more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第40回 マイルチャンピオンシップ

ナミュール、G1馬になりましたね。

 

当日の乗り替わり、天皇賞秋も衝撃でしたがこちらもまたなかなかにショックでしたね。ライアン・ムーアの落馬負傷で藤岡康太へスイッチ。鞍上弱化という主旨のコメントがX上でも飛び交っていましたが、単なる揶揄は別にしても、そりゃあバリードイルの主戦と比較すればどのジョッキーも見劣る印象にはなるでしょう。

それよりも、ナミュールという特徴に当日初めて乗って、大外枠から一発回答は相当難易度高いだろうというのが自分の見立てでした。…見事な一発回答でしたね。

 

ナミュール自身のやる気もあったでしょう、伸びあがるようなゲートの出。そのままニュートラルに進めば中団の外を追走することになったのでしょうが、康太は意識してグッと下げていきました。

後方2番手まで一気に下げたあたりは、レースラップでいうと10.5の区間。先行勢が強くダッシュしているのとは対照的ですね。直線の鮮やかな脚色のコントラストは、このスタートダッシュコントラストありきでしょう。

 

3コーナー過ぎの下りで最後方だったシュネルマイスターが外から被せてきましたがここでは動きを見せず。外へ展開する進路が切られていますので、おそらくライアンのままだったら、というより勝負を強く意識するジョッキーだったら進路確保かブロックにあたる動きをとっていたのではないかと思います。

康太、動きませんでしたね。いい意味で色気がないとあの溜めはできないという印象です。どこまで伸びるかわからないけど直線に賭ける、そういうプランだったのでしょう。

 

単穴的な人気の馬を本命にするときはこうした陣営の賭けにいっしょにのるような面があると思っています。こういう単勝は信じて賭ける分、気持ちいい的中ですよね。人馬も単勝を買っていた皆さんもお見事でした。

 

公式レースラップ

12.5-10.5-11.3-12.2-11.7-11.6-11.5-11.2

 

馬場は少し外差しバイアス

土曜より日曜になって少しずつ外寄りのバイアスがくっきりしてきたという印象でした。ただ、内が全くダメというわけではないとも。

ひとつ前の10R近江特別はウインスノーライトの捲り勝ちでした。内回りでしたが、直線でインを通ることも計算に入れたうえでの捲りだったでしょう。内外のバイアス以外にも捲りが決まる要因はあるわけですが、極端な馬場バイアスではなかったことが窺えます。

だから余計にソウルラッシュに期待したわけなんですけどね。

 

セルバーグの逃げという戦前の予想と実際のハイペース

前に行きたい馬が少ないね、というのが大方の見立てでした。逃げて結果を出しているのが中京記念勝ちのセルバーグとその外にはいったバスラットレオン。

自分の見立てはセルバーグの先手にバスラットレオン鮫島克駿がのしをつけて競りかけて前半少し速めに展開する、だったのですが。

 

エエヤンとマテンロウオリオン、そしてスタートを失敗したソーヴァリアントも。前で勝負したい馬が増えた形になりました。

本命馬が差し追い込みですから、人気薄は前目で残りたいという色気をもつのが自然ですよね。その思惑が折り重なった結果のハイペースだったように見えています。

 

本命ソウルラッシュは2着

昨年のマイルチャンピオンシップ、今年の安田記念のリベンジはなりませんでした。陣営の話でもあり、自分の予想の話でもあります。3度目の本命視、推しというよりはそれぞれ予想の組み立て上の結果論なんですけどね。

前走で先行策かつ速い馬場で速いペースを追走できたこと、最内枠を引いたこと、鞍上モレイラ。そのすべてがプラス材料に見えました。調整過程も非常によく見えましたしね。

五分のスタートから中団のインをキープして、4コーナーのコーナリングから直線入口で進路を確保するところはモレイラに託せるな、という読み。そのすべてが上手くいったんですけどね。

 

もう少しインがパンパンの馬場だったら。いやそれよりもソウルラッシュの末脚がもう少し持続性に富んでいたら。G1を獲るのは難しいものです。残念でした。

 

シュネルマイスターは接触が大きく7着

ゲートインしてから大きく立ち上がるシーンがあり、そのことでソーヴァリアントのスタートが不安定になり、2頭が接触するという負のスパイラルがあった模様。ソーヴァリアントも接触後に体勢を整えきれず数歩行ったところでつまづいています。

接触が痛かった、と書くととても被害を受けたニュアンスがでますが、この経緯ですから自身に起因するところも大きかったですね。

 

最後方はおそらく想定と異なっていたでしょう。それでも外に展開して末脚を伸ばすイメージではあったように思います。ジャスティンカフェの位置だったら勝利まであったかもですね。

ジョッキーカメラの映像、直線で馬群に突っ込んでいくあたりは壮観。まさに「突っ込んでいく」怖さが感じられます。よくこれを瞬時に判断できますよね。

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そしてレース後に現役引退が発表されました。長くトモにウィークポイントがあると言われ続けていましたし、それを補うようなルメールの加速を慌てさせないリードが勝ち切れないまでも安定した成績を生んでいたものと理解しています。馬場にバリエーションがないドバイでは調整に苦労していた記憶もあります。

でもこうしたストロングポイントとウィークポイントが明確な馬って意外に産駒が走るイメージがありますね。出したい特徴と補いたい特徴が明確ということは、つけたい繁殖を選びやすいということなのかもしれません。

 

キングマン産駒で日本のスピード馬場に適応し、かつサンデーサイレンスをもたないG1馬。面白い存在になりそうです。あまり本命にはしなかったのですが、予想の取捨では「どうする?」とよくにらめっこしていましたね。おつかれさまでした。

 

ジャスティンカフェは外目から間を突いて3着

馬の出来も切れ味もしっかり発揮された印象。なにより坂井瑠星の差しに進化が見られたように感じています。もともとひとつ早く仕掛けて粘り込みをはかる競馬で成績を積み上げてきている認識。その分、溜めて切れる競馬は数自体が少なく本人の経験値も相対的に少ないように受け取っていました。

 

今回のポジショニング、リズム、仕掛けのタイミング、直線でいったん外に振りながら前の馬のインを突いて進路を確保することなど、ソウルラッシュのモレイラとよく似た騎乗に見えています。

ソウルラッシュはソーヴァリアントの後ろから、ジャスティンカフェはセリフォスの後ろから、それぞれタイミングよくインのスペースに飛び込んでグンとアクセルを踏む形。甲乙つけがたい迫力でした。年齢と経験を考えれば、そう見せる瑠星の進境著しいという印象にまとまっています。

 

惜しいと感じたのは3コーナー手前、少しうながして前方の空間を埋めに行っているんですよね。おそらくソウルラッシュの外への展開をブロックする意図だったでしょうし、それは妥当な判断だと思うのですが、そこで脚を使ってしまったかという何ともいえないトレードオフがあったと思っています。

結果的に切れ味に特化した戦略が勝ったレースですからね。器用さがある馬ではないですし、ポジション<リズムだったら、というレースが観たかったという感想をもちました。

 

セリフォスは切れ味を発揮できず11着

川田将雅の勝負だから前に行くんだろうな、という予想が最後に本命にさせることを思いとどまらせました。それに耐えうる気性と馬体の仕上がりに見えなかったんですよね。なんといいますか、あくまで素人判断ですがパドックでは、首差しとトモの連動があるので躍動感があるように映る一方で肩回りの力強さに若干欠いている印象がある、という表現が妥当かな。。。

 

以下、川田の追い切り後のインタビューで出てきたコメントです。「バランスはあまりこの馬としてはすごくいいというわけではない状態」「(中身が)まぁこれでよくなるなという」「気持ちの強い馬」「一生懸命走ろうとするところ」「我慢をしたくないというところもある馬」。見事に表現できていましたし、そして言葉を選びながらも率直にコメントしていましたね。

それがわかるのが3コーナー手前。セルバーグの後ろにいれてペースが落ちるあたり、相当に首をぶんぶんしていました。まったく我慢するつもりがないという。。。3、4コーナーで息をいれるという概念がないような勢いでしたね。

 

心身の出来がもうひとつだったという面もあるのかもしれません。夏負けの影響から富士Sを回避しての秋初戦、そして1カ月後に香港遠征が控えている中での仕上げですので100%には持っていけないでしょう。一戦使ってガス抜きができるというタイプと考えれば、次に期待大と考えられそうです。

 

セリフォスが力を出し切るようなら阪神と京都のマイルチャンピオンシップの比較がもう少し容易になったかもですが、これはファン側の宿題になりましたね。

 

最後に

もう土曜のレースが進んでいるところ。ジャパンカップウィークはだいぶ仕事がバタバタとしていました。最終追い切り映像もインタビュー映像もまだ未チェック。家の片付けなどしてから夜にじっくり時間をとろうと思っています。

 

イクイノックス vs リバティアイランド。マスコミの語り口はおおむね2強、それを受けてか前日の単勝オッズも2強で推移しています。必ずしも、と思ってはいますがどうでしょうね。

1週前のスターズオンアース、ドウデュースの動きはかなりよいものでした。またパンサラッサがチャンピオンズカップからこちらに矛先を変えてきたこともあり、ハイペースからの差し比べという展開が濃厚という状況。

パンサラッサが引っ張り、直線でタイトルホルダーがそれを捉えたところを目掛けて後続の有力馬が差し込んでくる、というのがまずイメージとして浮かんでいます。

 

いまのところ「久しぶりにチャレンジャーの立場」となるリバティアイランドがイクイノックスの直後に陣取る展開を考えていまして、それがリバティにとってアドバンテージになる気がしています。が、どちらもスタート次第で変わってきますよね。

タイトルホルダーの出来とそれを各陣営がどう捉えるか、が展開のキーになるように思っています。そこを今夜整理することになりますね。

 

と、こんな感じで展開のイメージをしている間は何度も脳内でジャパンカップが発走しているわけで。その妄想とも予想ともつかない時間がファンを続けている醍醐味だと思っています。脳内で起きている分、なかなかファンじゃない方には伝わりにくいですけどね。

いまのところ世界最強馬に逆らいそうな勢いですが。はい、楽しみ尽くしたいと思います。