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1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

カタールの国際招待競走、アミール・スウォード・フェスティバルについて調べてみた

今週末、フェブラリーSに重なる形で開催されるカタールのイベントについてです。

 

メイン競走アミールトロフィーには、日本からサトノグランツ、ゼッフィーロ、ノースブリッジの3頭が参戦。今年から賞金が増額されたことも大きいでしょう、日本関係者の注目度が上がっているようです。

 

カタールというと凱旋門賞のスポンサーというイメージが真っ先に浮かびますが(あのえんじ色が象徴的ですね)、現地開催となると詳しい情報はまだまだ少ない状況ですので、自分なりに調べてみました。

 

アミール・スウォード・フェスティバルについて

JAIRS、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルのサイトにレース登録要綱の記事がありましたのでまずはここから。

www.jairs.jp

 

いまのところ大手メディアでまとめ記事を見つけたのはこちらですね。netkeibaの紹介ページです。

dir.netkeiba.com

 

日々の報道では、メイン競走名は「アミール・トロフィー」とも「エミールズ・トロフィー」とも表記されていますね。netkeibaもそうですが、こちらもいったんはJAIRSに倣って「アミール・トロフィー」にしておこうと思います。

 

公式サイトと思われるThe Qatar Racing & Equestrian Club (QREC) のサイトをみてみたのですが、SitemapからPhotoGalleryからComing Soonページへリンクするという…。これからなサイトのようですね、今回のイベントの特設ページは見つかりませんでした。

qrec.gov.qa

 

QREC TVというのはQRECが直接運営しているメディアでしょうか、昨年のオンライン中継映像が4時間40分の長尺でYouTubeにあがっていました。昨年のアミール・トロフィーは3:37.15あたりでゲートインが終わっています。勝ったのは昨年暮れの香港で勝ったロシアンエンペラー。以下のリンクから。

youtu.be

 

開催はアルライヤン競馬場

こちらはJAIRSに紹介ページがありました。ドーハという地名はサッカーでなじみがありますね。

www.jairs.jp

 

1周1マイルの右回りコース、東京競馬場の芝コースがAコースで2083mですからそれより一回り小さいという規模感ですね。

形状から見ると1600mのスタートは1、2コーナー中間のシュートでしょう。アミール・トロフィーが行われる2400mは3、4コーナー中間のシュートがスタート地点になりますね。芝コースの内側にダートコースを設けているのは日本と同じ。

 

上記のYouTubeを観ると豪華できれいな競馬場であることがわかります。格付けと開催規模が比例しないあたりが中東の事情を反映していますね。

 

2016年にこじともさんが競馬場のコラムを書かれていました。ご自身のブログで競馬ブック掲載の記事を紹介していますね。その豪華な建物の様子などもわかります。しかし2016年という時期に注目しているとは…、さすがです。

ameblo.jp

 

開催されるのは4競走

以下の4競走、記述はJAIRSからそのまま転載しています。

 

ロンジン・アミール・トロフィーの1着賞金は1,425,000米ドル。1ドル=149円ですと2億1000万超えという金額。

サウジカップドバイワールドカップと比較するのは酷ということなのでしょうが、今年はレベルスロマンス、ロマンティックウォリアー(こちらは昨年に続く参戦ですが)といった海外競馬ウォッチャーにはなじみの名前がみられますし、日本から重賞クラスの馬が複数頭参戦しますので、賞金増額にともなって注目度や参戦馬の質が変わってきたと受け取ってよさそうです。

 

過去に日本から参戦した馬ですと、アイリッシュサラブレッド・マーケティングカップには2019年にユウチェンジが出走していました。いました、と書くぐらい記憶には残っていませんでしたね。

こういうチャレンジは森厩舎だよなきっと、と思って調べたら合ってました。UAEダービーラニの3着、帰国後は京都新聞杯を大敗し500万条件を勝ちあがれない状況下での遠征だったようです。

 

レーティングを緩やかに上げたい意図があるような

国際格付けがあるレースがひとつのみ(国際G3)、カタール自体が現状パート3国という状況からすると、賞金増額をもって高レーティングな馬を招致し、レースのレーティングをあげていきたい意図が見えつつも、急速なレーティング上昇は必ずしも狙っていないのでしょう。

国際格付け格付けなしの第1回ドバイワールドカップのような派手な招致(当時のアメリカチャンピオン、シガーを招待)には至っていない模様です。それは翌週開催のサウジカップデイとの兼ね合いも大いにあるでしょうね。

 

サウジカップデイ、ドバイミーティングとの日程間隔

中東の競馬開催、2024年の日程を整理するとこうなります。

 

 

ファッションフライデーは以前スーパーサタデーと呼んでいた開催。以前にレッドディザイアが制した「マクトゥームチャレンジラウンド3」(今年から「マクトゥームチャレンジ」とシンプルに改称しているようです)を含む、ドバイワールドカップのステップ的な位置づけのイベントという認識です。

ファッションフライデーについては木南さんがカジュアルに紹介していました。

p.nikkansports.com

 

こう並べてみると、日程間隔から見て1、2月のイベントはドバイワールドカップミーティングへの前哨戦という位置づけになりそうですね。実際にゼッフィーロはアミール・トロフィーからドバイへ転戦予定と聞いていますし。

ただ、果たして各国の思惑はその実態を許容しながら進むのか、はたまた…。やはりカタールとサウジの日程がほぼ重なっているのが気になります。

 

日本馬の遠征ローテーションという着眼点からすると、いまのところカタール開催にダート重賞がありませんのでダート馬はシンプルなんですよね。問題は芝馬の選択肢が増えたことでしょう。…選択肢が増えるのはよいことと思うべきかしら。

 

先ほどnetkeibaのXアカウントでサウジカップの出走予定馬がポストされていましたが、やはり頭数が多いですね。すべて国際格付けがあるレースで認知度も参戦馬のレベルも高い状況ですから、ここにカタールのアミール・スウォード・フェスティバルがプレゼンスを増すと、単純に有力馬の分散?ということになるものなのか。

まずは今年の開催がどう評価されるか、レース後も含めて注目したいと思っています。

 

最後に

国内の記事もそうですが、Racing PostもBlood horseもほとんどニュースで取り扱っていないんですよね。JRA-VAN ver.Worldでは年間スケジュールにもはいっていないですし。まだそこまでの存在感ということなのかしら、調べ始めた直後はちょっと途方にくれました。

netkeibaが端的にまとめページを作ってくれていたのは有難かったです。ただ、現地取材のレポートはでてくるのか…。海外遠征に取材同行して厚みのあるレポートが書ける方が少ない印象でして。映像コンテンツはオンラインで充実してきましたので、今度は取材力をメディアに求めたいなと。プレスリリースを整理して伝えるのももちろん大事ですけどね。

記事の語り方ひとつで競馬の語られ方は変わってくると思いますので、骨太な記事をお願いしたいと思っているところです。