ドウデュース、レースレコードで世代の頂点に立ちました。
1コーナーをそつなくクリアした後はずーっとワクワクしっぱなしでした。ダノンベルーガ、ジオグリフの直後というかなりベターなポジションをキープしつつ、外からの圧がない状態。4コーナー出口の遠心力を使ってスムーズに視界をクリアにしてからは一方的でした。速いピッチの末脚。素晴らしかったですね。
当日までは、4強のうちどれを本命視するかかなりフラットな評価でした。パドックの見栄え、返し馬のテンション、このあたりを見てからでないと1コーナーまでの組み立てが読み切れないなと。それによってアドバンテージを得られる馬が変わってくる認識でした。ただ、それにしてはあの29度の暑い日にパドックで2時間待機するのはカラダによくなかったようです。おかげさまで本命的中でしたけどね。
公式レースラップ
12.5-10.8-11.8-12.0-11.8-11.7-12.3-12.0-11.8-11.5-11.7-12.0
馬場コンディションは気持ち外差し寄り
ダービーウィークは金曜を除いてほぼ晴れ。土日を通じてコンディションに極端な差はない印象、インベタの馬が勝ち切るレースは少なかったようですがスロー逃げが嵌るとかなり前残りな結果になっていました。日曜10Rむらさき賞はヒルノダカールの逃げ切り、当日はパドックに張り付いていたため見れませんでしたが、先行馬の溜めが効くとククナの33.2でも届かないとは。強いグリップを要さない速い馬場であったという認識です。
「4強」がすべて外枠でしたからね。インコースを取りに行かなければ勝負にならないコンディションでないことを前提にできただけでも大きかったと思っています。当日天候が崩れていたら、自分の予想もいっしょに崩れていたでしょう。
「4強」のテンションと1コーナーまでのポジショニング
パドックで確認したかったのは以下でした。
ダノンベルーガの1週前追い切り。かなり川田が動かしたことで出色のタイム、見栄えのする追い切りになりました。ただ、カンテレ競馬のYouTubeチャンネルにあがっている川田のインタビューでは、美浦トレセンに慣れていないことでタイムがでているとのコメントがあり、個人的にはかなり気になるところでした。
おそらくですがこの1週前追い切りはあくまで結果論ですがやり過ぎていたのでしょう。パドックでは時折チャカつく素振りを見せつつ、左右のトモの踏み込みにかなり差のある歩様。攻めた結果のオーバーワークなのでしょうが、馬体に苦しいところがでつつメンタルも尖ってしまったのではないかと。少なくとも、反力の大きい府中の良馬場でコズんでいる1番人気は本命に推しづらかったですね。馬券を買ったあと、ゲート前の輪乗りで首をブンブン振っていたあたりでは確信に近い感覚でおりました。
ただし、マテンロウオリオンとジャスティンロック、すぐ内枠にゲートの速くない2騎がはいりましたので、川田の特徴と合わせてダノンベルーガの中団へのポジショニングはほぼ間違いないと見立てていました。走らせながら多少コズミが解消?などという心配までしてましたね。
イクイノックスはグッドルッキング。好印象だったフォトパドックのそれに近かったのですが、もうひとつ大きく見せていたら、という欲張りな感想をもっていました。気持ちテンションも高めでしたので、他馬と互角の出来であれば、大外枠から先行策は難しいなと読みが固まった次第です。ただでさえ皐月賞は馬のリズムよりポジションを重視した戦略でしたからね。2戦続けた場合の馬の今後まで考慮するのでは、と読んでいました。
実際は想像以上に控える戦略になりましたね。ドウデュースの近くというイメージでしたが、ルメールはより大胆な、イクイノックスのリズムを重視した序盤を演出していました。あれでドウデュースはやりやすくなったことでしょう。
一方のジオグリフ、晴れの良馬場で距離延長。今度こそ喉なりの苦しいところが出なければ、と思っていました。パドックでは素振りがありませんでしたが、レースでかかったあたりに少し懸念が残ったように思っています。このあたりは評価が難しいです。
皐月賞からの福永の見立てからして、ジオグリフを促して1コーナーまでにダノンベルーガを抑え込むポジションを狙うだろうと読んでいました。最低真横、できれば前。皐月賞では1コーナーでダノンの外に付けて並走、そのまま馬場のわるいインへ閉じ込めた経緯がありますからね。
ただし今回はジオグリフ自身の抑えが効きませんでした。スタートから慎重に慎重に促して、ダノンベルーガをパスしてから抑えにかかりましたが、もう気持ちがはいってしまっていました。
先行策を取るであろうロードレゼルを前に置くイメージがあったように思っていますが、向こう正面の入り口では前に馬が置けず。ワグネリアンとは異なり、道中落ち着く場面がつくれませんでした。かかってしまったのがダービーの興奮のせいなのか喉なりのせいなのかは何ともいえないところです。
かくして、ドウデュース。馬体はばっちり仕上がっており、テンションもフラット。パドックの周回スピードがちょっと遅いくらいマイペースで歩く姿を確認しております。
最もウィークポイントが少なく、最もいいポジションを確保して1コーナーを迎えることができるのはドウデュースという見立てがまとまりました。ダノンベルーガの直後を取れればジオグリフを前に見ることができる。イクイノックスが外々を回るならなおよし。あとはあの末脚が発揮できれば。
返し馬をみるために早めにパドックから離れたのですが、その時点では本命ドウデュースでほぼ固まっていました。枠順までは想定できませんが、この1コーナーを迎えるために逆算して皐月賞を待機策にしたわけでしょうから、武豊恐るべし、なのですよね。
デシエルトの逃げはスローにならないという読み
想定していたペースもおおむね合っていた模様です。皐月賞はゲートが開いてすぐ躓いてしまったデシエルト。安田厩舎の解散まで2年、まして鞍上岩田がこの流れで消極策を取るとは思えず。ディープブリランテの鞍上ですからね。
1000m通過はリオンリオンの爆逃げに劣っても十分速い58.9。それ以上に3コーナーで緩めすぎることがありませんでした。デシエルトの可能性をフルに引き出そうとするならこれだろうと。そしてこの緩急を抑えた厳しめのペースは「待機策を取る4強」に向くだろうと読んでいました。
しかしアスクビクターモアの先行策は見事でしたね、ロジャーバローズのような早め先頭でした。この田辺の戦略があった分、1、2着の末脚はより引き立ったと思っています。
(阪神の)朝日杯とダービーを制した馬は史上初
朝日杯とダービーを制した馬はナリタブライアンまで遡るようですが、朝日杯は阪神外回りに変わっていますからね。前例なしと受け取るのが程よいと思っています。
右回りワンターンのマイルと左回りツーターンのクラシックディスタンスで、どちらも500m以上の直線があるコース。以前より親和性がありそうですよね。
ドウデュースに関しては距離よりも大箱という条件を重視して、ホープフルより朝日杯を選択したという認識。どちらも直線入口で外に出すリズムは似通っているように見えています。今後も両方を制する馬は現れそうな気がしています。
凱旋門賞には直行
行くでしょう。行くしかないでしょう。オーナーはまさにそのためにオーナーになった方ですからね。関係者の思惑は一致、のんびりした気性を考慮してぶっつけ本番というローテーションを組むようです。結論はともかく、関係者の思惑が一致していることに頼もしさを覚えます。
馬場へのアジャストを不安視する向きもありますが、個人的にはディープインパクトの時のようなスクーリングを兼ねた競馬場での追い切りが可能であれば準備としては十分、あとは天候次第なのではないかと考えています。トルカータータッソの馬場になってしまっては、日本馬どころか現地の馬も取りこぼすわけですからね。
チャレンジするのはドウデュースだけではなさそうですしね。くしくもダービー後のレーティングは120、昨年のダービー馬シャフリヤールと並びました。凱旋門賞で共演となればこちらもワクワクする展開、望むところです。
府中の良馬場+厳しいペース=脚元への負担増
レース後からこちら、ジオグリフの右前骨折、マテンロウレオの左橈骨骨折、イクイノックスの脚部不安と、故障の報が続きました。イクイノックスは両ひざの裏に疲れがでて、左前の腱がレース前より太くなっていたとのこと、屈腱炎ではないもののダメージは大きいとの見立てでした。
レコードがでる馬場コンディションということは、それだけ求められるトップスピードが高いということになります。ましてグリップが効きやすく反力を受けやすいエクイターフですから、各馬の関節の可動域はこれまでになく大きく動かすことになっていたでしょう。その負荷を柔らかく強い筋肉でサポートできればよいですが、すべての馬が万全の体制で望めるわけではないですからね。カラダの使い方には個体差も大きいですし。
単に速い馬場に故障が多いのではなく、コンディションのよい馬場の特性を目いっぱい利用して頂上決戦を行った結果、と受け止めるべきでしょう。おそらくですが、デコボコの多い馬場であったらもっと故障率が上がっていたのではないでしょうか。それはそれでまた無闇に責められていたでしょうね。
ダノンベルーガに関していえば、トモが入りきらない仕上がりだったことが、究極の伸縮を使わずに済んだ=骨や腱にはダメージが少な目で済んだ、といえるのかもしれません。…そんな簡単ではないかな。4着まで押し上げているわけですからね。
ドウデュースもぜひ無事に。しばらくバキバキに仕上がっていましたからね。上手く休養してくださいませ。
最後に
もう安田記念の枠順もでているわけですが、余韻が大きいですねぇ。いろいろな記事やツイートをみては、嚙み締め方が深くなっているところです。
ここ数年のダービー馬の血統構成、母や祖母にブリーダーズカップの短距離カテゴリー(マイルまで)を勝った馬が続いているというツイートを見つけて、なるほどと思ってみたり。スピード重視はこういう傾向を生むんですね。ワグネリアンに至っては祖母ブロードアピールですから。
やっぱりトルカータータッソが勝つ馬場コンディションでは大きく離されていそうではありますが、日本の頂点はここにあると、芝馬場での究極のスピードを究めていると胸を張るべきなのでしょう。きっとどの国のダービー馬よりスピードに卓越しているでしょうからね。ダービー馬のアップデートというべき傾向がくっきり見えている、と理解しているところです。