more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第75回 阪神ジュベナイルフィリーズと香港国際競走

やっぱりせわしない観戦になりますね。

 

できればG1とG1の間隔が30分くらいは空いていてほしいですね。特に阪神JF香港スプリントは10分しかないので、どうしても余韻を味わうという情緒が削られてしまいます。

ジョッキーも日本と香港に分かれてしまうわけですが、今年は田口貫太と永島まなみがG1初騎乗の機会を得られましたから、それはそれでよい一面なのかもしれません。

 

阪神ジュベナイルフィリーズアスコリピチェーノ

新潟2歳の走りを見る限り、何かストロングポイントの際立った馬に惜敗というイメージをもっていたのですが、中団追走から直線粘りこみました。インからステレンボッシュが迫ってくるともうひと脚使ったように見えていますので、まだ余力があったかもしれません。

 

3コーナーで挟まれていましたが、その後の位置取りは見事でした。直線までジッとして外へ展開、勝負どころがスムーズだったのはそつのないリードの賜物でしょう。

あれだけ挟まれた後で気持ちを切らさないアスコリピチェーノの精神力もまた評価しておきたいですね。

 

北村宏司キタサンブラック以来のG1制覇。今年の夏に2週連続で重賞を制したあたり、馬回りがよくなっているのかなという印象を覚えていました。先週ターコイズSを勝ったフィアスプライドに関屋記念府中牝馬Sで騎乗しているなど、おおむねその印象は的外れではなかったようです。

新潟記念を勝ったノッキングポイントでダービー出走していました、もっと以前から着々としていましたね。

ベテランのケガからの復調はなかなか難しい認識。お見事だったと思っています。

 

公式レースラップ

12.4-10.7-11.3-12.0-11.8-11.3-11.4-11.7

 

シカゴスティングの逃げ

鮫島克駿が思い切って行きました。テンションの高さが課題というコメントを見ましたが、逃げっぷりをみるとそれを上手に御す戦略が上手くいったようです。これで掲示板に載っていますしね、ジョッキーの判断のよさと合わせて好印象でした。

 

有力馬の印象

ラソンビートはレース直前まで1番人気。個人的にはあの府中で見せた末脚はピッチ走法に過ぎるのでは、と読んでいました。あれだけ回転が速いとトップスピードのキープが難しいだろうなと。急加速できる反面、失速幅も大きくなってしまうという見立てでした。1、2着に差し届かなかったあたりにそれを見ていますが、クイーンCあたりで狙ってみたいですね。

 

ステレンボッシュは勝ち馬の直後で追走しての2着。1列後ろの分、どうしても直線で進路を探す時間が生じてしまいました。返し馬でだいぶ気持ちがはいった様をみせていましたので、スタートからポジションを求めにくい状況ではあったでしょう。プッシュできたならアスコリピチェーノの位置が取れていたかもしれませんが、その差は大きいという結果でした。でもいい末脚、想定以上だったという点は覚えておきたいところです。

 

本命キャットファイトは10着大敗。ゲート前でうるさい仕草を見せていましたし、スタートは決めたものの外から先行馬が被せてくると首をあげて怯むような仕草。鞍上は入れ込んでしまってというコメントでしたが、精神面の弱さをくるんだ表現にしたのかなと邪推しております。

逃げたシカゴスティングは後方外からの押圧でびっくりしてピッチをあげてまさに「逃げて」いましたし、カルチャーデイは控えるのと挟まるのが同時に発生してバタバタしてしまっていました。

仮にキャットファイトがスタートダッシュのまま先行策をとっていたら、この先行勢に巻き込まれていたわけで、より着順を下げていたかもしれませんね。馬群で追走する経験が今後に活かされるよう信じたいところです。

 

あと気になったのはドナペティ。阪神外回りマイルの大外枠ですから、もうどうしようもないコース取りだったでしょう。サフィラとの併走から一つ下げて、そこから一気に内ラチまで寄せていきました。坂井瑠星の気持ちの強さをみましたね。直線はフラフラしながらも相対的に伸びにくかったであろうインからいい末脚。次走は枠も好転するでしょうし、注意しておきたい1頭です。

 

香港国際競走は香港馬優勢

一方の香港国際競走、今年は日本馬勝利ならずでした。全体的なレベルの高さはやや日本馬が上というざっくりした印象をもっていますが、今年は香港勢にしっかり走られてしまった格好です。

 

JRAのリリースはこちら。

www.jra.go.jp

 

勝ち馬を整理しておきますね。ジュンコはアンドレファーブル厩舎のフランス所属、それ以外は地元香港馬でした。

香港ヴァース:ジュンコ
香港スプリント:ラッキースワイネス
香港マイル:ゴールデンシックスティ
香港カップ:ロマンチックウォリアー

 

個人的にはゴールデンシックスティが強烈な印象

スロー気味と理解しながら観ていましたが、外枠から抜群のスタートを見せつつ、ひとつもふたつも譲るようにして中団外目にポジショニング。そして直線仕掛けてからの1頭だけ異なる末脚。「セン8」の文字がうそのようなパワフルさでしたね。凄かったです。

3、4着にナミュールとソウルラッシュが善戦しましたが、やっぱり好位や中団から4コーナーで押し上げて直線突き放すというパワフルなマイルチャンピオンはなかなか現れてくれない印象。日本のブリーディングもトレーニングもそちらの方向には向いていない、という言葉が浮かびました。ちょっと古いわけではありますが、そうした強いマイルチャンピオン、イメージはタイキシャトルなんですよね。

 

どうやらゴールシックスティはこれで引退、余生は北海道とのこと。会ってみたいですね。コロナ以降、牧場巡りはできていませんので、ひとつ楽しみが増えた格好です。

 

気になった馬

カップのローシャムパークは1コーナーまでの距離が短いカップで大外枠。跳びが大きく、スタートダッシュには決して向いているとは言い難いですものね。だいぶ疑ってかかっていたのですが、よりによってプログノーシスと食い合ってしまうとは。

川田のコラムを読み限りは、だいぶ外から押圧されていたようです。押し返すというより位置をキープするために接触が繰り返される状態だった様子。ファン目線からすると日本馬同士でもったいない、という感想になってしまいますね。

ジュンコの結果を見ると、プログノーシスはヴァーズのほうがチャンスがあったようにも。でもこればかりは結果論ですよね。

 

メディカルチェックが厳しかった件

メディカルチェックの厳しさは昨年サリオスが走れなかったあたりで感じていましたが、今年はヴァーズが象徴的でした。シャフリヤール、そしてアイルランドのウエストウインドブローズと出走NGに。前者は不整脈、後者は左前肢の異常。…程度はわかりかねますが、やっぱり厳しかったのかな。

エストウインドブローズコーフィールドカップ2着ですからオーストラリアの厳しいメディカルチェックは通った経緯があるわけで。連戦の疲れですかね。

 

ヴァーズは地元のロシアンエンペラーがそれより前に回避していましたので、結果頭数少なめでの開催になりました(8頭立て)。ただもし出走できていたら香港馬で4タテはあり得たかもしれません。

 

サリオス、シャフリヤールと、いわば種牡馬価値を高める機会を奪われた格好になっていますので、ノーザンファームに限らず日本勢はきっと対策を講じてくるでしょう。

香港に限らずオーストラリアも動物愛護の観点から基準が緩和される方向にはないでしょうから、そのチェックに見合うセレクションをすることになるはずです。馬場と遠征への適性を考慮してスルーセブンシーズが凱旋門賞を決めた実績がありますからね。

 

最後に

いやー、まだ忙しいのですが、忙しかったです。平日の業務も年末進行、プライベートも動きがありまして、なかなか回顧記事をまとめる時間が確保できずに2週が経過してしまいました。

予想も十分時間がとれなかったわけですが、こういう時のちょっとしたインプレッションがとても的中に直結したり…、と期待したのがいけなかったですね笑

香港は1着を本命で指名しながらいわゆるヒモ抜けで外れが2回。4競走でジュンコとウォームハートのワイドしか当たらない残念な結果に。ちゃんと向き合わないといけません。

 

週中には朝日杯をまとめて、有馬モードに突入したいと思っています。きっと枠順抽選会でTLがワキワキしているころに朝日杯を振り返っているのでしょう。

忙しいのはありがたいことではあるんですけどね。もう少しゆったり競馬のことを脳裏にくゆらせる時間がほしいところです。