more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第66回 大阪杯

ポタジェ、初重賞制覇がG1となりました。

 

まさかスタートが決まってダッシュしているジャックドールの近くまで進出できるとは思いませんでした。出していって、控えての5番手で1コーナーへ。阪神2000mというロケーションで、エフフォーリアの前に入り込んで1コーナーを迎えたシーンは明暗くっきり、なんとも象徴的に見えております。

前走金鯱賞は極端な待機策から4着。次走へのリズムはよいなと思いつつ、1コーナーまでのポジション争いで2つ内枠のエフフォーリアが壁になり微妙に後手に回るイメージが拭いきれませんでした。逆でしたものね。

 

「3コーナー過ぎて、耐えられる馬と耐えられない馬が」とは鞍上吉田隼人のコメント。残り800付近から内ラチ沿いを離れていますので、そこからが言わんとするポイントでしょう。外のショウナンバルディ、直前にいたウインマリリン、2番手のアフリカンゴールド。これらを冷静に見極めてパスする進路。4コーナーでレイパパレのひとつ外にロックオンしたのは見事な見立てでした。同期の川田将雅への信頼があったかもしれませんね。

 

公式レースラップはこちら。

12.3-10.3-12.0-12.2-12.0-12.1-11.7-11.5-11.8-12.5

馬場がだいぶ異なりますが昨年のレースラップも。

12.4-11.1-12.1-12.1-12.1-12.8-12.2-12.1-11.6-13.1

 

ジャックドールが粘り切れなかったのは複合要因と思います。少し馬場が緩かったことがスタートからの加速に鈍さにつながったのかもしれませが、金鯱賞の前半3ハロンは12.5-11.0-12.2。昨年のそれと比較しても、今年の2ハロン目はかなり突っ込んだラップに見えています。過去のラップを確認しても、G1昇格以降とびぬけたスタートダッシュになりました。

レイパパレの攻めのスタート。1コーナーまでのラップは川田の姿勢が大きく影響したと見ています。エフフォーリアをけん制しジャックドールをけん制し自分に有利なポジションを確保するにはこれだったわけですが、思った以上にジャックドールをけん制できていました。

一方、アフリカンゴールドのマークは中盤のペースを落とさなせない、という効果を果たしたようです。結果的にレースラップ自体が厳しいものになりました。G1にふさわしいといえばそうですね。

藤岡佑介はスタートから被せられないようにギアを上げていったようですが、他のジョッキーをけん制するようなプッシュも、反対にペースを深追いしない判断もなかったという意味では、結果論ではありますが中途半端な逃げを選択することになってしまったと言えるかもしれません。

レース中に右後脚で落鉄があったという報告も。直線にむいて余力がない中で、落鉄した脚を推進力にしなければならなかったようです。厳しい条件が重なりました。

 

エフフォーリアの惨敗も複合要因と思います。1週前追い切りの動きがいまいちで合った点、これをさらに遡れば外厩での調整が十分でなかった可能性が推察されます。最終追い切りも当日の返し馬も悪い印象はありませんでしたが、急仕上げの影響があった可能性は否定できないかなと。

また、天皇賞有馬記念と初速も追走スピードもより厳しくないレースを経験をしながら今回のスタートダッシュですから、全く性質の異なるペースへの適応を求められたと言えるでしょう。最終的に割り引いたのはここでした。

内枠をアドバンテージにすることは叶わず、4コーナーで後方外目というこのコースではかなり絶望的なポジションに。このスポイルに抗するため大捲りを打ったサトノダイヤモンドを思い出しました。緩ペースからの切れる差し脚が武器の馬には苦しい舞台という認識です。

ゲートに激突した影響もありそうですね。右目の上が腫れているようです。生き物ですからね、これで集中しきれなかったという可能性もありそうですね。

 

どうやら仕切り直して宝塚記念という構想のようですが、できれば秋に備えてほしいかな。完成したエフフォーリアがどれくらい強いか、ジャパンカップで観てみたいと思っています。

なお、レース後にエピファネイア早熟説というパワーワードを目にしましたが、ええ、エフフォーリアについては真逆でしょうね。そういえばディープインパクト初年度、2年目の産駒あたりは早熟説、マイラー説、牡馬はG1をひとつしか勝てない説、などいろいろございました。

 

アリーヴォとヒシイグアス。それぞれ3コーナー過ぎからポタジェと同じようにエフフォーリアを見限る形で進路を確保しながら進出していきました。このあたりはそれぞれの鞍上、武豊池添謙一のヘッドワークが見事と思わせます。

ヒシイグアスは香港で本命だったんですよね。事前の堀師のコメントも歯切れが悪いなりに「香港カップよりよい」とのことでした。まだよくなりそうですよね。この後も順調に言ってほしいところです。

 

最後に。サウジカップデーからドバイワールドカップミーティング、そして香港チャンピオンズデー。海外遠征を転戦する春のローテーションが今後も、平和であれば、より推進していくものと思います。いまは京都開催ができないことで春の中長距離G1が阪神芝に偏っていますからより強いバイアスに見えてしまいますね。

遠征で有力馬が分散することはアリだと思いつつ、国内に選択肢が少ないのは何とかしたいなと。じゃあどうするのか、具体的なアイデアがあるわけではないのですが。

サトノダイヤモンドシュヴァルグラン、ブラストワンピース、ワグネリアン、コントレイル、そしてエフフォーリア。コースレイアウトとそれにアジャストするペースに強くスポイルされてきたG1馬に、この時期に力を発揮しやすい選択肢があるといいなと思った次第です。ないものねだりかな。