リアアメリア、ようやく持っている力をレースで出せたという印象です。それが相当に大変なことなんですよね。
川田は1コーナーまでにかなり前々のポジションを取りにいき、その位置で折り合うことができていました。特にヤマニンプティバに前に入られてから、ひとつ外に切り替えした所作は象徴的。インでじっとするつもりはなく、番手確保という意思がはっきり示された瞬間だったでしょう。レース後のコメントでは、トレーナーとジョッキーで打ち合わせができていたようです。
アルテミスSの道中からこちら、レース中の折り合いとポジショニングはずっと課題だったと思われます。ようやくコースレイアウトとペースに対する最適なポジション、セオリーと言い換えてもいいでしょうか、これに当てはめていくようなパフォーマンスを見ることができました。
ただ、折り合いを欠いて自滅するリスクを負ったトライアルライド。10.8を追いかけて、前に馬を置かずに1コーナーに突っ込んでいく準備と覚悟はあらかじめできていたということだったのでしょうね。
中内田師と川田将雅の組み合わせだからこそ実行に移せたように思っています。そうですね、一発回答で応えたリアアメリアが何よりえらかったですね。
公式レースラップ
12.6-10.8-12.3-12.7-12.5-12.4-12.1-11.6-11.3-11.6
クッション値と含水量
クッション値 | 10.6 |
---|---|
含水率:ゴール前 | 12.8 |
含水率:4コーナー | 11.7 |
予想通りのスローペース
明確な逃げ馬はエレナアヴァンティくらいだったでしょうか。前で進めたい馬はいても先頭が欲しい馬は少なかったように思います。
エレナアヴァンティの距離経験は1600まで。1600で逃げたのは新潟2歳Sですが、先手を取ってスローに落とす流れ。今年にはいってからの勝ち鞍は1200のみですから、2000をぐいぐい引っ張るイメージは湧きにくかったですね。
今年はワンターンの阪神1800からツーターンの中京2000に代替開催。例年より1ハロンの距離延長もあり、1コーナーまでの距離が少ないこともあり、ファーストコーナーでの減速は想定内と言うべきでしょう。かくしてほぼこちらの見立て通りのスローとなりました。
ダート1800と似ている印象
道中が少しでもスローで展開するようだと内枠&先行馬が有利、追い込む馬も3、4コーナーをイン下手できると着順を上げやすい。芝馬場の内側にダートコースがあるわけですが、一回り小さくなるだけでコーナー含めて似た形状になるでしょうから、ちょうどチャンピオンズカップの舞台となるダート1800と近しい傾向になると思われます。
ちょうどリアアメリアを昨年のクリソベリルに、3着に押し上げたオーマイダーリンは一昨年のウェスタールンドに置き換えることができそうです。
リアアメリアを2番手に持っていく戦略の妥当性はこのあたりにありそうですね。
折り合いのトライアル
川田はエレナアヴァンティを前に置きませんでした。向こう正面も含めて、終始逃げ馬を斜め前にみて前方をクリアにするコース取り。
ストライドへのストレスを減らす目的とも、前の馬に頼らない折り合いを目指す目的とも、どちらとも受け取れるように思っています。これまでのことを考えると、折り合いのトライアルだったかな。
2番手であの位置をとってしまえば、それこそレイデオロのような自在性とスタミナがない限り、3コーナーまでは後続からつつかれる心配は少なく展開できるでしょう。
向こう正面にはいってからはほぼ安心してみていました。あとはあの仕上がりで突き放すだけですものね。
後続の差しは届かず
実力差がある分、先行勢で残ったのがリアアメリアだけになりましたが、人気どころのデゼル、クラヴァシュドール、リリーピュアハートは1秒差の中で4、5、6着。勝ち馬とは揃って0.5~6秒ほど離されてしまいました。
デゼルは相当外を回っていますので相応な切れ味を見せてはいますが、このコース形態で外枠&出負け気味ですので勝敗に食い込むのは難しかった印象です。
向こう正面では馬群の外で縦1列になっていた3頭。インで立ち回れなかった分、着差が開いたとも言えそうです。いや、リアアメリアの機動力と爆発力が目立った、というべきかな。
デアリングタクトの3冠?
トライアルの2重賞が終わりました。本番でもう一度リアアメリアが内枠を引いて、デアリングタクトが7、8枠であれば面白くなるとは思っているところです。
ただ本番は先行力のある馬が揃いますので、ペースが流れたときにどうなるか。流れるなら今回不発だったフアナの方が向くかもしれません。前走の小倉がそんな緩まないペースでしたのでね。
普通の出来で秋華賞当日を迎えるならデアリングタクトかな。レシステンシアがいてもこの構図は変わらない印象です。個人的にはリアアメリアに期待していますけどね。
最後に
いちおう記録という意味で、今後レース回顧する際は当日の該当馬場のクッション値と含水率を転載していこうと思っています。
とはいえ、数値がこうだから、というまとめ記事を書くことは少ない気がしているところです。前回の投稿でタイムとのわかりやすい相関は見られないのでは、という議論をしているのですが、この開幕週(京成杯AHとセントウルS)はちょうどそんな傾向がみえたのではないかなと。
mahmoudさんの分析が詳しいのでそちらを。備忘録を兼ねて紹介しておきたいと思います。