more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第15回 キーンランドカップ

エイティーンガール、最後方からの追い込みで決めました。

坂井瑠星、ファインプレーですね。前走のUHB賞のロケットスタートから一転、スタートしてから意識的に下げるポジショニングを選びました。昨年もそうですが、開催後半の札幌はインが荒れる分外差し傾向になる印象。それも踏まえての後方待機だったと思われます。

映像でエイティーンガールだけ追い続けると、前半は少し鞍下のカラダを起こすような手綱の位置でじっと控える形。残り600から少しずつ促すというより馬の行く気に対して譲っていくような瑠星の挙動が見て取れました。遠心力に逆らわずにコーナー出口手前から吹かしていく、この一連のアクションが流れるようでとても素敵です。

3コーナー手前でディメンシオンに寄られた場面でわずかに引いていますが、それ以外はロスのないコース取り。弾けましたね。

公式レースラップ

12.2-10.9-11.7-11.9-11.9-12.0

降雨の中の重馬場

前日のメインでパラパラと降っていたのは認識していたのですが、日曜も開催中に降雨。雨中のメインレースとなりました。

小島さんのツイート情報ですが、札幌の不良は記録にないようですね。同時に馬場には暗渠管が設けられていることも。ここで排水性が担保されているため芝の不良発表がないとのことでした。

含水量が上がり過ぎないことは理解できましたが、馬場の荒れ方などは不良馬場で生じるそれに近しいコンディションだったと推察しています。暗渠管のおかげで不良発表を免れたというのが個人的な印象ですね。あ、トウケイヘイロー札幌記念(当時は函館代替開催)ほどではないかも。あれは酷かったですね。

日中のレース映像を見て、より外枠、より外差しという基本的なスタンスが固まりました。

坂井瑠星のこれまでの印象とは異なる「溜め」

サトノガーネットの中日新聞杯にしても、ドレッドノータス京都大賞典にしても、ジャパンダートダービーのダノンファラオにしても、ひとつ早めにエンジンを点火して追ってもたせるイメージがありまして。スタミナを余すことはないが、早めにバテてしまうリスクを少し多めに負う癖があるのかな、という認識がありました。

今回は違いましたね。逆算して脚を測れているといいますか、残り600付近で軽く促しながら馬の行く気をつくっておいて4コーナーをニュートラルに回す、という溜めの効いた騎乗だったという思っています。

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2020年 キーンランドカップの4コーナー、他馬と手応えの違うエイティーンガール(画像中央、オレンジ帽)

これまでの重賞勝利とはひと味違う、という印象。継続騎乗で重賞に臨めるチャンスもしっかり活かした格好です。

スプリンターズSは一気にメンバーが強くなりますので、同じように外枠を引いても…という見立てではありますが、騎乗の幅が広がっているのなら別のチャンスが舞い込むこともあるでしょう。今秋の楽しみがひとつ増えたと思っているところです。

ファイナルSの個人的な記憶

昨年暮れのホープフルS当日、自分は中山競馬場であまり目立たない馬体をしたコントレイルをパドックで目撃しておりました。ワーケア本命で本線の馬券は盛大にタテ目だった記憶がまだ鮮明ですが、そのあとの阪神最終、ファイナルSがエイティーンガール。武豊鞍上で、ちょうど今回と同じような後方一気を決めておりました。

使い込んだ阪神の馬場、もちろん今回の札幌とは異なるのでしょうが、荒れたコンディションを苦にせず切れ味を発揮していた姿が記憶に残っておりまして。今回の予想はライトオンキュー軸でどうしよう、という組み立てをしていたのですが、真っ先に相手候補に含めることができました。ディメンシオンとのワイドもゲットできましたので、上々の出来でしたね。

ファイナルSの時はエイティーンガールを含めた4頭BOXだったかな、2着が抜けたんですよね。その時の記憶と脳内レビューが半年以上経過して的中に結び付いたというのが、個人的には「やるな」という勝手な手ごたえになっているところです。うむうむ。

ダイアトニックは内枠と馬場にスポイル

対照的だったのが1番人気ダイアトニック。パトロールビデオでは、スタートから外を走りたい意図がよくわかるアクションでしたが、イベリス、ショウナンアンセム、ダイメイフジと、3コーナーにはいるまでに順番にひとつ外に壁を作られてしまう厳しい展開。

再三押し込まれながら外に切り替えしていくなかで、イベリスとショウナンアンセムの進路をカットする場面が生じました。過怠金のペナルティが課されていますね。

3コーナー過ぎも後方の馬に外への進路を塞がれ続けました。4コーナーでようやく外がクリアになりましたがすでに時遅し。エイティーンガールの後ろで直線に向くことになってしまいました。

1番人気がマークされる展開を生んだ面もありますが、一方で相当に馬場が合わなかった様子。スピードで勝って他馬の前に入るという場面は全く作ることができませんでした。58kgの斤量も影響ゼロではないのでしょうが、外差しの荒れ馬場と最内枠スタートという過酷なミスマッチが、不幸なスポイルを生んだとみています。ノーカウントでよい、という判断ですね。

最後に

ルメールの土日0勝。「騎乗週連続勝利記録」は117週でストップしました。精密な分析をしていませんのでどこかで検証記事でも見てみたいのですが、騎乗していた上位人気の馬はスピードの出る馬場で実績があったり期待ができるタイプが多かったのかな、と推測をしているところです。こちらもミスマッチの割合が大きかったかなと。

ただ、これに関連して気になっているのは横山武史の感性です。先週8/23の大通公園特別や、キーンランドカップ直後の支笏湖特別で、ルメールがつくろうとしている展開へのカウンターが上手くいっているように見えたんですよね。

潮目が変わる瞬間、だとしたら面白い時期を目撃できているのかもしれません。

あと1週残していますが、2回札幌だけでいうと横山武史が1勝リードしているんですよね。JRAサイトのリーディング情報から2人の成績を引っ張ってきましたので以下にて。特徴がでていて面白い比較ができます。

順位 ▼ 騎手名 1着 2着 3着 4着 5着 着外 特別R
勝利数
騎乗
回数
勝率 連対率 3着内率 総賞金
1 横山武史 11 5 3 6 2 22 5 49 0.224 0.327 0.388 \151,038,000
2 C.ルメール 10 12 5 6 7 9 1 49 0.204 0.449 0.551 \150,081,000

来週ルメールが固め打ちして終了、なのかもしれませんが、ちょっとだけ横山武史本格化への萌芽、という感じもしております。