more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第1回 サウジカップ

マキシマムセキュリティ、強かったですねー。レース直後の心象を書いておきます。

サウジカップはマキシマムセキュリティ

先行馬が揃ったとグリーンチャンネルの解説でもハイペースが想定されていました。サンバサウジダービー(お見事でした)、サウジアカップ(惜しかった)を観た限り、ハイペースで突っ込んだ先行馬がそのまま残っていましたしね。

柔らかい、深め、クッションが効いている。ダートのコンディションについて各ジョッキーのコメントは概ねこんなところでした。察するに、先行馬が残りやすい馬場ではなく、差しが効きにくい馬場というべきなのかなと。相対的に前々で展開した馬にアドバンテージが生じていたものと受け取りました。…それを早めに読み取っての、先の2レースでの武豊のグッドライドだったのでしょうね。

スタートからムーチョグストと直後のマキシマムセキュリティの先行争い。マキシマムセキュリティの鞍上サエス、ずっと寄れながら走るムーチョグストになかなか手こずっていました。3コーナーに入るあたりでムーチョグストに少しプレッシャーをかけたのはよかったのですが、その後の追走に手が動く場面。おそらく、この3、4コーナーは砂の柔らかさに手こずったのではないかと。このあたりがアメリカで経験してきたダートとの違いが出たように見えています。

それでも直線、蛇行するムーチョグストをインに切り替えて交わし切りました。最内に潜り込んで巧みにミッドナイトビズーが追い込んできましたが、これも凌いでの1着。第1回にふさわしい強い勝ち方といえそうです。

オフィシャルサイトにはレースの短評と関係者のコメントが載っています。

https://www.thesaudicup.com/news/maximum-security-lifts-first-ever-saudi-cup/

※3/2追記

2着ムーチョグストのM・スミスに制裁がでました。斜行かなと思いましたが鞭の超過使用でしたね。賞金額も凄いですが罰金額も凄いです。

world.jra-van.jp

ハイペースの中身とクリソベリル、ゴールドドリームの敗因

そのオフィシャルサイト掲載の走破タイムは1:50.58。mahmoudさんのツイート、速報的な数字ですが、逃げたムーチョグストの1400m通過が1.22.0、ラスト1ハロンが15.0。1400m通過はフェブラリーSより速いと指摘されていますね。確かにフェブラリーSは1:22.8、先行馬は壊滅した後でした。

mahmoudさん曰く、ゴールドドリームの後方イン追走でも「フェブラリーではハナを切っているような形」。柔らかめの馬場ということはスピードの持続にはしっかりグリップし続ける必要があるでしょうから、日本のレースよりパワー、スタミナが要求されるものと推察されます。ハイペースで脱落者を出しながら残った人馬が強いというレース、日本では起こりにくいですものね。勝負を決する要素が異なる、という前提に立っておく必要がありそうです。

異質なペースと馬場によく対応した6着と7着であったと思います。クリソベリルに関しては、ずっと外々を回らざるを得ない展開も不運といった方がいいかもしれません。最後まで気持ちが切れずにファイトしていましたし、よく善戦したという印象です。

武豊の存在感

サンバサウジダービー、フルフラットがお見事でした。馬場に合わせたスパートのタイミングと、馬自身のタフさが上手く噛み合っての勝利と見えています。

そのあとのマテラスカイはもっと凄かったですね。3コーナーまでに先手を取り切ることに拘った戦略になりましたが、超ハイペースを演出する思い切った判断はフルフラットで得た手応えの賜物だったのでしょう。僅差の2着、惜しかった。

短時間で馬場の傾向を掴んで、すぐに戦略に反映する力。短期免許で来日するジョッキーが活躍できるかどうかも、この基準で見定めることができるように思います。だからこそ、年齢を感じさせない活躍につながっているのでしょうね。

フルフラットの今後はUAEダービーとのこと。セランが選出された場合鞍上がどうなるかは置くとして、楽しみが膨らんできました。ケンタッキーダービーを見据えている陣営が頼もしいですね。

JBIS-Searchの写真がステキです。

enjoy.jbis.or.jp

ディアドラの善戦と、キングアブドゥルアジーズ→メイダンというローテーション

ハメドユスフナギモーターズカップ、ディアドラは2着惜敗。バーレーンのポートライオンズに僅かに差されてしまいました。ラスト50からのファイトバックは素晴らしかったのですけどね。

enjoy.jbis.or.jp

気になったのは馬場コンディション。無料のグリーンチャンネルWebで観ていたので解像度的に不確かな心象ではあるのですが、芝がけっこう剥がれていたように見えています。ディアドラが後ろから差されるという展開からして、かなりタフだったのではないかなと。少なくともエクイターフのような壊れにくくスピードが出やすいコンディションではなかっただろうと推察されます。

芝コースの整備はアスコット競馬場も手掛ける、スポーツターフ研究所という機関が行ったようですね。

www.jairs.jp

「納期に間に合わせるために最大限の努力をしました」というコメントから察するのは、芝の根付きに十分な期間が取れなかった可能性。詳細は追って情報が出るのを待ちたいと思いますが、来年以降もこのコンディションが続くとなると、少し忌避する日本の陣営も出てくるような気がしてきています。

少なくともメイダンとのギャップは気になりますね。スコールでグチャグチャになってしまう場合は別にして、芝コンディションのギャップから、キングアブドゥルアジーズ→メイダンというローテーションを強く有力視するには時期尚早、という印象をもっているところです。

最後に

1997年の第1回ドバイワールドカップも、アメリカのチャンピオンが地力を示しました。シガーは体調万全でない中でのパフォーマンスだったと記憶しています。受けて立ったチャンピオン、カッコよかったなぁと。

今回のサウジカップもまた、どちらも国策であり観光振興の一環であり、アメリカ競馬で勝ち上がってくる力がものを言うレースになったという意味で少し重なって見えております。願わくば、政情の影響を受けずに安定的に開催されて、世界の競馬サーキットに定着してほしいと思いました。潤沢なオイルマネーはそりゃあもう背景にあるわけですが、国際色豊かなイベントを新たに開催できる国は限られるでしょうからね。

…だって、このレジェンドが揃うのは凄いことですよ。