more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第24回 チャンピオンズカップ

レモンポップ、距離延長を克服しての中央ダートG1ダブル制覇となりました。

 

大外枠、初の1800m、初の2ターンと初物尽くしのチャレンジとなりましたが、見事に克服してしまいました。1コーナーまでに先頭は難しいのではないかと思っていましたが、他馬の動向を何度も確認しつつ自身は2ハロン目11.0を叩き出し、余裕をもって1コーナーへ進入できました。

よく確認すれば、フェブラリーSでは2ハロン目10.9を4番手追走できているんですよね。不可能ではない戦略と認識すれば、この逃げ切りも妥当と感じているところです。

 

ジョッキーズカメラの坂井瑠星も奮っていましたね。レース後引き返してくるあたりで「すばらしい」「想像以上」というコメントを繰り返していました。ここから推測するに、1コーナーのポジション、道中の折り合い、ラストの伸び、どれをとっても盤石の自信と読みをもって臨んだわけではなさそうです。

とすると、瑠星の経験こそがあの先頭を奪う戦略に踏み切らせたといってよいのでしょう。フェブラリーS然り、南部杯然り、瑠星ならではの戦略と勝利といっていいと思います。レースを支配する方に賭けられるジョッキー、ということですね。

 

「完全に想像を超えてきました」という表現に並行して「若干脚があがった」というコメントも聞こえました。個人的にはあのレースぶりをみて、改めて1800mは長いという見解に至っていますが、これで選択肢は広がった格好。

サウジカップですかねー。今回の中京ほどタフな馬場ではないでしょう、その分を期待してよいのかどうか。期待と不安が入り混じりながら見守ることになりそうです。

 

公式レースラップ

12.5-11.0-12.9-12.4-12.1-12.4-12.6-12.1-12.6

昨年の公式レースラップを比較のために。

12.7-11.1-12.8-12.6-12.6-12.7-11.9-12.3

 

ダートはかなり乾いたコンディション

乾いてましたねー。当日発表の含水量を前年と比較するとよくわかります。

4コーナー:1.7(2022年は7.0)

ゴール前:1.4(2022年は8.0)

7.0や8.0だと状況次第でやや重判定もあり得る数値。対して今年の数値はもうほぼ水分が飛んだカラカラの状態ですね。全部調べていませんが「歴代」と形容していいくらいの乾燥状態だったではないでしょうか。

当日朝の情報では日中にほこり止めの目的で2度散水予定だと確認していましたが、含水量を大きく変化させる材料ではないですよね。

 

昨年の勝ち馬ジュンライトボルトの上がりは36.2、逃げ馬の直後2番手で追走したクラウンプライドは36.7。一方で今年37秒を切った上がりを計時したのはウィルソンテソーロ36.6のみ。

走破タイムは昨年のほうが遅いことからすると、時計のかかる馬場コンディションを追走するパワーが求められたというのが今年の特徴といえそうです。後述しますが、ウィルソンテソーロは後方待機していましたからこのヘビーな追走にあまりお付き合いしていない分、末脚が伸びたといえそうです。

 

レモンポップの馬体の完成ぶり

田中師のコメントは冷静な分析に裏打ちされた印象がありますね。「この夏を越して前躯が成長してバランスがよくなった」「ここにきて波がなくなり落ち着いてきた」「走りのバランスは中距離のものではない」。こちらがおおむねでイメージしていたことがわかりやすい表現で言語化されています。

前躯が成長したことは、スタートダッシュや中京の3、4コーナーの下り坂を一気に加速せずに踏ん張る走りに反映されたものと推察します。

 

南部杯直後、BCダートマイルJBCスプリントチャンピオンズカップと3択という報道がされていましたが、今から思うとこうした面も考慮にはいっていたように思えますね。

 

次走はサウジカップ

これで今後の選択肢は広がったように見えますが、この秋はどちらもマイペースの逃げ切り。特にチャンピオンズカップは時計がかかり切れ味を活かせない馬場。レモンポップの特性を活かした勝利ともいえるように思います。

サウジカップのようなスピードが出る馬場でハイペースかつワンターンの展開に対応できるかはまだ未知数。どちらかというとスタートからガンガン飛ばす展開はあまりやってきていない印象があります。この秋は馬群で我慢する内容でもないですしね。

 

陣営にとっては引き続きのチャレンジになるのでしょう。フェブラリーS連覇を狙う進路もゼロではないのでしょうが、オーナーがオーナーですしね。

 

条件の時から気にしてきた馬ですし、その当時からすればパフォーマンスも評価も上がったなぁという率直な感想がありますが、ここからはもうひとつ大きなハードルに挑むことになるのでしょうね。引き続き応援したいと思います。

 

本命はドゥラエレーデ

レモンポップが番手という前提から、他にタフなダートで先行して残せる馬を探しての本命視でした。逃げ馬があまり見当たらなかったという見立てでしたので、ケイアイシェルビーかメイクアリープあたりが逃げてドゥラエレーデが外の3番手というイメージ。場合によっては逃げてもよいかもと思っていましたね。

ペースは上がらず3~4コーナーからの持久力勝負、あとは差しにくい馬場での前目にポジションを取った馬のアドバンテージを高く見積もるという読みでしたね。実際、直線でテーオーケインズを競り落としての3着ですからおおむねは合っていたのですが、レモンポップが前にいたことが大きな誤算でした。

 

特徴的だったのはスタートから1コーナーまでのムルザバエフの誘導。レモンポップの逃げを把握してから外側に膨らんでいきました。意図はわかっていないのですが、結果として後続へのけん制になりつつ外目の3番手を取る動きになりましたね。

外へ膨らんだことで進路を塞がれてしまったのがグロリアムンディとクラウンプライド。どちらももう少し先行していればドゥラエレーデのこの動きをさせなかったのでしょうが、どちらも強くスタートダッシュを求めていませんでした。川田は馬が後ろ向きだったとコメント。

この2頭がもう少しポジションを主張しているイメージでしたのでレモンポップはどうしても外目追走のイメージだったんですよね。

 

ドゥラエレーデは結果としてレモンポップのマイペースを直後で追走してなだれ込むような直線のパフォーマンスになりました。離されずにゴールまで粘りこんでいますから、日本で初めて出走するダート重賞としては上出来といえそうです。

 

どうやら次走は東京大賞典。1コーナーまでの距離があることがプラスにでるかどうかが未知数という印象ですが、アルバニーの白い砂、合いそうな気がしますね。

 

ウィルソンテソーロは出遅れが嵌っての2着

ラストの脚はすばらしく目立ちました。この馬場で差して来れるあたりは交流重賞を連勝してきた経験が活きている&地力の証明というべきでしょうが、レースの運び方は何とも。。。

出遅れて流れに乗れずに後方待機。2コーナーからはひとつ外のアーテルアストレア横山武史に蓋をされながらの追走。3コーナー手前で外へ展開する意思が見えましたがノットゥルノとアーテルアストレアに囲まれ4コーナーでいったんインに戻されるような恰好。直線で外に出す際もノットゥルノと接触接触したことで外への道が開けた形になりました。

 

鞍上は原優介。騎乗数はありますが今年の重賞騎乗が4戦目、G1は今年初騎乗という実績。テソーロの馬に騎乗する機会を得ているようです。…うーん、この実績で中京ダート1800のバイアスの強いコースで買い目に加えるのはなかなか。。。結果2着にもってきたことは評価すべきですが、目の粗い内容という印象でした。

 

テーオーケインズはこれがラストランの4着

枠順を見た瞬間は買いだと思っていましたが、馬場が乾いてパワーとスタミナが要るとなったことで評価を下げました。案の定といいますか、直線好位からドゥラエレーデに競り負ける展開。馬場が向かなかったというべきなのでしょう。

結果的にこれがラストランとなりました。2年前に勝ったときは時計も速く、その年の帝王賞も重馬場でスピードが要る馬場。タフなコンディションではパフォーマンスを下げる傾向が、特に今年は顕著だったという印象でした。

 

種付け料は250万円。キングズソード、ミックファイア、ドライスタウト…。シニスターミニスターの血が高く評価されている中での種牡馬入り、いいタイミングなのでしょう。どうやらシニスターミニスター自身はすでにBookfullのようですから、テーオーケインズに人気が流れる可能性は十分にありますね。

ウシュバテソーロの快挙に隠れてしまっていますがドバイワールドカップの4着は大健闘と見ていましたし、逆に帝王賞は遠征帰りとはいえ抜け出せないかという3着。ここ1、2年のダート戦線では好きな馬だった分一喜一憂していましたね。おつかれさまでした。

 

最後に

これで最優秀ダートホースが何とも言えなくなった、と思っています。ウシュバテソーロかレモンポップか。ダート馬の表彰が距離別になっていればきれいに棲み分けができていたのかな、などと思ってしまっております。

ドバイワールドカップの勝利だけでウシュバテソーロ一択という見方もあるでしょう。でもなー、正直客観的な物差しはあるようでないですし(あるいはあってもそれによった投票がされないだろうことも含めて)、投票動向がどうなるかは読みようがない印象があります。

交流重賞JRAの最優秀ダート表彰にどう取り込むのかという明確な見解も打ち出されないまま今に至っている認識ですし、ダート三冠の路線整備に伴ってこうした表彰制度も整えていただきたいなと思っているところです。