more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第83回 菊花賞

アスクビクターモア、最後の1冠を獲りました。

 

4コーナーで単独先頭に立った時は「差せる!」と思っていたんですけどね。皐月賞、ダービー、セントライト記念と着順をあげながら粘りこむ力を磨いていったと言うべきなのでしょう。ボルドグフーシュの猛追をギリギリ凌いでのゴール。ハイペースをよく踏ん張りました。

ドゥラドーレスかボルドグフーシュの差しが届くと予想していたのですが、それよりもスピードの持続力が勝りました。望田潤さんのブログでマヤノトップガンになぞらえる表現がありまして、終わってみてからなるほどと思っているところ。阪神ならでは、という結論だけでは少し認識が足りないのだろうなと取り直して振り返っておきたいと思います。

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公式レースラップ

12.3-10.9-11.7-11.9-11.9-12.1-12.6-13.3-12.6-12.1-12.1-11.9-11.9-12.2-12.9

タイトルホルダーは参考になるでしょうか。昨年のレースラップです。

12.5-11.1-11.5-12.1-12.8-12.6-12.8-14.3-13.1-12.6-12.4-11.7-11.5-11.4-12.2

 

高速馬場の使い方

当日の10R元町Sは、坂井瑠星のフラーズダルムが上がり33.1で外から差し切りました。上がりの勝負に徹するとこれだけ切れを発揮できる馬場コンディションであることがわかります。

一方、菊花賞のラスト3ハロンは減速ラップ、アスクビクターモアの上がりは36.9、ラスト1ハロンは12.9。元町Sとのギャップがすごいですよね。

ブリンカーが効きすぎたという話もありますが、セイウンハーデスの息を入れにくいラップで引っ張ったことがレースの質を決める大きな要因になりました。この流れに乗ったのがアスクビクターモア。

田辺は1ハロン手前をゴールと設定したようなスパート、スタミナの使い切り方を心がけていたように見えますね。早め早めにアクセルを踏んでいく戦略が奏功したように見えています。

 

スピードもスタミナも兼備し、速い馬場を強く叩き続けられる筋力が伴ってきたトップホースの凌ぎあいになると、スピードの持続力が勝敗を分けるポイントになる。前々のポジションから持続力を発揮すればアドバンテージを生みやすい。近々の芝レースから受け取っている感覚を言葉にするとこうなりました。

2歳のデビュー戦でそんな高いフィジカルを求める展開はジョッキーがつくらないでしょう。仮にそうなってしまうレースがあった場合は馬がガタガタになってしまう可能性が高まりますから。トップホースが間隔を空けてレースを使うようになっていることとも符合するように思っています。

タイトルホルダーの3つのG1はそういった勝ち方に見えていますし、今後の芝チャンピオン像が変わってくる可能性も感じております。ディープインパクト×短距離ダート血統で、切れにパワーを付加してダービーを差し切るというセオリーは、血統の移り変わりに沿ってきっと上書きされていくのでしょうね。

そんな気づきをディープ産駒から得られているのは、個人的に不思議な感覚です。はい、盛大に個人の見解です。

そうそう、類似する過去のレースとして思い当たったのはロジャーバローズのダービーでした。あのダービーはちょっとオーバーペースの感がありますけどね。

 

ドゥラドーレスは外々をまわって4着

返し馬から輪乗りのあたりでだいぶ気持ちを出していましたね。3000mをこなすタイプの気性ではないなと思いつつそういう菊花賞になるという賭けにしようと、ウィークポイントを半分承知で本命にしました。

スローでかつディナースタが早めに動くという、後半のロングスパート勝負を馬群で我慢する展開ならあるいはと思っていました。全然読み違っていましたね。

馬群で我慢するのにストライドが大きいことも当然懸念材料。難しいほうに乗っかってしまったなとレース中に改めて反省していました。が、3、4コーナーで不利がありつつも外からの進出には一瞬オッと思わせてくれました。武史の外への展開、勝機は少なかったのでしょうがナイストライでした。

今後は適性距離と得意な展開が定まってくることを期待しています。2000m、あるいはもう少し短くなってくるかもしれませんね。

 

ボルドグフーシュはきわどい2着

神戸新聞杯で悩ましい3着を確認してからこちら、あの末脚でどこを通ってこれるのだろうと思案しておりました。2周目の3、4コーナーでインで詰まるかアウトに振られ過ぎるかというなかなかに残念な未来が浮かんでいたんですよね。その分本命にはしにくかったという葛藤がありました。継続騎乗はプラスと理解していたんですけどね。

吉田隼人にとってはだいぶ悩ましい時間が続いたでしょう。残り600m手前、ポットボレットが下がってできた空間、そこに賭けたことがパトロールビデオからは伝わってきました。

フェーングロッテンとドゥラドーレスに不利を与えたことでジョッキーはペナルティを受けていますね。よりによって対抗が本命の邪魔をしてしまうとは。それで2着と4着ですから、能力比較という点では合っていたのかもしれません。

もう少し筋力のバランスがよくなってくるとスタートダッシュが利くようになりそう。来年のG1戦線が楽しみな1頭という認識です。

 

気になった馬

ガイアフォースは若干押し出されたような1番人気で8着。最内枠からスタートダッシュがつかず、早々にビーアストニッシドに前を取られてしまいました。セントライト記念での、外々を伸び伸び走っていた姿とは一転して、馬群のなかでリラックスしたストライドを作り切れずにスタミナを失っていったように見えています。

母父クロフネの長距離適性を疑う見解も目にしましたが、不完全燃焼に終わっているあたりこの一戦だけ何とも言えないところと思っています。血統で断じるよりはもう一戦待っているほうが楽しみが増しますね。適性の見極めもこれからと思っています。

ジャスティンパレス、というより鮫島克駿のリードが冴えていたという印象。インコースを取れずに善戦止まりと思っていたのですが、17番枠からスタートを決め、一気にインに切れ込むことができていました。ファーストコーナーでインから3列目、まさかガイアフォースを最内に閉じ込める役を担っているとは。

神戸新聞杯でインに拘った馬場と展開読みも見事でしたが、G1の舞台でもよく練られた戦略から活路をつくりだしていました。大きなタイトルを獲るのも時間の問題でしょうね。

 

最後に

もう天皇賞ウィークの週末。書ききれないまま平日が終わってしまうのは悪い癖と言いますか、クレーム対応などありましたからやむを得ないと言いますか。馬のことだけ考えたいですねぇ。

枠順の妙。秋華賞よろしく、有力馬は中ほどにずらっと横並びに。ファーストコーナーまでのポジション争いがかなり勝敗に影響しそうです。

いまのところ、パンサラッサもジャックドールも序盤のペースはあまり深追いし過ぎたくないはず、並び的にジオグリフがスタートを決めるとかなりのアドバンテージを得そう、イクイノックスはどうしても距離ロスが発生してしまうのでないか、バビットがダッシュ利かせて逃げる?、マリアエレーナ面白い、などなど。イメージを燻らせているところです。

とりあえず雨と馬場コンディションについて心配しなくてよいのは有難いですね。存分に展開を考えたいと思います。