モリアーナ、後方一気で差し切りました。すごい脚でしたね。
先行勢が突っ込んだラップを作ったことも大きいのでしょうが、後方インで待機していたモリアーナがゴール前届くとは。レース運びもスタミナもしっかり示して、いわゆる勝ちパターンに持ち込んだのはヒップホップソウルだったんですけどね。
あの進路を探しながらきれいに蛇行するハンドリングはお見事でした。
公式レースラップはこちら。
12.2-11.0-11.8-11.5-11.6-11.8-11.8-11.9-12.4-12.0
モリアーナの前々走、NZTでは4コーナーを待たずの捲りと直線での粘り、結果は差のない4着でしたが、あの運び方の印象があまりよくなかったんですよね。脚の使い方が難しいタイプ?と思っておりました。
ただそのあと乗り替わってのNHKマイル、ここで鞍上は使える脚を測ることができていたのでしょう。大胆な待機策の裏にはちゃんと布石があったという認識に至っています。
金曜にかなりの雨が降ったことも大きかったように思います。台風接近にともなって金曜朝から運転取りやめや計画運休する電車、千葉に集中していました。前日発表の馬場はクッション値6.2。4コーナーの含水量は27.4%。17%を越えると不良判定される可能性がでてくるわけで、やわやわですよね。ほんとに前日でよかった。
そこから土曜の朝時点で19.8%。紫苑Sはやや重で迎えたわけですので、開幕週とはいえスピードの持続にはそれなりにパワーを要するコンディションだったのでしょう。ラスト2ハロンの時点で失速ラップになっているあたりに道中のペースの厳しさとヒップホップソウルのスタミナを読み取ることができます。
それを踏まえていたであろう、横山典弘の待機策。いわゆるポツンではありませんでしたが、基本的な発想は同じなのだろうと推察しています。リズムを整え、前半に速い脚を使わず、スタミナの使いどころを後半に集約する戦略。
結果的に後方でポツンすることになりますし、いったん馬群のペースから「外す」ことになりますので、よくもわるくも目立ちますよね。馬群にとりつくことも戦略なら、馬群に寄らず自身のリズムを刻むこともまた戦略でしょう。それを目算して表現できるのが横山典弘なのだろうと思っています。誤解されやすいみたいですけどね。
くしくも同日の阪神メイン、エニフSもそんなリズムでベルダーイメルが突き抜けていました。藤岡佑介の組み立て方はモリアーナのそれと近しいように感じています。
9頭立てと少なめでしたが、1番人気ジレトールの逃げ戦略を内枠の人気薄がけん制してハイペースを招く流れに。それを見越していたであろうスマートフォルス武豊は先団馬群の直後で脚を温存、直線で外に回して抜け出す見事な運び方でした。ちょうどヒップホップソウルに重ねるとよさそうですね。
近走のベルダーイメルは先行しても中団待機しても大崩れはないものの着順が振るわない状況でしたが、こちらもペースが上がるのを見て取ったのでしょう、藤岡佑介が大胆な待機策に切り替えてきました。
ノリさんとはまた違う思考経路で、藤岡佑介はあのポツンを狙うことがあるんですよね。レース中にチャンピオンズカップのウェスタールンドを思い出しました。あのときは2着ですけどね、リズムは同じだったでしょう。阪急杯のスマートオーディンでもいいと思います。
阪神も開幕週ですが、こちらは快晴の良馬場。ダートは含水量も少なく、少し突っ込んだ先行勢なら直線で苦しくなりやすかったでしょう。その馬場をこなすことも含めての待機策、嵌りましたね。
東西のメインが、全く異なる条件下ながら符合する脚質で決まったところに面白さを覚えますね。じゃあ日曜は追い込みを狙うかというと、また話は違ってきますからね。いまのところ全く決めていませんが、当日の馬場を見つつ考えを巡らせましょうか。
最後に。
これを書いている最中に愛チャンピオンSが発走。オーギュストロダンが4つめのG1を制しました。やっぱり良馬場のスピード勝負では強さを発揮しますね。
早くも次走にBCターフの名前が挙がっている模様で、ディープインパクトがBCターフも制するならすごいこと。コーナリングに若干の懸念を覚えますが、欧州の馬場や起伏よりアジャストしやすいかもしれません。
9月開催に切り替わると秋のG1が近づいたという感覚が強くなりますが、明日は凱旋門賞のプレップレースがありますし、国外もビッグレースのシーズン佳境というイメージ。プレップレース自体重要なG1ですけどね。
春の有力馬が順々に始動してきます、次走情報が目まぐるしくも楽しい時期になってきました。