more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第83回 優駿牝馬

スターズオンアース、鮮やかな2冠達成となりました。

 

大外枠は言われるほど不利ではない認識でしたが、それにしても鮮やかでしたね。15分発走が遅れた状況下、スタートが決まらない馬や大きく左右にふらついてしまった馬、その煽りを受けてしまった馬が多かったのはやはりスタンド前で待たされた影響が大きかったでしょう。落ち着いて走れた桜花賞馬、大外枠はプラスに働いたかもしれませんね。

公式レースラップはこちら。
12.4-11.0-11.9-12.6-12.7-12.5-12.3-12.1-11.6-11.3-11.7-11.8

 

サウンドビバーチェがラブパイローに顔を蹴られて放馬。捕まってゲート前まで引かれて馬体検査で競走除外、この間の15分は各馬の集中力に大きく影響した模様です。ゲート前の輪乗りからこれだけスタート時間が引っ張られたのはあまり記憶にないですね。

ウォーターナビレラはゲートが開く前に突進してしまい、スタニングローズ、アートハウス、ホウオウバニラ、ナミュールらは伸び上がるようなスタート。その間で出遅れたサークルオブライフは、内枠からアートハウスのヨレ、外枠からナミュールのヨレ、両側から強く寄せられ挟まれる形で下がってしまいました。初速がつく前のブレーキですから他馬に大きく水を開けられる形に。

その他の馬もゲートはでるも上手くスピードを乗せられなかったり、初速がつくもかかり気味になったり。オークス週の土日から7万人分のチケット販売、実際に3万人がはいったスタンド前で待たされた影響は大きかったでしょうね。コロナ対策の影響で、もっと観客数を絞った中で各馬のこれまでのレース経験が積まれているわけですから。

 

その中でのスターズオンアース。桜花賞は厳しいポジショニングを割って出てくる内容でしたが、一転してオークスは外々を追走して直線大外へ。道中ニュートラルなスピードをキープしながら自身のタイミングでスパートができました。これまで心配されていたヨレる素振りもなかったですね。1コーナーまでひとつ内のニシノラヴウインクが前々に行ってくれたでポジションの取りにくさも少なかったでしょう。

厳しさを求めつつ勝ち切る川田と、ロスを抑えてスムーズにリードするルメール。枠順や展開からやむを得ない場面があると思いつつ、それぞれのジョッキーのライディングスタイルがしっかり反映した、対照的なレースぶりだったように思っています。どちらにも応える馬が強いですよね。

 

本命はアートハウスでした。少し脚長でパワフルなストライド、個人的にはファインモーションに近いイメージをもっていました。忘れな草賞の直線の脚色だけでは買い材料として不足というのは承知の上で、未知の可能性に賭ける癖がでてしまいましたね。逆に言えば、それだけあの桜花賞へアジャストした上位馬をそのまま信頼しにくい見立てでおりました。桜花賞本命だったウォーターナビレラを△まで下げていましたので。

けん制の効いたスローからのラスト3ハロン勝負なら枠順含めて向くのではと見立てていたのですが、アートハウス自身がそれを拒んだような走りになっていたようです。3コーナー過ぎから少しペースが上がった時点でリラックスした追走ではなく、全力に近いストライドへ。直線にはいるまえに伸び切ってしまったストライドでは、府中の直線を押し切るのは難しいでしょう。結果的に上位馬の目標になってしまいました。すぐにいっしょうけんめいになってしまうタイプかな。

事前のインタビューで川田が指摘してた「心身のバランス」はここに当たるのでは、と推察しています。ストライドが大きい一方、溜めが効くメンタルではない。未完成の馬体と強い前進気勢。アンバランスな心身であることは、スタート直後のヨレ方にも表れているように思います。これからの馬。京都内回りが似合うと思うんですが、まだ阪神ですものね。

 

スタニングローズはアートハウスの誘導を受け続けたといっていいコース取り。枠の並びが大きく作用した印象があります。とはいえフラワーカップ勝ち馬。前々で運ぶ傾向が見えたダミアンとも合っていたでしょう。でも予想の段階では「祖母ローズバド」というベテランファンならではの先入観が強く働いていましたね。2着かぁ。

 

ナミュール桜花賞から巻き返しての3着。横山武史の巻き返しとも言えるでしょう。直線のイン選択は目を引きましたが、アートハウスがストライドロスを抑えるように大きく外へ展開した分、インが大きく開きましたからね。馬場のよいイン側を通れたのだと思います。個人的にはインに突っ込んだことで目標となる馬が近くにいなくなってしまった、その分集中を欠いたかなと思っています。でも戦前の距離延長の不安からすれば善戦という印象です。

 

最後に。当日は現地観戦、毎週府中に繰り出しておりますね、よきよきです。3万人強の入場者数はコロナ前の「圧」を感じるには十分でした。戻ってきたなという実感がありましたね。パドックは意外にも先週のほうが混んでいた印象でしたが、これはソダシ効果かな。グッズも完売だったようです。

さぁ、ダービーウィーク。皐月賞の1~4着、フォトパドックがどれも素晴らしく映っております。特にイクイノックスは父キタサンブラックの胸前の容積を見事に受け継いでいる印象、まだ未完成でこれですから。

直に見届けた共同通信杯でのダノンベルーガの末脚がふっと脳裏に過ぎりつつ、あの当時のジオグリフからは雲泥の差だなと思い直してみたり。

一方でnetkeibaの松島オーナーのインタビュー記事を読むとドウデュースに獲ってほしいと思ってしまいますしね。皐月賞の出来からさらに上があるように見えています、フォトパドックはこちらもすごい。いまのところ、これにデシエルトを加えて漠としたイメージをつくっているところです。

こうやって気持ちが揺れるのが楽しい1週間。堪能してまいりますよー。