毎日、目まぐるしく情勢が変わっていきますね。
COVID-19に対して、各国の競馬開催がどういう影響を受けているか、3/20時点での情報をまとめておこうと思います。…といいつつ、いろいろ調べている間に3/21になってしまいました。概ね3/20時点で情報収集しています、と細かいお断りを一応しておきますね。
概ね、開催中止か無観客で開催続行に分かれています。
イギリス、フランスは開催中止
両国とも3/17にリリースが出ています。その前日3/16にEU域外からEUへの渡航が原則禁止になっていますので、中止という判断の追い風になったものと思われます。
BHA(英国競馬統括機構)は4月末日までのすべての開催を中止。
https://www.britishhorseracing.com/press_releases/26644/
一方、フランスギャロは4/15までの開催を中止。イスパーン賞は大丈夫というツイートも目にしました。日程的に、いまのところはそのようですね。
「SUSPENDED」。テニスではよく耳にしますけどね、日没サスペンデッド、ですね。こういうシチュエーションで触れると全く別の趣きがあります。振替開催という発表はありませんので、「中止」または「開催中断」という表現が妥当でしょう。
イギリスに関しては、3/16にグランドナショナルを含むエイントリーの開催中止が発表されています。これでタイガーロール3連覇の可能性はなくなってしまいました。こういう影響がでてしまうんですよね。
アメリカは各州で無観客競馬、ケンタッキーダービーは9月に延期
Bloodhorseは3/12時点で、カリフォルニア、フロリダ、ケンタッキー、メリーランド、ニューヨークの5州で無観客競馬を決定したと報じています。
チャーチルダウンズ競馬場は歴史的な決定を下しました。ケンタッキーダービーは9/5へ、ケンタッキーオークスは9/4へ、それぞれ延期になりました。以下のリリースの末尾、「At no point did we ever consider canceling the Kentucky Derby.」の倒置構文は力強い印象がありますね。
以下は3/20昼時点のニュース。I.オルティスJr.とL.サエス、T.ガファリオンのアメリカのジョッキー3人がドバイ遠征を取りやめました。帰国後の14日間検疫が原因とのことです。ただ、そもそも日本時間の20日夜にアメリカ政府が全世界でビザ発給を停止する発表がありましたから、いずれにしても断念となっていた可能性がありますね。
現地時間で3/19、ニューヨーク州のアケダクト競馬は開催中断を発表しています。知らないことが多いですね、「backstretch worker」は日本でいうとどういった職種にあたるのか、少なくとも競馬場関係者に陽性反応がでたことを受けての判断。4/4にウッドメモリアルSが控えていますので、芳しくない状況ですね。
※追記:記事を投稿した後に気が付きました。ニューヨーク州は医療機関や食料品店、銀行などを除く事業者に在宅勤務を要請しました。いつまで、という期限を設けていないようですね。競馬開催を中断する判断がより加速する状況と受け止めています。
ドバイワールドカップデーは無観客で開催
ドバイワールドカップデーを控えるUAE、ERAは3/12、競馬場への入場禁止と場内イベントの中止を発表。無観客でドバイワールドカップデーを迎えることになりました。あの観客やド派手な花火演出がないのは少々残念です。あったらあったで馬がイレ込むから、とか意見は出そうですけどね。
3/15にドバイ側でアライバルビザ発給が停止されてからは、関係者のツイートがちょっとざわざわしています。以下の記事は16日に例外条件が示されたというニュース。ただその後、日本の関係者の一部が出国できない事態が発生しました。はドバイレーシングのゴーサインと国家としての判断のギャップを埋めているところでしょうか。ワールドカップ主催者もビザ発給も言ってしまえば王族の運営の範囲、と考えるのは自分が無知な面が大きいでしょうか。
香港、アイルランドも無観客競馬、ドバイ遠征には影響
香港も日本にほぼ近い形でしょう、HKJCから入場制限に関するリリースがありました。3/16のリリースから2週間と定めていますね。
アイルランドは3/19に無観客での開催続行についてリリースをだしています。
一方で、検疫の要件に泣いたのがジョアン・モレイラ。帰国時に14日間の検疫義務(競馬場への入場禁止)が課せられることで、ドバイ遠征を断念することになりました。セラン、グローリーヴェイズ、ウインブライト、ライトオンキュー、マスターフェンサーの鞍上が空いてしまうという日本の関係者泣かせの状況になりました。
すでにウインブライトはマーフィー、セランとグローリーヴェイズはルメールという発表がありますが、マーフィーの渡航も怪しくなっているという報道もあり。そうそう、これはフランス競馬の箇所で触れるべきでしょうが、クリソベリルもスミヨン→マーフィーという発表。ドバイワールドカップデーのライダーはまだまだ予断を許さない状況です。
アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎も3/19ドバイミーティング回避との一報。不幸なタイミングに重なったというべきでしょう、今年のドバイはかなり寂しいメンバーになりそうです。
オーストラリアでも無観客開催
ヴィクトリア州すべての開催を4/13まで無観客にするとのニュースは、Racing.comで見つけています。3/16付です。
ただ、オーストラリアは国自体がひとの移動制限を矢継ぎ早に決定しています。3/18には国外への渡航を禁止、3/19には国民と居住者を除いての入国を禁止。4/4のドンカスターマイルに向けて、すでにダノンプレミアムが出国していますが。。。スタッフの渡航や鞍上確保がどうなるのか、続報が待たれます。
以下はレーシングオーストラリアの対応方針。アイルランドでも専用ページを設けていましたが、こうしたリリースを出すことは組織の姿勢として大事ですね。
https://racingaustralia.horse/COVID-19.aspx
日本は無観客競馬が3週目に突入
金曜のフラワーカップはアブレイズが勝利。藤井勘一郎ジョッキーはJRA初重賞制覇。やむを得ないとは思いつつ、できれば現場の歓声とともに達成してほしかったですけどね。
中山、阪神、中京開催に変わってから、3週目の無観客開催。JRAは週ごとに無観客開催であることを判断しリリースしています。
毎週ネット投票の契約者は増加していますが、売上は前年比でざっくり20~30%減という推移。続くほどに厳しい運営になっていきますね。ドバイの馬券販売への姿勢もそうですが、JRAのリリースのタイミングから、なかなかに慎重な姿勢が窺えます。
個人的には無観客を解除するタイミング、何をトリガーにするかが難しいのではと受け止めています。
最後に
なにぶんウイルスが「新型」ですので、直接的なデータと言いますか、科学的なエビデンスがない状況下での判断が必要になります。まずここを前提にしないと、いたずらな不安を抱えるばかりでしょう。
各国も各主催団体も、判断内容と判断のタイミングになかなか苦慮している模様です。ただ、いずれの判断も不特定多数への不用意な拡散を抑止する方向性を読み取ることができます。
経済活動は一時的な停滞では済まない様相ですが、まずはウイルスの感染拡大が早くピークアウトを迎えること、これが最優先でしょう。引き続き、リスクの程度を自分なりに見極めながら、各種の情報を落ち着いて追いかけていくつもりです。
日本の競馬ファンですから、10万人が見守る5月の府中のスタンドに、ウィルスを気にせずに立ちたいですものね。