ジャンダルム、とうとうG1に手が届きました。
相当インバイアスの強い馬場コンディションではありましたが、それをきっちり味方につけるシンプルな先行策。荻野極からすればおおよそ想定内の展開だったのではないでしょうか。
それはスタートからの横の動きに表れていたように思っています。出遅れた最内枠テイエムスパーダが挽回して先頭に立てているんですよね。これは2番枠ジャンダルムがインを締めていたら出来ないことですので。
パトロールビデオをみると、荻野極はスタート後にいったん外へ膨れる進路を意識して取っていることがわかります。外の馬の進路をけん制し少し余分に脚を使わせる、その一方で最内枠の逃げ馬を「邪魔しない」戦略。テイエムスパーダに無理に先頭に立ってもらったほうが自分には有利と判断していたのでしょうね。
4コーナーの遠心力を利用して、ファストフォースをちょんと押し出して進路を確保。実にスムーズに直線まで向くことができました。あとは馬の地力。
母ビリーヴは中山のゴール前でデュランダルに捕まってしまいましたが、インをこじ開けてきたウインマーベルも春のチャンピオンナランフレグも大外へぶん回した(なぜ)ナムラクレアも振り切ってのゴールになりました。
ビリーヴとの母仔制覇。ビリーヴは新潟の代替開催だったスプリンターズSを制していますので変則的はありますけどね。お母さんも内枠を引いて好位のイン追走から逃げ馬を交わしています。血は争えない、でよさそうですね。
公式レースラップはこちら。
11.9-10.1-10.7-11.4-11.4-12.3
32.7-35.1
比較の意味で、今年のオーシャンSのラップも。
11.9-10.6-10.9-11.3-11.2-12.0
33.4-34.5
どこで上がってどこで下がるかという点でみると類似したラップですが、2ハロン目が速すぎる分オーシャンSより今回の方が厳しい前傾ラップと読み取れます。その10.1は荻野極が招き入れた結果であるわけですけどね。
メイケイエールの敗因は、この序盤の突っ込んだラップを少しかかり気味に追いかけてしまったことにあるように思っています。若干伸びあがり気味のスタートになったことで、左右に挟まれないようプッシュする必要が生じたのでしょう。
できるだけ先行策を取らなければ馬群の外々を回らされてしまうことも念頭にあったと思います。これらの要因はちょっとだけプッシュ→かかり気味という流れを生んでしまいました。
これでも勝ってきたのは道中の追走スピードがここまで厳しく問われなかったため、と言えるかもしれません。レース中のオーバースピードはラストに想像以上の失速を招くものと推察します。…G1レベルまで来ると、メイケイエールにとって程よい追走スピードはスプリント戦のそれではないのかもしれないですね。
本命はナムラクレアでした。正直、浜中の戦略が裏目にでた敗戦という認識です。うーん、4コーナーで外を回してしまいましたね。。。
仮にメイケイエールがコーナーで膨らむまで待ってからインに切れ込んだとしたら。その後ろにいたウインマーベルがインを捌いて2着でしたからひょっとして、と思ってしまいます。
個人的にはファストフォースの直後を容易に取れると読んだのが本命視の大きなポイントでしたが、スタートから外に張る進路取り。ファストフォースの後ろには3コーナー手前でダイアトニック岩田が容易に収まっておりました。そのあとの3コーナーではダイアトニックの外を回ることになり、ひとつまたひとつと外へ外へコース取りせざるを得ない流れになっていったように見えています。
浜中にとっては前走北九州記念の4コーナーが念頭にあったのでしょう。インかアウトか迷った様子は伝わっていましたし、netkeibaのインタビューでもそのことは吐露していました。
早めに進路を確保しなければ二の轍を踏む。ジョッキーの心理としては「馬場バイアス<進路確保」だったのでしょうが、今日のレースについては「馬場バイアス>>外への進路確保」でしたね。残念な結果になりました。
ウインマーベル松山の直線イン突きは結果論のように見えています。4コーナーでは少し外を志向していました。瞬時にインへ切り返したあたりに、リーディング上位にいる所以をみたと思っています。
一方のナランフレグ丸田はそのバイアスを心得て戦略を立てていたでしょう、4コーナーをコンパクトにまわり直線は馬群を捌きながら少しずつ外へ進路を取りました。コースロス少なく末脚を活かしていましたね。それでもインと先行有利のバイアスを覆すには至りませんでした。
メイショウミモザ丹内の縦のポジション取りは見事だったと思います。4コーナーでの進出、馬の特性や地力があればもっと接戦に持ち込めたかもしれません。先述したオーシャンSのラップ構成なら、とも思います。
うーんでも、浜中と同じ感覚を覚えていますが4コーナーで1頭外に回すタイミング、エクイターフ以前の馬場バイアスを心得ているジョッキーならではのような印象があります。アップデートが要る、という印象を覚えるあたりに勝手に残酷さを感じてもいます。
シュネルマイスターにも触れておきましょう。追い込み脚質に外枠、馬場バイアスと合わせて絶望的な状況が揃っていました。陣営も内枠よりスムーズな競馬ができると前を向くコメントを出していましたが、直線ヴェントヴォーチェに寄られてしまいごちゃつく展開になってしまいました。
オーナーがオーナーですから、このレース選択に至る検討過程の中でグランアレグリアの残像が重なっていたのかもしれません。次走はマイルチャンピオンシップでしょうか。ノーカウント、でよいと思っています。
最後に。
もう少しで凱旋門賞ですね。日本時間で18時頃のツイートでは上空を雲が覆ってきたという情報。週中はソフト=重で推移していた馬場ですから、ここから本番までに降雨がありながらレースが進むとどうなることか。。。
さらに例年通りオープンストレッチ、当日まで保護していたインコースが出現していますから、ますます悩ましい馬場読みになりそうです。
評価としては前年覇者トルカータータッソに、愛チャンピオンSの1~3着、ルクセンブルク、オネスト、ヴァデニが有力かなと思っています。アルピニスタも気になっていますが先に挙げた馬を上位に取っていますね。
タイトルホルダーをはじめ、日本馬は先行策の取りやすい状況にあるとは思います。でもなー、直線でタイトルホルダーが諸外国の有力馬の目標になるようなイメージがぬぐえずにおりまして。
それでも今年は願望で買おうかなと思っているところです。タイトルホルダーのインを突いてドウデュース、なら素敵ですね。