more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

年度代表馬はアーモンドアイ

思ったよりすんなり決まりましたね。2020年度はアーモンドアイでした。

公式発表はこちら。

www.jra.go.jp

G1を3勝、天皇賞秋ではフィエールマンとクロノジェネシスジャパンカップではコントレイル、デアリングタクトをそれぞれ制しての勝利。というのはジャパンカップ直後に浮かんだ評価でした。先着したのは結果的に、最優秀部門3頭と特別賞の4頭ですものね。

三頭の三冠馬が揃ったジャパンカップはそれだけで歴史的な一戦。ましてワンツースリーですからね。その中で勝ち切ったアーモンドアイですから、名実ともに妥当と思っています。

いまから思うと、天皇賞秋のフィエールマンとジャパンカップのコントレイル、福永の勝負の仕方は似通ったリズムに収れんしたようにも見えています。フィエールマンはスタート後の不利、コントレイルはおそらく菊花賞後の反動と、事情は異なっているでしょうけどね、その中で勝負するための力の引き出し方に似たものを感じた次第です。そう思うと、それを退けた人馬のパフォーマンスがなおさら映えるなと。

個人的にはヴィクトリアマイルトップギアにはいる場面がとても印象的です。競馬ですから競うことが基本とは思いつつ、トップアスリートの力を堪能するレースというのもまた、醍醐味のひとつではあるなと。ヴィクトリアマイルでいうと、ウオッカも同様の圧勝でしたね。

最優秀4歳以上牝馬が(思ったより)極端な結果に

クロノジェネシス、グランアレグリア、そしてアーモンドアイ。今年複数のG1を勝った牝馬が3頭もいるのは例年にない事象でしょう。最優秀4歳以上牝馬の選出はそれなりに票が割れるものと思っていました。。しかし、グランアリグリア2票、そしてクロノジェネシス0票とは。。。ちょっと極端な結果になりましたね。

クロノジェネシスは特別賞を受賞。JRAニュースでは見当たらなかったのですが、特別賞の授賞理由については「出走馬をファン投票で選出する「宝塚記念」と「有馬記念」の両GIレースで優勝したことを評価したもの」とのことです。

keiba.radionikkei.jp

特別賞と制度設計と投票者の心情と

1999年当時を知る人はグラスワンダーと重なったことでしょう。宝塚記念有馬記念を制して、部門賞を逃したという経緯は同じ。その当時からあまり変わりない着地の仕方になるのは、表彰制度のデザインをアップデートしていないことに尽きると思っています。少なくとも、今年のような結果に対して、「3頭とも表彰されてほしい」という思いに対して、対応できる制度設計にはなっていないということなのでしょう。

古馬牝馬で2票のグランアレグリアがほぼ満票で最優秀短距離馬に選ばれるという点も踏まえると、投票者の側で良心的な「選び分け」があったと考えると合点がいく結果ではあります。

じゃあどうするか、という議論はなかなか難しいですよね。個人的には「最優秀」という部門賞の形容を止めて、複数馬を「優秀」として選べる制度改正を思いつきました。例えば有効票数の1/4以上を獲得した馬はすべて表彰対象にする、など。これだと票が割れた年には複数馬を選び出すことができます。組織票など悪用されない前提ではありますが、そもそもきれいな選び分けが起こる世界がありますから、その心配は少ないかな。

…投票ルールだけでなく投票者の選定も含めて制度設計と考えるなら、ある意味上手く機能しているといえるのかもしれません。うーん、それだと良心的に理解し過ぎでしょうか。

満票の部門はそれぞれ納得

2歳牝馬、3歳牡馬、3歳牝馬は満票。それぞれ納得の一言です。

コントレイルについては牡馬3冠=年度代表馬選出、というこれまでの先例とは異なる結果になりました。2020年を代表するには他の馬の活躍が比肩しまくりでしたからね。3冠を重く捉えてか、年度代表馬で44票はいっていました。3冠プラス古馬G1での2着ですからディープインパクトと同じ、という見方も可能でしょう。根拠が見える票の割れ方なら健全と受け取っています。

最優秀2歳牡馬の選定

今年はホープフルSを勝ったダノンザキッドが選出。一昨年はかなり票が割れてアドマイヤマーズ>サートゥルナーリア、昨年は票差をもってコントレイル>サリオス、でしたね。

朝日杯とホープフルS、どちらかのG1に重きを置かれるといった明確な傾向はないように感じています。必ず比較することになりますからね、それ以外の重賞成績や対戦相手のレベル、G1での人気やパフォーマンスが加味されているような票の動向ではないかなと。

伝統的な価値の影響が少ない部門だから、と推察していますが、個人的にはよい傾向と受け取っています。

投票基準のアイデア

毎年思い付いたことを継ぎ足ししているので、秘伝のタレのようになっていますが。という前置きも昨年同様ですね。若干修正を加えて、以下のように制度設計を見直すのはいかがでしょう。

  • 各部門賞はJRA所属馬のうち年間の獲得賞金額最上位馬(地方、海外を含む)、および該当するG1(Jpn1を含む)の最多勝利馬のいずれかから選出する
  • 獲得賞金は該当年度のオープン競走で獲得した賞金総額で算出(地方、海外はどうしましょうね)
  • 短距離の距離区分をスプリントとマイルに分けて再定義(「SMILE」のうち「S」と「M」)
  • 該当馬が1頭の場合は自動選出
  • スプリント部門とマイル部門の受賞馬は、その他の部門表彰と重複して選出されない
  • 該当馬が複数の場合は記者による決選投票 →今年はここを複数馬選出に

「該当馬なし」はNGで

今年はTwitter上で同様の意見が散見されていました。その年の最優秀を選ぶのが現行の基準ですので、別の物差しを持ち出して「該当馬なし」としてしまうのはNGでしょう。G1馬は毎年生まれるわけですからね。

ご本人にその意図はないのでしょうが、投票権の放棄と同等に扱ってよいのではないかなと思っております。投票権を失効するルールはありましたっけ。一定の条件下で、該当馬を選べない方の権利を失効するルールを設けてもいいかもしれません。

最後に

1頭の馬の戦歴を思い直して、改めて特別賞の立ち位置が何とも言えないなと思っているところです。2019年はナッソーSを制覇し、2020年はコロナ禍で日本馬の海外遠征が難しくなる中、サウジアラビア→イギリス→フランス→バーレーンと転戦し、今年の凱旋門賞に参加した牝馬

2020年の成績は奮いませんでしたが、ディアドラのこの活躍にこそ特別な表彰が必要だったのではないかなと。部門賞の選出に漏れた馬の救済策、という以上の意義付けをできるチャンスでもあったと思うのですが、それも含めて何とかしてほしかったですね。