more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第48回 エリザベス女王杯

ブレイディヴェーグ、史上最少キャリアで女王戴冠成りました。

 

ほぼジャンプスタートで内ラチへよれる出遅れ。ここから巻き返してポジションを取ったあたりの鞍上の判断と呼応できた鞍下の仕上がりと。スローが見えていましたから、このアクションはとても妥当に見えていました。

ルージュエヴァイユをパスした後(に判断したと思っています)、ハーパーの直後というポジションを求めて、取って、1コーナーへ。有力馬に乗る川田将雅の直後ですから、この時点で直線まで連れて行ってもらえる、とてもセーフティかつ効果的な戦略をとることに成功していました。

 

そして、1、2コーナーでできたハーパー、ブレイディヴェーグ、ルージュエヴァイユというインコースの縦列。極端な馬場でない限り、京都のスローはインベタが理想のようですね。内枠を利して1、2、3番がワンツースリーでフィニッシュとなりました。

 

もちろん馬の非凡な才能が前提なのですが、それを発揮させるジョッキーの戦略もまた有効に機能した女王戴冠だったと思っています。

 

公式レースラップ

12.5-11.4-12.6-12.5-12.1-11.9-12.7-11.8-11.6-11.5-12.0

 

京都の読みにくい馬場コンディション

金曜の雨が残りながらの土日開催になりました。土曜は重開始でお昼に稍重、そのまま良への回復はありませんでした。

デイリー杯はインをついたジャンタルマンタルがいいフットワークでの勝利。しかしその2つ前の修学院Sは中団待機で馬場の真ん中へ持ち出したミッキーゴージャスの差し切り勝ち。

 

馬場にバイアスがあるというよりは、インから5~6頭分はまんべんなく少し掘れるコンディションのようでしたね。その掘れる馬場にパワーを吸収されてしまった馬がたれていった、ということなのでしょう。

午前中は特に上がりがかかりつつ、前が残る展開。全馬パワー負けして失速しながらの勝負だったことがうかがえます。

これが上級クラスだと、脚力も続きある程度スタミナ負けせず走り切ることができる分、先行勢のひとつ後ろで溜められた馬に有利に働くのでは、などと理解しておりました。

 

アートハウスの逃げ

リアルタイムで観ていた際は押し出されてしまったのかなと思っていましたが、瑠星の所作を見る限りは逃げる可能性も織り込んでいたようですね。

強めの前進気勢と決して豊富とは言えないスタミナ(一気に吹かし切ってしまうイメージですね)。きれいな走りとちょっとパワーを要する馬場コンディション。相反する条件を抱えながら、さらに距離延長でどこまで、というチャレンジでしたので、マイペースで進める可能性を求めて先頭を窺う判断にしたのはナイストライというべき範疇だと思っています。

 

ローゼライトからすればそのスローペースは望まないところでしょう。結果としてアートハウスをけん制し、向こう正面で12.1-11.9という加速ラップを作り出すことができました。アートハウスにはこれが苦しかったですね。

2コーナーでゆったりしたストライドになりかけましたが、馬体を近づけられ気持ちがはいって、残り1000m付近を目掛けて加速してしまいました。直線に向いた時点ではすでに余力がなかったものと思います。単騎逃げだったらもっとやれていた、と信じますが、今回はいろいろ不向きでした。

 

3、4コーナーのインを避ける動きとコース取りの攻防

出遅れたジェラルディーナは馬群の外目を狙ってアウトコースに張る動きを見せていました。ライアン・ムーアは出遅れたことでプランを切り替えたように見えています。終始外を回ってもインに閉じ込められないようにという意図を推察しています。

これに大外枠からビッグリボンが締める動きをみせて、出したいライアン・ムーアとブロックする西村淳也の鍔迫り合いが1コーナー手前で発生。加速する動きを加えたジェラルディーナが勝った格好でしたがパトロールビデオでこのバトルを見つけておおと驚いた次第です。

 

一方、3コーナーに向けてのハーパーとゴールドエクリプスの鍔迫り合いも見ごたえがありました。荒れたインを避けたい川田将雅と閉じ込めたい岩田望来。岩田からすれば、簡単に進路を譲ると相手に有利なうえ自身は余計に外を回らされますからね。こちらもバチバチやっていました。

 

…それを直後で虎視眈々とするブレイディヴェーグとルメール、ですよ。1番人気がストレス少なく鍔迫り合いもなく好位追走ですから、そりゃあ余力を残しやすいですよね。余裕をもった追走だった分、一番掘れていた3、4コーナーのインを通っても最後までスタミナ負けせず末脚を伸ばせたように思っています。

 

個人的には春の印象が秋につながる

今年の宝塚記念は府中で観戦したのですが、そのとき1勝クラスを快勝していたのがブレイディヴェーグでした。回転力のあるいいフォームで走っていたんですよね。ものが違う、という表現がぴったりなパフォーマンスでした。

戸崎からルメールに手が戻ってG1制覇するロードカナロアですから、アーモンドアイと相似形ですね。管理する宮田師は国枝厩舎出身ですから、いろいろと符合するところです。

 

なお、春の東京開催でもう一頭、走りの印象がよかったのはレーベンスティールでした。こちらはセントライト記念でやられてしまったので秋にはつながりませんでしたね(暮れの香港こそ、ですね)。

 

その他、気になった馬

ディヴィーナは控えるレースを選びました。ミルコはそれなりに逃げない可能性を想定して臨んでいたのでしょう。スタートしてまもなく手綱を引く判断になっていました。道中はなかなか折り合いに苦労していましたが、上がりもしっかりまとめていたように思っています。

ただ、折り合いに気を遣うためにスローペースを後方待機するのは立ち回りとしては勝機は薄め、でしたね。ミルコが距離延長に不安を示していましたが、待機策に舵を切ったか、とちょっとだけ残念に思いました。折り合いにもうひとつ不安がなければ、ハーパーの前後で勝負に参加していた可能性もあったように思います。

 

一方、ジェラルディーナはやはり出遅れが厳しかったですね。先ほど書いた1コーナーに向けた加速と、そのすぐあとにマリアエレーナの後ろへはめ込んでスピードを落としにかかった流れ。ジェラルディーナも急に減速できず(気持ちもふくめて)、首を振るシーンがみられました。

それでもライアンがレースの流れにのせて、ラストまで末脚を伸ばしていたのがすごいなと。善戦した内容は褒めるべきところではありますが、パドックでのテンションの高さといい、今後レースに向かう気持ちが切れてしまわないかという心配もしてしまうところです。

 

そうそう、ジェラルディーナとディヴィーナ。母同士がライバルだったことは既に語られているところ、同じ青い帽子になったのも奇縁というべきでしょうか。当時を知っている分この巡り合わせは稀有だなと思っていましたが、予想は別。どちらも馬券は一枚も買いませんでした。見立ては合っていたと納得しているところです。

 

あとはサリエラ。京都の時計勝負なら合うかもと楽しみにしていたのですが、馬場と枠を前提にしつつパドックをみて評価を下げました。まだ先があるという馬体のつくり。無理に仕上げず次のチャンスを残しながらのチャレンジだと受け取りました。

マーカンドのコメントが奮っていましたね。「コーナーワークでばらける感じ」「彼女にはフィニッシュラインが近すぎた、あと200mあれば」「地面が柔らかかった」「彼女が光り輝く日は必ず来ると思います」。今回は評価を下げましたが、いずれ来るであろうビッグチャンスを逃さずにいっしょに勝ちたいですね。

 

最後に

当日は府中で観戦。競馬博物館では「白毛図鑑」という企画展が開催中でした。ソダシの像も展示してあり、ちょうど今浪さんのトークショーがあったようでご本人と参加者との記念撮影のタイミングに出くわしました。ナマの今浪さん、しゅっとしてカッコよかったですね。

 

企画展は白毛の発生原理や発生確率など、遺伝研究的な内容がわかりやすく図解されていました。ちょうどXで見つけて取り寄せた本と内容が重なっていて(会場にも置いてありましたね)、読んだ内容と照らしながら興味深く拝見いたしました。

本は「遺伝いきものライブラリ3 サラブレッドの生物学」というタイトル、「NTS」という生物分野に特化した?出版をされている会社から刊行されています。

 

少し遅めのお昼は内馬場のラーメンフェスに。「東京ラーメンステークス」という直球なタイトルがついていて若干どうしようと思ってしまいましたが、「でぶちゃん」というお店の焼きラーメンを選択、おいしかったですねー。今週からお店のラインアップが変わるようなのでもう一回くらいいってみようかなと思っています。

 

さて、もうマイルチャンピオンシップ。メンバーも枠も馬場も、なやましいファクターばかりですね。引っ張る馬がいなさそうという点からはいって、内枠の差し馬を狙うという着眼点から組み立てていこうと思っています。

そうすると1年越しにソウルラッシュでいい思いをする自分をイメージしてしまうのですが、うーん、まだ結論はださないでおこうと思います。はい。