果を招いてしまいました。

3コーナーからのルメールとのポジション争いで後手にまわったことで、その後の判断が後手後手に回り、最後はインで詰まったと見ることができます。矢作師の指摘はインで詰まったことではなく、そのトップジョッキーの判断に簡単に後手に回ったことにあるものと推察しています。

 

そしてもうひとつはこの判断の後手を「完全に騎乗ミス」「ひどい騎乗」と言い切ったこと。

よく見るとミスタージーティーはレース前半なかなか折り合いに苦慮している様子が見て取れます。そこからすると、3コーナーで相手の進路を切るべく少しポジションを上げるといった細かな挙動は取りにくかったはずです。

3コーナー手前からセンチュリボンドの外に回って外から被せるという判断も不可能ではなかったでしょうが、3、4コーナーでかなりの距離ロスが待っていますしね。

この対処の難しい状況下にもかかわらず「完全な騎乗ミス」と言い切ってしまうのは、逆説的に坂井瑠星という騎手にはこれくらい期待してよいんですよ、というある種の評価をアピールする意図があったのでは、と邪推しています。

 

並みの期待感に留まるジョッキーなら叱責も指摘もせず、静かに評価が下がっていくだけ。こうした対応でも仕方ない状況でしょう。

瑠星に向けてはそれくらい逆算して戦略を立ててルメールや川田といったトップジョッキーと互角にやってこいというプレッシャーをかけつつ、関係者や顧客(各オーナー)向けには坂井瑠星とはそうしたトップジョッキーと伍していくべき存在なんだという期待感を示す形をとった、という解釈が成り立ってしまうんですよね。

…おそらく熟慮したというより、もうそういった心構えで周囲に臨むのが矢作師のデフォルトモードなんだろうなと邪推を重ねているところです。

 

今年のホープフルSはこのスタンスが一番印象に残りました。坂井瑠星の奮起に期待しつつ、本命だったミスタージーティーの資質と成長にも期待したいと思っています。

 

東京大賞典はウシュバテソーロ連覇

川田がきっちり持ってきました。ウシュバテソーロももっている力はちゃんと出した、というように見えましたね。

 

ブリーダーズカップ後、帰国してまもないレースですからどのくらい疲労が残るのだろうと思っていましたが、パドックは相変わらず首を落としてトボトボ笑

でも筋肉の隆起は問題なく、メンバー間ではひとつ抜けている印象でした。返し馬でみたかった馬場とのアジャストも問題なく、これで本命が固まったという次第です。

 

直線ずっと右手前でしたね。ゴール入線直前に左にスイッチしていまして、それでも押し切れるとはまだスタミナに余裕があるのかと感心しておりました。でもあとで昨年のレースを振り返ると今年とほぼ同様のずっと右手前。昨年はゴール入線直後に左へスイッチしていました。…右手前が好きなのかな。

 

個人的には府中の横浜Sの走りより、集中力といいますかレースに前向きな姿勢が減っている気がしていまして。言われた分は走るけど、という全集中からはひとつ下がるスタンスを感じてしまっており。…ドバイワールドカップの勝ち馬ですよね笑

 

今秋のサンタアニタの調教の様子について川田がコメントしております。こちらをご覧いただけるとウシュバテソーロという馬の感じが掴めるかと(一応、文字おこししておきますね)。この前日にはゲート練習でえらいゴネたというエピソードもございますね。

www.youtube.com

調教全体が好きじゃないので、行こうとすると行きたくないと主張してきますし、出入口もしっかり覚えたことで出入口を見つける度にそこに帰ろうとしますし、なので、他の馬に何とか連れて行ってもらいながら、みんなもがんばって調教してるよと馬に伝えながらなんとか一緒に走ってもらってるという感じですね

 

公式レースラップ

12.4-11.8-12.7-13.6-13.3-12.7-13.0-12.7-12.0-13.1

昨年のレースラップはこちら。

12.4-12.1-12.8-13.4-12.8-11.9-11.7-12.7-12.4-12.8

さらに今年のJBCクラシックも。

12.4-11.4-12.2-13.0-12.5-12.5-12.8-13.0-12.2-13.1

昨年は向こう正面で捲りが発生した分、後半厳しい展開になっていましたね。今年はうってかわってウィルソンテソーロのマイペース。ただし昨年とは砂が異なっていますので、時計がかかり方はJBCクラシックと比較するのが賢明と思います。

 

悪友とは久しぶりの大井観戦になりましたが、ひとつ前のレースをみながら、JBCに比べて馬場の脚抜きはちょっと軽めなんじゃないかと話しておりました。合わせてインより馬場の中央のほうがスピードがでやすいかな、という見立ても。

重すぎる馬場であればキングスソードの評価をあげてノットゥルノやミックファイアは評価を下げようと思っていましたが、この馬場の印象で評価をチューニングし直しながら予想を組み立てるよう切り替えました。

 

端的にラスト3ハロンで比較してみましょう。JBCに比べて少し速い数字が計時されています。

2023年JBCクラシック
キングスソード:37.9(勝ち馬、メンバー最速)
メイショウハリオ:38.8(上がり2位)

2023年東京大賞典
ウシュバテソーロ:37.0(勝ち馬、メンバー最速)
キングスソード:37.6(上がり2位)

 

レース後であればこの比較ができますが、ひとつ前のレースとメインレースの返し馬でこの差を見て取ってさらっと会話できるから、お互い年季がはいっていますね。さすがです。

 

自分はキングスソードの評価をひとつ下げて、ウシュバテソーロミックファイア、ウィルソンテソーロの評価をあげて3連単を組み立てました。

 

ミックファイアは普通の調子にみえましたが、録画していたフジの中継で返し馬をみると、ちょっと攻め切れてない馬体にみえましたね。やはりダービーグランプリの影響(盛岡遠征で飼い葉を食べられなかった&苦しい競馬)が大きかったのかなと想像させます。

個人的にはドゥラエレーデの評価を上げられませんでした。多少軽めとはいえ、ドゥラエレーデが馬券にからむほど粘りこめるイメージが湧かず。まして前日に「おいた」をしているムルザバエフですので正直買いにくかったですね。3着は押さえておくべきでした。

キングスソードはしっかりマークされてしまいましたね。初めにノットゥルノ武豊、1コーナー手前からはミックファイア御神本、向こう正面で少し下げたところ今度はウシュバテソーロ川田と、ずっと外に壁ができたなかでインのポケットに閉じ込められ続ける形になりました。岩田望来の判断が後手、というよりは順番にプレッシャーをかけたベテランが一枚上手だったというべきでしょう。

そしてノットゥルノは復調モード。これまでは最後の直線で気持ちが切れてしまっているように見えていましたが、今回はラストまでしっかり集中できていた様子。あとは馬場とペースがどこで噛み合うか。選択肢はそれなりに限られていますが、どうなるでしょうね。

 

最後に

録画していたウマ娘最終回も観ることができまして、やっぱり当時を知っている分重ねて比較しながら観てしまうわけですが、そうした邪念に依らず作品のクオリティは高いなぁと感心しておりました。

いい語り直しだなと受け取る一方で、いろいろと考えを巡らせるところもありました。年明けになりそうですが、どこかでまとめておきたいですね。ヒントは大河ドラマです。ん?

 

さて、日付もかわっていまして、もう大晦日。Gallop年鑑は入手していますし、年越しそばとともに1年の振り返りをゆっくりやれそうでよかったです。