JRAから調査結果と改善策が公表されました。
テオブロミンの混入自体はカカオの粉塵が原因とのこと。同じ建屋の別ラインで粉砕作業をしていたものが混入したようです。事件性がないことがはっきりしたのはよかったですね。
流通してしまった原因は販売元の検査ルールへの誤認識と結論
上記の文面からすると、販売元である日本農産工業株式会社(以下「農産工」で)が、検査の必要なタイミングや条件について誤認していたようです。検査実施要綱に「結果として従っていなかった」という表現がありますね。
この結果、未検査の飼料が出回ってしまう状況がつくられ、そこにカカオの粉塵が混入した飼料が流通した、というのがおおよその経緯と読み取りました。
自分はチェックプロセスの形骸化があったかもと邪推していたのですが、プロセスの誤認識でしたか。…うーん、第三者機関の調査ですともう少し信ぴょう性が増すのですけどね。ええ、根が曲がっていますので「誤認識、ということで」という可能性を否定しきれない内容なのかなぁと…。以下、発覚当日に投稿した内容です。
チェック体制の強化が改善策なのはこちらが推測していた範囲内、妥当かつ一般的な着地と思っています。ポイントはチェックにかかるコストをJRA側が一手に引き受けていること、でしょうか。過剰なチェック体制こそ形骸化を招きやすいので、真摯な姿勢を示す的な精神論でチェックポイントを増やすより、有効かつ最小限のチェック体制が望ましいと考えています。いちファンとしては、JRAの経費はファンサービスに振り向けられて欲しいですしね。
今後、検査体制の有意義なスリム化は視野にいれておいてほしいところです。
検査基準の見直しには触れず
気になったのは検査基準のほうでしょうか。日経の野元さんは、テオブロミンの検知能力の高さについて疑義をもたれていました。後日リリースされた以下の記事から。
記事内には「閾値を設けず」「25メートルプールに1滴たらした程度でも違反とすること」という表現がありますが、具体的に飼料何gに対しテオブロミン何gが基準になっていて、それが一般的なサラブレッドの馬体にどう影響するか、という具体的な描写はありませんでした。「競馬法が禁止薬物使用に刑事罰を科している」という指摘がその後に続きます。
確かに公正確保の観点が強く必要だった時代からはずいぶん様変わりしていますからね。その時期の社会背景をもとにした法規であるなら、見直すべきタイミングはとっくに訪れていたというべきでしょう。
よりスポーツライクなドーピング基準へ必要な見直しをかけるほうが有意義なのでは、という感想をもった次第です。
最後に
硬い内容の投稿が続きましたねぇ。でもルール設定があってこそ楽しめるエンターテイメントになると思いますので、きちんと検証できるメディアなりの存在は必要と思います。今回の顛末で残念に感じているのはそこですね。野元さんの記事以外は、JRAの発表に沿ったものがほとんどという認識なので。どこかにあればぜひ読みたいです。
今回の件に限らず、「~であるべきと思うが、どうだろうか」的な表現で単発で留まってしまう記事が、競馬だと多いんですよね。問題提起のつもりかもしれませんが、ファン目線の域をもう一つ越えて、事実を調査、把握するコストをしっかり負ったうえでの批判記事が読みたいなぁと思っております。それなら有料コンテンツでも可、ですね。