カフェファラオ、鮮やかな勝ち方でした。
懸念されていた馬群の内々を進むことやキックバックの影響は、ルメールが見事に抑え込んだ格好です。
パトロールビデオは雄弁ですね。スタート~向こう正面でルメールは外へ進路を求めていました。先行馬のひとつ外で3コーナーを迎えるイメージだったように見えています。そのためスタートからほぼインに寄せずほぼまっすぐ走らせるというコース取りでした。
が、3コーナー少し手前でオーヴェルニュ丸山元気が外から押圧。外への進路がブロックされています。
ここからルメールはインへ切り返し。前にいるエアアルマスと気持ち距離を取って3コーナーへはいりました。コーナーでのキックバックは遠心力で外に流れますから、エアアルマスが蹴り上げた砂を正面から浴びることを避けた格好です。
3コーナー中間から4コーナーにかけて、今度はエアアルマスとの距離を詰めて、キックバックをカフェファラオの胸で受ける形をつくったようです。いずれもカフェファラオの顔に砂がかかる時間をできるだけ減らして、気分よく走らせる工夫であったでしょう。
ルメールの中では、イン有利<気分、だったのではないかなと推測しています。サクセスエナジーが出遅れ、インティが控えて、アルクトスがインへ寄せなかったことで、道中先行各馬からのプレッシャー、近くに馬がいて動きにくい状況は比較的少なかったでしょう。
ひとつ外にいたヘリオスは早めにスタミナを失ったことで、残り600からスムーズに外へ展開することができました。懸念であった「気分よく」という課題はこうしてクリアできました。あとはもっている能力を発揮するだけでしたね。
個人的に、この4コーナーから直線入口でスムーズさを欠くと見ていたんですけどね。1番人気がどフリーで直線に向くことになるとはなぁ。。。
展開とそれを味方につける鞍上のリード、お見事というべきでしょう。
公式レースラップ
12.5-10.8-11.4-11.8-12.0-11.9-11.9-12.1
比較のため、レッドルゼルの根岸Sを。
12.4-10.6-11.4-11.9-12.1-12.0-11.9
こちらは2年前、インティのフェブラリーS。
12.4-11.5-11.9-12.2-12.2-11.6-11.4-12.4
緩まず、緩まず
エアアルマスの逃げに、3コーナーでワイドファラオが絡んだことであまり上下動の少ないレースラップになりました。というか、後半のラップを引き上げたのは先行したカフェファラオですから、強いの一言です。インティが単騎逃げした際は、中盤まで引き付けてのロングスパートだったことがよくわかりますね。
比較的時計の出やすいコンディションだったと認識していますが、イン有利のバイアスをそのまま利用した格好。これでは待機策で馬場の中央を通ってくる馬はほぼノーチャンスだったでしょう。
それにしても走破タイムはお見事。カフェファラオが昨年の南部杯に出ていたら、という興味が湧いてきております。
レース回顧はアウトソース?で
各馬のポジショニングについては秀逸な回顧を見つけましたので、こちらで。ヘリオスの3コーナーの件はお見事な分析です。曰く、「当初内で揉まれる心配をしていたのがバカみたいな状況となっている」。はい、まさに。この区間のヘリオスの動きがルメールに対策の幅をもたせたと思います。
あと、忘れてはいけないのが、「今回のフェブラリーSの1、2、3着馬だ。3コーナー前からこの3頭は内ラチ沿いに綺麗に並んでいたのである。」のコメントですね。イン有利で時計が速い場合は、3、4コーナーでインベタが常套策ですものね。
ひとつだけ分析を加えるなら、根岸Sとのレースラップの比較方法でしょうか。
先に挙げた通り、非常に似た推移ですよね。ワンダーリーデル、レッドルゼルといった根岸S上位組がそのまま掲示板に載ってきたことからも、スピードの緩急のリズム、トータルで問われたスタミナには相関を読み取ることができそうではあります。
でも、コース形態からは以下のように比較して始めて、相似形かどうか判断できるのではないかなと。根岸Sのラップの前に1ハロン分ダミーを入れてみますね。
12.5-10.8-11.4-11.8-12.0-11.9-11.9-12.1
00.0-12.4-10.6-11.4-11.9-12.1-12.0-11.9
根岸Sの3ハロン目11.4は3コーナーをコーナリングしながらの計時。どちらも前傾ラップではありますが、根岸の方が3コーナー突っ込んでいる分、より前傾の度合いが強い印象があります。先行馬、揃って撃沈していますものね。このあたりのニュアンスはもう少し繊細に汲み取りたいところ、と思った次第です。
消極的に本命はサンライズノヴァ
このあとの「レース前の見立て」で考慮した要素をズラッと箇条書きしますが、先行馬の若干のオーバーペースを予想して、中位差しの中からラスト1ハロンを粘り込めるサンライズノヴァに白羽の矢を立てました。いや、全くの見当違いでしたね。
3コーナーでは後方の外。インが残る展開ですから、これを同じくインで追走すると直線進路がなくなる懸念があります。その点では松若の判断が理解できる面があります。でも3、4コーナーで馬群の外を回すのがご法度の馬場とペース。逃げたエアアルマスでも5着ですからね。なかなか豪快に見立てがズレてしまいました。
返し馬でカフェファラオの動きにおおっと感嘆した瞬間に、積極的な本命に切り替えればよかったなと。消極的な本命は外した時の後味がよろしくないですね。
レース前の見立て
馬場
- スピードがでるコンディション、ただしトップスピードの維持にパワーを要する(南部杯とは別)
- イン有利を前提に、上位クラスではペース次第で中団から差しも
先行馬と序盤のペース
- 緩まないハイペース寄り
- エアアルマスは砂被りを避けてほぼ逃げ、最低インティと雁行
- サクセスエナジーはおそらくハナを取れない(ペースを締める役?)
- ワイドファラオはペースをみながら先行(ペースを締める役?)
隊列やレース展開
- エアアルマスが少し早めにペースを上げて、3.5ハロンの粘り込み的イメージ
- ラスト1ハロンのタフさが要求される
- カフェファラオは勝負所で囲まれるリスク
各馬の評価の上げ下げ
- インティは行かざるを得ない、という状況も踏まえて軽視
- エアスピネルはスタミナ不足を懸念、待機策でもあって3着まで
- レッドルゼルは川田のコメントママ、1600は善戦まで
パドック、返し馬での評価の上げ下げ
- カフェファラオは返し馬で割増
- ヘリオスは返し馬で割引
勝敗に強く影響するであろうファクター
- 先行馬のペースとロングスパート
最後に
カフェファラオ、パドックでは緩いとみていたのですが、動きはよかったんですよね。きっと馬体の完成はまだ先なのでしょう。American Pharoah の血が日本のダートにアジャストして種牡馬入りするのは実に楽しみです。
さてさて、当面のレース回顧記事はレース前の見立てをメモしておこうと思い立ちました。パドックや返し馬で受けた印象を重視している面もありますので、レース後に箇条書きすることになると思います。
何より、実際のレース結果とばっちりギャップがでることでしょうから、それを書き留めておくことで自分自身へのフィードバックがちょっと変わるかなと期待しているところです。
あとで読む自分への申し送り事項ですね。…読むのを忘れて1年後に同じ間違いを繰り返している気がしてきました。