more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第58回 報知杯弥生賞ディープインパクト記念

タイトルホルダーが逃げ切りを決めました。

横山武史、レース前から逃げる可能性を十分織り込んでいたのでしょう。スタート後少し促しながらスピードを載せつつ、右をみながらインに寄せて、左→右と他馬の動向を確認。着実に自らの逃げの態勢をつくっていきました。

前走のレースから、タイムトゥヘヴンあたりの競りかけは想定していたかもしれません。シュネルマイスターのルメールの先行策は読めていたでしょう。ルメールはスタミナに不安がある馬で先行粘り込みをはかるケースがあると認識していますが、今回はシンプルにニュートラルなスピードの中で結果的に2番手、ということなのだろうと思っています。

単騎逃げとなり、2番手のルメールが蓋をするような隊列。インが有利な馬場コンディションと2コーナーから登坂に向けて一貫して緩まないラップ。内から3~5頭目くらいが一番掘れてしまうイメージでしたので、これを差し切るのは容易ではなかったでしょう。とはいえ、この隊列にならないように抵抗する素振りもないのは、少し残念にも思いますけどね。

クラシック戦線で惜敗続きだったところに、テン乗りで逃げ馬不在。横山武史がなすべきことをしっかり成したともいえますが、ひとつ光明を見出すような勝利になりました。

公式レースラップ

12.7-11.6-12.4-13.0-12.9-12.6-12.3-11.6-11.0-11.9

横山武史への乗り替わり

2歳時に戸崎が評価していたことは認識していましたが、東京スポーツ杯、ホープフルSで勝負付けが済んでしまったような印象形成がありましたね。当日の単勝オッズがそれを物語っていると思います。

いまいま戸崎はサウジカップ後の隔離期間中、JRAのサイトでは3/8まで休業扱いになっていましたね。ワンポイントリリーフが必要な場面で共同通信杯を勝ったエフフォーリアがお手馬にいる鞍上を確保した陣営の勝利かな。

リオンリオンの逃げがまだ記憶に新しいところですが、あの時の逃げとは全く異なっていることを理解していないと駄目ですね。

タイトルホルダーの皐月賞、どうでしょうね。手札を1枚切って結果につなげた印象がありますので、本番で同じ戦略が嵌るかは未知数でしょうか。

ダノンザキッドは川田のトライアルライド

スタートから促すことなく、挟まる場面を引くことで回避していました。切り返して外に進路を取っていましたから、逃げ馬の直後なりインベタといった戦略は、始めから想定になかったのでしょうね。

返し馬の後出しを踏まえると、今年緒戦のテーマはコースやポジション<折り合い、だったように見えています。道中遅く走れるか、そして勝負所でスムーズに加速できるか。そのまま差し切れれば結果が伴う、くらいの構えで臨んだように見えています。

 

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2021年ディープインパクト記念、4コーナー手前の馬場コンディション(インとアウトのギャップ)

上記のキャプチャでも視認できますが、3、4コーナーからのコース取りはずっと、相対的に馬場の悪いところを通っていました。直線は登坂しながら右鞭に反応して大きく外へ。コンディションのよいところを選んでいった格好でしたが、逃げ馬のマイペースを覆すには至りませんでした。

オーナーはダノンキングリー、ダノンファンタジーでクラシック無冠、一方の安田厩舎は元所属騎手のバックアップという視点。これらの背景からすると、大事なのは本番という価値観が関係者間に通底していたと想像できます。

戦略的なトライアルライド。負け方が見えたのは大きな収穫でしょう。ただ、似たような馬場であればトライアル同様に苦しい戦いになるかもしれません。

休み明けにしてはきっちり感のある馬体、その一方で柔らかく大きなストライド。この特徴が活きるのは府中の良馬場というイメージに収斂しています。古馬になってパンプアップして、距離適性が少しマイル寄りになって完成、というイメージも。それだと父ジャスタウェイそのままですね。

レース前の見立て

馬場

  • イン有利、内から3~5頭目が掘れる馬場
  • 先行馬と序盤のペース
  • 引っ張る馬不在、スローペース

隊列やレース展開

  • タイトルホルダー、シュネルマイスターは前目
  • タイムトゥヘヴンがどのくらい前々を目指すか
  • ダノンは折り合い重視で控える
  • 早めの捲りなどなく落ち着いた隊列

各馬の評価の上げ下げ

  • この中ではダノンが抜けているのでは

パドック、返し馬での評価の上げ下げ

  • ダノンの返し馬は柔らかくて好印象

勝敗に強く影響するであろうファクター

  • ダノン+インを上手に使える人馬

最後に

先週はいろいろ起こり過ぎましたね。引退する調教師、ジョッキーをゆっくり振り返る余裕もなく、シーザリオジャングルポケットの訃報。クロフネが亡くなったばかりなのに、というちょっと追い付いていない感覚がございます。

一方で給付金問題の調査結果もでました。明らかなルール違反とは言いにくい分、個人的には、不正、という表現で報道されていることがずっと引っ掛かっていたのですが、JRAのリリースでは理事長、日本調教師会日本騎手クラブとも「制度の趣旨・目的を十分理解せず」という表現にほぼ統一されていました。コロナ禍でもっと厳しい状況にある方もいらっしゃるという、ある種風評に配慮した着地点の探り方を察しています。大多数が返還に応じていますし、一定のけじめをつけたと見ていますが、どうなるでしょう。

社会不安の環境下でのストレスが相互監視に向きやすいのは歴史の証左ですしね。競馬会の内外を問わず、モラルを疑うといった声が聞こえていますが、あまりにモラルを問う流れが強すぎるとそれはそれで居住まいの悪さを感じてしまいます。いえ、JRAの賞金自体は影響を受けていないわけですが、個別の事情で本来受け取るべき方がいらっしゃる場合、望まないスポイルが起きやしないかと。

よく知らないで外野で勝手に揶揄するのは、手軽かつ無責任なストレス解消法ですものね。我々ファンはすでに、競馬という形でその方法を受け取って楽しんできているわけですから。少なくとも一緒くたにして語ってはいけないでしょう。感染に注意することと、他社を揶揄することは基本別と心掛けたいものです。

…やっぱり取り上げることが多いですね。土曜のチューリップ賞はメイケイエールとエリザベスタワーの同着。桜花賞がいろいろ悩ましくなるパフォーマンスでしたが、牝馬クラシックはフラワーカップの結果まで見届けてから整理したいと思っています。いまのところユーバーレーベン、リフレイムがどんなレースをするのか。アカイトリノムスメに横山武史など、まだまだ情勢が動いていますしね。一応、サトノレイナス最上位という評価ではあります。

あー、最後の最後に。ディープインパクト記念というネーミング、すっかり話題にならなくなりましたね。こうして当初の違和感は馴染んでいくのでしょう。