今年で区切りになりますので、一覧をまとめつつ振り返ってみました。
まずはプレーンな歴代結果一覧から。ペースの表記はnetkeibaを参考にしつつ公式結果のレースラップから算出しています。
開催日 | 勝ち馬 | 騎手 | タイム | ペース | 2着馬 | 3着馬 |
---|---|---|---|---|---|---|
1999/7/8 | オリオンザサンクス | 早田秀治 | 2:06.9 | 36.6-40.7 | オペラハット | サマーシャドウ |
2000/7/12 | マイネルコンバット | 大西直宏 | 2:06.4 | 35.5-39.0 | イエローパワー | タキノスペシャル |
2001/7/12 | トーシンブリザード | 石崎隆之 | 2:05.8 | 36.2-37.8 | メイショウアーム | カチドキリュウ |
2002/7/4 | ゴールドアリュール | 武豊 | 2:04.1 | 36.2-36.8 | インタータイヨウ | プリンシパルリバー |
2003/7/8 | ビッグウルフ | 武豊 | 2:04.9 | 35.8-38.2 | ユートピア | ナイキアディライト |
2004/7/8 | カフェオリンポス | 柴田善臣 | 2:04.5 | 35.7-37.8 | アクイレジア | キョウエイプライド |
2005/7/13 | カネヒキリ | 武豊 | 2:04.9 | 34.9-37.9 | メイプルエイト | ボンネビルレコード |
2006/7/12 | フレンドシップ | 内田博幸 | 2:06.1 | 35.7-39.9 | バンブーエール | オウシュウクラウン |
2007/7/11 | フリオーソ | 今野忠成 | 2:02.9 | 34.7-37.7 | アンパサンド | ロングプライド |
2008/7/9 | サクセスブロッケン | 横山典弘 | 2:04.5 | 36.1-36.7 | スマートファルコン | コラボスフィーダ |
2009/7/8 | テスタマッタ | 岩田康誠 | 2:04.5 | 35.0-37.3 | シルクメビウス | ゴールデンチケット |
2010/7/14 | マグニフィカ | 戸崎圭太 | 2:05.2 | 36.1-37.8 | コスモファントム | バトードール |
2011/7/13 | グレープブランデー | 横山典弘 | 2:04.9 | 34.6-37.3 | ボレアス | タガノロックオン |
2012/7/11 | ハタノヴァンクール | 四位洋文 | 2:05.3 | 36.1-36.4 | トリップ | アートサハラ |
2013/7/10 | クリソライト | 内田博幸 | 2:04.8 | 36.5-37.4 | エーシンゴールド | ケイアイレオーネ |
2014/7/9 | カゼノコ | 秋山真一 | 2:03.9 | 35.5-37.2 | ハッピースプリント | フィールザスマート |
2015/7/8 | ノンコノユメ | C.ルメール | 2:05.6 | 37.2-38.2 | クロスクリーガー | ラッキープリンス |
2016/7/13 | キョウエイギア | 戸崎圭太 | 2:05.7 | 36.3-38.9 | ケイティブレイブ | ゴールドドリーム |
2017/7/12 | ヒガシウィルウィン | 本田正重 | 2:05.8 | 35.8-38.6 | サンライズソア | タガノディグオ |
2018/7/11 | ルヴァンスレーヴ | M.デムーロ | 2:05.8 | 37.1-37.5 | オメガパフューム | グレートタイム |
2019/7/10 | クリソベリル | 川田将雅 | 2:06.1 | 36.5-38.6 | デルマルーヴル | ミューチャリー |
2020/7/8 | ダノンファラオ | 坂井瑠星 | 2:05.9 | 35.9-39.8 | ダイメイコリーダ | キタノオクトパス |
2021/7/14 | キャッスルトップ | 仲野光馬 | 2:05.9 | 35.6-38.1 | ゴッドセレクション | ウェルドーン |
2022/7/13 | ノットゥルノ | 武豊 | 2:04.6 | 35.5-38.4 | ペイシャエス | ブリッツファング |
2023/7/12 | ミックファイア | 御神本訓史 | 2:04.6 | 34.9-39.4 | キリンジ | ミトノオー |
続いてレースラップ一覧を。NARの公式結果を参照しました。折り返しをなくして上下で比較しやすい見た目と考えるとどうしても表が横長になりますね、そのため上記の情報とは別表にしています。スマホですと横スクロールの少ない方が閲覧になじみますものね。
開催年 | 天気-馬場 | 勝ち馬 | タイム | レースラップ |
---|---|---|---|---|
1999 | 晴-良 | オリオンザサンクス | 2:06.9 | 12.5-11.9-12.2-12.3-12.1-12.4-12.8-13.3-13.1-14.3 |
2000 | 晴-良 | マイネルコンバット | 2:06.4 | 12.0-11.1-12.4-13.3-12.9-13.0-12.7-13.0-12.6-13.4 |
2001 | 晴-良 | トーシンブリザード | 2:05.8 | 12.4-11.2-12.6-13.5-13.2-12.5-12.6-13.0-12.1-12.7 |
2002 | 曇-稍 | ゴールドアリュール | 2:04.1 | 12.9-10.7-12.6-12.9-12.7-12.7-12.8-12.9-11.9-12.0 |
2003 | 曇-重 | ビッグウルフ | 2:04.9 | 12.0-10.8-13.0-13.2-12.9-12.7-12.8-13.0-12.3-12.2 |
2004 | 晴-良 | カフェオリンポス | 2:04.5 | 12.2-11.4-12.1-12.7-12.7-12.5-13.1-13.6-12.0-12.2 |
2005 | 曇-良 | カネヒキリ | 2:04.9 | 12.0-10.8-12.1-13.2-13.1-12.9-12.9-12.8-12.1-13.0 |
2006 | 曇-良 | フレンドシップ | 2:06.1 | 12.3-11.5-11.9-13.2-12.6-12.2-12.5-13.3-12.8-13.8 |
2007 | 曇-不 | フリオーソ | 2:02.9 | 12.2-11.1-11.4-12.6-12.7-12.5-12.7-12.9-12.0-12.8 |
2008 | 曇-不 | サクセスブロッケン | 2:04.5 | 12.1-11.3-12.7-13.3-12.8-12.6-13.0-12.9-11.5-12.3 |
2009 | 曇-稍 | テスタマッタ | 2:04.5 | 12.2-11.0-11.8-13.4-13.1-13.0-12.7-12.9-12.2-12.2 |
2010 | 晴-重 | マグニフィカ | 2:05.2 | 12.5-11.3-12.3-13.3-12.8-12.6-12.6-12.7-12.2-12.9 |
2011 | 晴-良 | グレープブランデー | 2:04.9 | 12.0-10.8-11.8-13.4-13.2-13.1-13.3-13.0-11.9-12.4 |
2012 | 晴-良 | ハタノヴァンクール | 2:05.3 | 12.4-11.3-12.4-13.8-13.4-13.1-12.5-12.2-11.8-12.4 |
2013 | 曇-良 | クリソライト | 2:04.8 | 12.4-11.5-12.6-13.5-12.6-12.1-12.7-13.0-12.0-12.4 |
2014 | 雨-稍 | カゼノコ | 2:03.9 | 12.1-11.5-11.9-13.3-13.3-12.4-12.2-12.8-11.9-12.5 |
2015 | 雨-不 | ノンコノユメ | 2:05.6 | 12.5-12.0-12.7-13.3-12.5-12.2-12.2-12.7-12.6-12.9 |
2016 | 曇-良 | キョウエイギア | 2:05.7 | 12.3-11.5-12.5-12.8-12.7-12.7-12.3-13.0-12.8-13.1 |
2017 | 晴-良 | ヒガシウィルウィン | 2:05.8 | 12.2-11.5-12.1-13.1-13.1-12.5-12.7-13.3-12.3-13.0 |
2018 | 晴-良 | ルヴァンスレーヴ | 2:05.8 | 12.5-11.8-12.8-12.9-12.6-13.1-12.6-12.5-12.2-12.8 |
2019 | 曇-稍 | クリソベリル | 2:06.1 | 12.3-11.6-12.6-13.0-12.6-12.5-12.9-13.8-12.5-12.3 |
2020 | 曇-重 | ダノンファラオ | 2:05.9 | 12.2-11.4-12.3-12.8-12.6-12.3-12.5-12.9-12.7-14.2 |
2021 | 曇-稍 | キャッスルトップ | 2:05.9 | 11.9-11.2-12.5-13.3-13.7-12.9-12.3-13.1-11.9-13.1 |
2022 | 曇-不 | ノットゥルノ | 2:04.6 | 12.2-11.3-12.0-12.8-12.8-12.4-12.7-13.2-12.2-13.0 |
2023 | 曇-良 | ミックファイア | 2:04.6 | 11.9-11.1-11.9-12.8-12.5-12.3-12.7-13.0-12.7-13.7 |
オリオンザサンクスは切符のいい逃げだったなとか、そうでしたトーシンブリザードは逃げ切りだったとか、ゴールドアリュールやカネヒキリ、クリソベリルは盤石だったなとか、勝ち馬を追うだけでもワクワクしてしまいますね。
レースラップをコピペしながら各年の着順をみていたわけですが、2着3着も味わい深く。ビッグウルフの年はユートピアにユタカさんが乗っていなかったのねとか、のちのJBCスプリント勝ちのバンブーエールはここで2着してたのねとか、サクセスブロッケンの2着にスマートファルコンでしたねとか、ケイティブレイブもゴールドドリームもオメガパフュームも勝てなかったなぁとか。
一覧には含まれていないのですが、4着以下に敗れた馬もなかなか。マイネルコンバットと4コーナーで併せていたのはアグネスデジタルですし、カフェオリンポスの4着にはアジュディミツオー、テスタマッタの5、6着にワンダーアキュートとスーニ、ハタノヴァンクールの5着にホッコータルマエ。ダノンファラオの7着にカフェファラオ。…この調子で書いていくと際限なさそうです。
のちの活躍馬も、ジャパンダートダービーに参戦できるくらいには素質を示しつつ、この段階ではまだ間に合っていなかったり距離適性が見合っていなかったりと、その変遷が見て取れるような成績と見えています。ホッコータルマエも初代レパードS勝ち馬になるちょっと前ですしね。
3歳春の時点ですから、完成度も距離適性もその輪郭線がまだ明確ではない分、このレースを目指してみるというチャレンジがあったようです。
短距離のローテーションが来年からもうひとつ整備されていくわけですので、数十年というスパンで見たときの変化の中で、3歳の頂点として機能したジャパンダートダービーは大きな役割を果たしたといえるのでしょうね。
印象深いレース。…うーん、自分で自分に課した質問で頭の中がまとまらなくなっております。まず大きな感想は、けっこう現地観戦したなぁ、というもの。第1回も現地ですしね。
いまの職場に勤めてからは定時ダッシュで間に合ったり、定時後にいろいろ発生してしまって泣く泣く諦めたり。6末を過ぎて仕事がひと段落しているかを気にしながら現地観戦の算段を立てていた印象が強く残っています。
武豊は〇〇を勝てない、という語り口のひとつにジャパンダートダービーもあったわけですが、ゴールドアリュールの逃げ切りであっさりと覆していました。こちらも現地観戦でした、圧倒的でしたね。
カネヒキリもとても印象的。この当時はまだパドックでの主張がそこまでではなかったと記憶しています。古馬になってからはムキムキでしたからね。ゴールドアリュールもそうですが栗毛の馬体がライトアップされてきれいでした。悪友といっしょにあの阪神のジャパンカップダートを観戦したこととセットで思い出します。
あとはミックファイア。ユティタムを競り落としてバテたミトノオーをバテずに差し切っていくスタミナ差し。御神本コールの雰囲気を生で確認できたことも含めて印象深いですね。
ラップタイムで振り返るとまた違った印象です。馬場差を問わず前半3ハロンの最速がグレープブランデーの年の34.6。そのあとにフリオーソで34.7、カネヒキリとミックファイアが並んで34.9と続きます。
カネヒキリ、ミックファイアとも1コーナーを5番手付近で通過していますので、ともにこの前半のラップを深追いしていないことが窺えますね。…走破タイムも比較すると、ミックファイアはカネヒキリ級なのかも?
一方、ラスト1ハロンが14秒以上かかっているのはオリオンザサンクスとダノンファラオの2回。特にダノンファラオは3コーナー過ぎから逃げ馬に並びかけて直線で競り落とす展開でした。
過去25回のうち、終始13秒以下のラップで推移したのはやや重のゴールドアリュールのみ。13秒台が1度も登場しないタフなレースラップを坂井瑠星がさらに厳しいレベルへ引き上げたとみています。
武豊の逃げとはまた違った瑠星ならではの攻撃性がラスト1ハロン1秒5の失速ラップに表れているように思います。脚を余さないですものね。
父仔制覇はゴールドアリュールとクリソライト、クリソベリルの全兄弟。兄弟での制覇もこの1組。…やっぱりゴールドアリュールは偉大ですね。ドバイ遠征が政情不安でなくなってしまったのがつくづく惜しいです。
カゼノコ(アグネスデジタル)とキャッスルトップ(バンブーエール)は父のリベンジという構図。どちらも父の距離適性を延長する格好になっています。しかしキャッスルトップはびっくりしましたね。
勝ち馬の父にはブライアンズタイム、サウスヴィグラス、フレンチデピュティ、シニスターミニスターとダートのサイアーランキング上位の馬がずらり。フジキセキやディープスカイもそうですね。
来年以降、芝の上位馬も出しながら南関東のダート3冠を制する種牡馬はどのくらい出てくるでしょうか。個人的にはローテーションがセパレートされたことで、配合から所属厩舎まで、適性をあらかじめ見極めるような動きが加速するように思っていまして、これまでのような芝とダートの柔軟なローテーションの組み方が積極的には観られなくなるように推測しています。
サクセスブロッケンのようなダービー大敗からの転戦といったローテーションも面白いんですけどね。ダート競馬の価値向上が進めば、芝かダートかという二極化はおそらく必然の流れとなるのでしょう。種牡馬もより特徴を極端にとらえる傾向が生まれるのではないかと推察しています。
…締めましょうか。これを書いているのはライオットガールが制したレパードSの直後ですが、その直前にミックファイアの秋のローテーションが発表されています。長距離輸送と左回りを試す意図で緒戦はダービーグランプリを選択、そこからJBCクラシック、そしてチャンピオンズカップか東京大賞典。秋は3戦のようですね。
ダービーグランプリは不来方賞と統合してなくなってしまうようですので、今年が最後の開催。ちょうど2022年の勝ち馬シルトプレが上記のレパードSと同日に行われたエルムSで5着に入線していました。ミックファイアがジャパンダートダービーに続いて最後の勝ち馬となるのか。…なりそうですね。
そのジャパンダートダービーは2024年から「ジャパンダートクラシック」と名称変更して秋に開催。ちょうどダービーグランプリと重なってしまうため、不来方賞との統合という調整があったのでしょう。…スーパーダートダービーの頃からなかなかに不遇な瞬間がございます。
3歳も古馬も、大井の2000mでダート日本一を決める流れと受け取っています。そうした次の時代への橋渡し的な役割を果たしたように見えていまして、改めて感慨深くなってしまっております。長く観てきましたからね。
ほんとは各年ごとに細かくいろいろ思い出しているのですが字数が果てしなくなってしまいますのでこのあたりで。レースに向かって慰労とはちょっとヘンな感じですが、ご苦労さまでした。