more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第26回 NHKマイルカップ

シュネルマイスター、ハナ差届いてのG1戴冠でした。

フジの後解説が端的に表現していたように、グレナディアガーズをソングラインが、ソングラインをシュネルマイスターが、それぞれ目標にして追う直線は壮観でした。

3コーナー手前でピクシーナイトが行き切ってから後は、順番に前が目標になっていく展開だったと思っています。ピクシーナイトをホウオウアマゾンが、ホウオウアマゾンをグレナディアガーズが、といった数珠つなぎのロックオン。これが直線で次々と先頭が入れ替わる展開を呼び込んだのでしょう。

ルメールはその先行勢をひとつ外した後ろ。残り1000から少しずつ手綱の扶助があったあたり、シュネルマイスターの特徴が伝わってきます。最後にハナだけ届いたのは、ソングラインの挙動もありますが、馬自身が伸び続けていたことが大きいでしょう。ルメールがリズムを整えて馬がそれに応えた、という勝利だと思っています。

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2021年NHKマイルカップ、ソングラインをゴール手前で追い詰めるシュネルマイスター

ああ、フィエールマンのコンビですものね。継続騎乗できるローテーションを敷いた陣営の勝利でもありますね。

公式レースラップ

12.2-10.2-11.3-11.6-11.6-11.4-11.4-11.9

バスラットレオン落馬

前半のペースのカギになると思っていたバスラットレオン、スタート直後に躓いて落馬。さすがにびっくりしましたが、パトロールビデオで正面からの画を観て納得でした。あれは無理ですね、むしろジョッキーが上手く落ちることができてよかった、と言うべきでしょう。

バスラットレオンがいないことで、局面が変わった印象がありますね。ピクシーナイト福永は内を確かめてから先頭に立つ判断に切り替えたようですし、ホウオウアマゾン武豊はこれを利用してペースを受けながらの直線粘り込みに戦略を寄せたように見えています。2人が少し速めのペースを求めるのはちょっと珍しいかもしれませんね。

先行馬には厳しい展開

ピクシーナイト、相当馬群から離していましたが、右手前に変わってから先頭に立つまではちょっとしたフルスロットル感がありました。2ハロン目10.2で噴かした先行勢はスムーズに11.3にシフトダウンしたわけではありませんので、その負荷の高い加減速が直線に向いて堪えたように見えています。

TwitterのTLではハイペースの消耗戦であったか否かという議論を見かけていますが、1秒以上の減速を上手く迎え入れられたかという点で、先行馬にとってはまた異なる消耗戦であったのでしょう。3コーナー手前、先行各馬は皆手綱引いてますものね。

グレナディアガーズの前進気勢

凄かったですね。3歳になってからこちら、レース前のテンションの高さが目立つようになってきた印象です。フィジカルの仕上がりは素晴らしかったのですが、比例して気持ちも仕上がって来ちゃっているのかもしれません。

スタートからしばらくして、ランドオブリバティ、ホウオウアマゾン、グレイイングリーンと順番に前を横切られる展開。ここで減速を求められてからが大変でした。いったん力んでしまってからはそのまま、川田はできるだけ力みを緩和するしか方法がなかったようです。3コーナーでの他馬の減速ではたまらず外へ出しているようですし、さらにそこから加速していますしね。

4コーナーを大きく回ったのも苦肉の策でしょう。ゴールまで1000m以上、力んだテンションのまま走り切ったように見えています。古い例えですがウマ娘にも関連するからよいかな、グラスワンダー安田記念を思い出しました。あの時は向こう正面で外国馬に接触したと記憶しています。

本命にした贔屓目でなく、よくあそこまで粘りました。フィジカルの強さを示したとは思いますが、今後がどうなるかがちょっと心配ではあります。

ソングラインは勝ちに行っての2着

今回はメイケイエールはいませんから、グレナディアガーズの直後で淡々としたレース前半になりました。3コーナーの先行勢の減速に合わせて差を詰めて、直線で視界が開けてからエンジン点火。インに行ったグレナディアガーズに被せていきました。

タイミングばっちりでしたけどね。グレナディアガーズを交わしてから、ラスト100付近で左手前に変わってインへ切れ込む形に。ルメールはこのささった挙動で差し切れたと話していますが、うーん、致し方なしという状況に見えています。池添本人は悔しすぎるとコメントしていますね。

グレナディアガーズが下がってインが開き早め先頭、池添は左で手綱を手繰って右ムチ、そして右後ろからシュネルマイスターが接近。ソングラインをポッカリ空いた左に誘導する条件が整っていました。手前替えがもう少しスムーズだったら、といったタラレバは浮かびますけどね。

シュネルマイスターの父

Kingman産駒が高速馬場の府中でG1勝つのかぁ、と思ってKingmanのレースを見直してみましたが、押っ付けて伸びていくあたりは割と似ている印象でした。息の長さとパワーで差していく感じ、以下は2014年サセックスSの雄姿です。

www.youtube.com

サンデーサイレンスキングマンボも持っていない血統、というだけで端的に貴重ですね。改めて血統表を眺めてみましたが、Never BendSir Gaylord が複数見えますし、SecretariatRound Tableも見えますからナスもキロもたくさん織り込まれていますね。

www.jbis.or.jp

気になって望田さんのブログを探ってみたら、現役当時の投稿がありました。「こんなもん走って当たり前やん」だそうです。

blog.goo.ne.jp

レース前の見立て

馬場

  • 速い馬場、内より気持ち外目が伸びる?

先行馬と序盤のペース

  • 逃げ切りは厳しいが、先行馬がペースを締めるのでは
  • 壁が作れない分ピクシーナイトの逃げ、制御がききにくいため厳しめのラップ

隊列やレース展開

  • グレナディアガーズ絶好の先行ポジション
  • ランドオブリバティは逃げられず溜められず、バスラットレオンはひとつ控えて逃げない
  • ホウオウアマゾンはバスラットレオンのひとつ後ろ
  • ルークズネストの底が見えにくい、アナザーリリック、リッケンバッカーがイン後方から嵌るかも
  • ソングライン、シュネルマイスターは差し届かない可能性

各馬の評価の上げ下げ

  • 馬体は断トツでグレナディアガーズ
  • アナザーリリック、ランドオブリバティは前走から強調材料に乏しい
  • グレナディアガーズの近くで立ち回るバスラットレオン、ルークズネストはひとつ評価を下げる

勝敗に強く影響するであろうファクター

  • 外目に出せる強力な先行馬にアドバンテージ

最後に

日付が変わってもうヴィクトリアマイル。ようやくNHKマイルの回顧ですから、時間がなかなか。だいぶ平日のタスクが多くなっていまして、GW明けからフルスロットルな状態でした。マネジメント業務の難しさを感じつつの多忙ですね。

落馬によるダメージを見極めた上でのバスラットレオンのダービー挑戦、一方でキングストンボーイのダービー回避。結論は真逆でも、こうした積極的な判断の背景には一定のマネジメントが効いているものと推察します。限られた時間のなかで関係者の納得感を醸成するのはなかなか難儀でしょう。ましてダービーですからね。

はい、まずはヴィクトリアマイルに集中してから、引き続き頑張ろうと思います。グランアレグリアとレシステンシア、今回は固めに落ち着きそうな気がしていますけどね。