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1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

禁止薬物テオブロミンにより150頭以上が競走除外

なるべく冷静に、なるべくシンプルに状況を整理しておきたいと思います。

「禁止薬物を含んだ飼料添加物を摂取した可能性のある馬」が競走除外

6/15、JRAの発表で「禁止薬物を含んだ飼料添加物を摂取した可能性のある馬」を競走除外とする発表がありました。個人的には?な表現でした。禁止薬物を検出、ではないんですよね。そして明確な頭数も記載なし。

www.jra.go.jp

その後、その2点にはひととおり納得できるソースが。スポーツ報知と日刊スポーツの記事を要約します。

  • 検出された禁止薬物はテオブロミン
  • 検査済みでないものが販売されていた(栗東で22厩舎、美浦6厩舎)
  • 対象馬をすべて検査する時間がない
  • 来週(6/22、23)出走予定の馬については16日までに検査
  • 代謝により10日間で検出されなくなるため、再来週以降の出走馬について検査は行わない

hochi.news

p.nikkansports.com

文脈から見て、競走除外対象馬の特定方法は「該当の飼料添加物を購入した厩舎」だったようですね。実際に摂取していない馬も含まれている可能性は多分にありますが、疑わしい状況を「クロ」と判定したのが今回の経緯と理解しています。

また、土日の競走除外の対象頭数について。この記事タイトルでは150頭以上とぼかしました明け方から152、158などいくつか微妙に異なる数字を見ていたこと、今後の調査次第で増減する可能性がゼロではないであろう状況を踏まえて、ふわっとさせております。

どうやら、土日で158頭、が6/15時点での数字でよさそうです。

テオブロミンについて

かための報告ですがググって見つけました。確たる信頼性は確かめていませんので、それを踏まえて参考程度に。

www.fsc.go.jp

チョコレートは犬猫にダメ、という認識はありましたが、ほぼ同様の理屈で馬もNGなのですね。カフェインの代謝によって生じる物質ですので、チョコレート、ココア、お茶などが混入した場合は同様の問題が生じると思われます。

カフェインと聞いてステートジャガーに思い至りましたが、さすがにリアルタイムでファンではありませんでしたし、あの時は故意性の高さも話題だったようです。

問題の原因は検査結果前の販売

未検査状態の飼料がなぜ販売されていたかは、今後の調査なり発表を待つことになるのでしょう。何らかの故意性がないことを祈りますが、そのあたりも含めて冷静に待つべきでしょうね。…スマホ文化になってから待てない日本人が増えている印象もあり、厄介だなぁと思いつつ。冷静にいきましょう。

今後の対策については冷静に待つべし

一般的な対策としては、チェックするプロセスの追加ないし強化か、検査の前後の手順見直しというのが考えられます。こうした発表があれば、組織の自浄作用が一定程度働いているといえると思われます。

推測するばかりですが、申告制などを取っていた場合、申告から検査という手続きに並行して営業販売を進めることも可能だったかもしれません。関係者間で事務的な手続きの意識が強ければ、こうした検査前の使用が通ってしまう可能性もありうるのではないかと。問題が起こってはじめて手順の重要性を認識することは、そうあるべきでないという正論は理解しつつも、十分あり得るな話ではあります。人間の慣れが招く状態ですのでね。

もちろん何らかの悪意が起こした事件ならそれこそ問題です。が、今回は大丈夫なのでは。重ねてになりますが、冷静に推移を待ちましょう。

※続報:野元さんの分析記事

この投稿後にnetkeibaのコラムがでていましたので追記します。どうやら昨年12月販売から必要な検査がなされていなかったようですね。…要改善というしかなさそうです。

news.sp.netkeiba.com

JRAの判断と対応は迅速

今朝からの顛末について個人的な感想は、JRAの判断と対応はとても迅速だったということ。

原因の特定と再発防止の方向性、影響範囲の確定と妥当な裁定まで、大きな組織の判断スピードとしてとても速かったと思っています。あたり前だろう、と捉える向きもありそうですけどね。

机上の理想論と、実際の組織の決定プロセスを踏むのではだいぶギャップがありますのでね。勤め先でミドルマネージャーやらせてもらっていますから、なかなかにリアルに感じられます。あー、昨年からの盛岡の件も関係者の脳裏にはあったかもしれません。

もちろん各新聞での馬柱の訂正などメディアの対応は大変だと察していますが、大きな混乱もなく150頭以上が競走できない状況下で1日開催が進んだことは、相当統制の取れた状態にあるというべきでしょう。何も意識せず競馬を楽しめている、その舞台裏といいますか屋台骨といいますか、相当に堅牢だなという印象をもっています。

福永のコメントは適時かつ然るべき視野の広さ

騎手会長がプリンスオブウェールズSで英国にいるためでしょう、副会長の福永がきちんと背負ってくれたようです。立場を背負うと、然るべき場面で然るべきコメントを求められる場面が増えますよね。影響力の大きさは比較しようもないですが、同い年なので察するところがございます。

ジョッキーがお詫びする話ではないんですけどね。でも、日本のファンがプレイヤーにスポークスマン的な位置を求めてしまっている価値観があって、それを汲んでいるということなのでしょう。プレイヤーに何でも背負わせてはいけないんですよ、と自戒しつつ。素晴らしい対応でした。

hochi.news

翌6/16以降の影響

引き続き日曜は競走除外馬がでています。函館スプリントSは半数近くがいなくなって寂しい限りですけどね。

翌週6/22、23の登録馬については、厩舎単位ではなくテオブロミン検出馬に限って出走停止の判断がされるものと思われます。今週のような大量の競走除外馬は出ないものと思いますが、宝塚記念がありますからね。ただでさえ出走頭数が少ないところに影響が及んでしまったら。事態が続いてしまうと印象論も幅を利かせてしまいますので、その方が懸念材料ですね。

場合によると帝王賞にも影響するかもしれません。ゴールドドリーム回避で少しトーンが下がっているところですが、この影響があるともったいないですね。

最後に

「禁止薬物」という響きにやられているのか、センセーショナルな見出しで売上部数なり閲覧数を伸ばしたいのか、各種ニュースソースにちょっと雑な見出しが多いと感じています。見出しをデコラティブにするよりは、きちんとした裏付け取材に労力を割いてもらいたいのですけどね。

いちファンとして最大の関心事は、どのタイミングで平常運転の競馬を楽しめるようになるのか、ですので。