more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第57回 弥生賞ディープインパクト記念

武豊の、勝負どころを支配するポジショニング。サトノフラッグの強さも噛み合っての完勝になりました。

4コーナー手前、自分から上がっていったとは鞍上のコメントですが、静かに促したところ思ったより加速したがそのままやる気に任せた、というのが妥当なところと思います。どうしてもWebニュースのタイトルなり誌面の見出しなりでは字数が多いですものね。

オーソリティのひとつ外を取って直線まで並走する数秒間、このポジショニングが他馬の動きをけん制する、いわば武豊が支配した間だったと思っています。

ワーケアはインで抜けるスペースがなく、ブラックホールはサトノのひとつ外を捲らなければならず、オーソリティは比較的馬場のいい外へ展開する可能性を封じられました。

もちろんサトノフラッグの反応の良さ、加速性能を前提にしたアクションではありますが、鞍下の長所を活かし切っての判断。是非JRAの全周パトロールビデオでご堪能ください。1分30秒あたりからで。

90年代後半はこんな支配がよく見られた…とはロートルの美化された回顧でしかないのでしょうねぇ。

公式レースラップ

12.7-11.4-12.1-12.3-12.6-12.6-12.6-12.5-11.8-12.3

父に重なる勝負どころの進出

3コーナー過ぎからの捲り、父ディープインパクトを重ねるのはファンとして極めて真っ当なイメージと思います。ミーハーな、端的な符合でよいですよね。ディープインパクト記念でディープインパクト産駒が勝つ、誰を貶めることがありましょうか。ただ個人的には上記の通り、鞍上のヘッドワークの割合も大きかったかなと思っていますが、…こういう指摘こそ端的でない、野暮なそれかもしれませんね。

もう少し馬場に手こずると思ったんですけどねー。3、4コーナーのシフトアップを見る限り、多少の渋馬場は大丈夫そうですね。

今年のクラシックは、サリオスとコントレイルのG1馬2頭を前提に捉えざるを得ないでしょうが、もう1頭加えることになりそうですね。馬場をこなしたことも捲ったまま押し切ったことも大きく評価すべきでしょう。対サリオス、対コントレイルという意味ではファーストコーナーまでのポジショニングに差を見てしまいますが、これも本番の楽しみに含んでおくとしましょう。

武豊は「サトノ」で初重賞

重賞勝利の記録を辿ってみたのですが、どうやらこの組み合わせは初重賞制覇のようですね。ちょっと意外な印象です。自分の脳内ではサトノダイヤモンド武豊が実現していましたのでなおさらですね(謎

昨年から騎乗馬の回り方が変わってきました。エージェント変更がその主要因でしょうが、いい循環につながっていますね。武豊TVでは2019年通して、最も多くの個人オーナーで勝利したとのコメントも。昨年末のタイセイビジョンやレッドジェニアルの騎乗機会、乗り替わった後のベストアクターの重賞制覇、3/8終了時点でリーディング3位という成績。ここに来てレジェンドの存在感がじわじわ増してきたという印象です。

次走の鞍上は未定

国枝師が戸崎の代打であるとコメントしていたようですし、そもそもマイラプソディがいますのでね。鞍上武豊はワンポイントリリーフという理解をしています。ここはレースの前後で変わりませんよね。

ただレース後は、もう少しこのコンビを観てみたくなりました。これが鞍上武豊の魅力なのでしょうね。おそらくマイラプソディの約束を反故にはしないはずで、皐月賞は新たにコンビを探すことになるのでしょう。マイラプソディ回避なら別ですけどね。

ワーケアは完敗というべき2着

道中のポジションも文句なし、目立った不利もなし。強いて挙げるなら、ずっと外にいたアラタに取りたいコースのひとつ内に押し込まれ続けたように見えることと、先の武豊の蓋、でしょうか。それでも道悪のアドバンテージはあったはずで、直線サトノを捉えられなかったのは完敗と言うべき内容と思います。

3コーナーから早めに進出する流れをイメージしての本命でしたが、うーん、ひょっとしたら上記の「強いて挙げ」た2点は思った以上に勝敗を左右していたのかもしれません。そうするとまだ皐月賞でも見限れないのかな。

府中で見直してみたいかなと思っているところですが、良馬場のダービーはそれこそディープインパクトですからね。まだ成長途上、もう少し長い目で見ていくべきかなと思い直しているところです。ホープフルSも本命だったのでね。

オーソリティは直線インから3着

仕上がりはよかったのですが、前後にパワーが伝わりにくい馬体のつくりのように見えていました。もっと筋力が付いてこないとパワーが上手く推進力に変わらないようなイメージで、評価を下げた次第です。

ライル・ヒューイットソンの乗り方もわるくなかったと思っています。4コーナーの手応えでは馬券内も怪しいと思いましたが、しっかり追い切りましたしね。あれで差されましたから、上位2頭とは少し差があるなと感じています。

そうそう、今週から短期免許のヒューイットソン。ひとつ前のレースの1コーナー、ハヤヤッコで少しインへ切れ込んだコーナリングをしたところどうやら怒鳴られていたようですね。無観客なので中継でもわずかに聞こえていまして。そのせいか、次のレースでオーソリティの1コーナーまで、何度もインを振り返りながら少しずつ寄せる姿がちょっと可哀想に見えていました。

土日で3勝していますが、いずれもダート。香港で成績が出ていない点と合わせると、軽い芝での騎乗に疑問符?ということも考えられるかな。膝下の動かし方とパワーの伝え方、かな。うまく言葉にしようとすると素人感満載になりますが、なんとなくダート競馬で扶助する方がフィットする気がしています。まだ1週目ですから、これからどう日本の競馬にアジャストしていくか、見極めていきたいですね。

最後に

報知杯弥生賞ディープインパクト記念。どこで省略しましょうかね。口語では「弥生賞」か「ディープ記念」がよいのかなと思いますが、表記はどうしましょう。

個人的にはディープインパクトの力で、弥生賞<ディープ記念、という一般的な認知に少しずつ動いていくのが程よいと思っております。過去の名馬がレースに冠されることには大賛成ですのでね。

そうですね、顕彰馬同様、こうしたオフィシャルな形で名馬を賞賛する動きはなかなか積極的になりにくいですよね。国民性といってしまえばそれまでなのですが、どういうけん制なり拮抗が働いてしまっているのか。

一ファン目線ではもっと素直に凄かったと語りたいところです。語れるってすごい動力なのですよ。レース名に馬名があれば毎年語るきっかけができますから。

ディープのダイナミックなフォームは、苦しいところがなかったといいますか、そういった人間のくぐもった事情とは無縁のように見えましたからね。「ディープインパクト記念」の冠がその流れを変えるきっかけになってほしいなと思います。…はい、ちょっときれいなまとめでした。