どちらのG1も特殊な展開になった印象です。その中で勝ち馬はそれぞれの強さを示していました。
ホープフルSはドゥラエレーデ
横山典弘トップナイフのレースになりました。ペースを握るだけの逃げ馬がいないなと思っていましたが、こういうときのノリさんですね。
ムルザバエフはそれに付いていく判断にしたことでG1戴冠となりました。前走東スポ杯でムーアが強気の先行策を取っていましたが、これがカンフル剤になったように見えています。…そういえばコントレイルの東スポ杯もムーアでしたね。
公式レースラップ:ホープフルS
12.6-11.3-12.2-12.7-12.7-12.5-12.5-11.9-11.2-11.9
参考までに、ヴィクトリーの皐月賞のレースラップです。
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12.0-12.3
馬場は極端なバイアスなく、結果イン有利という見立て
当日はお昼に馬券を購入して結果をテキストで知るという流れでした。それでもイン有利のバイアスは見て取れていましたね。インが有利というより、インもアウトも大差がないので距離ロスが堪えるというバイアスだと理解していました。
トップナイフのペースと番手をとったドゥラエレーデ
ノリさんが行って抑えたことでインかつ先行がググっと有利になりましたね。それについて行って交わせたのがドゥラエレーデだけだったという認識です。
そのまま最後までこの2頭でしたものね。人気薄2頭でいったいったという点からでしょう、ヴィクトリーの皐月賞に似ているとのテキストを見かけました。が、ごにょごにょ面倒な感想が浮かんでおります。
ヴィクトリーは抑えきれずに(というよりいかせた格好)2コーナーで先頭に立っているんですよね。そのある種の暴走っぷりを他馬が積極的に追いかけなかったという展開だったと理解していまして。今回のけん制の効いたノリさんのラップメイクとは別物、と理解しておきたいんですよね。…ホントに面倒くさくてすみません、似ているねでいいのにね。
ムルザバエフのプロフィール
一発回答となったムルザバエフ。先行して達者という印象をもっていましたが、この結果は想像できませんでした。
ムルザバエフのプロフィールはこちら。netkeibaさん、JRAのリリースを参照したとのことです。
カザフスタン出身でそこからドイツの騎手免許を取ったとのこと。今年出版された須田鷹雄さんの本でもカザフスタンの競馬は取り上げていないようで(これから読みます)、どこかで近況の記事などあれば読んでみたいところです。
ちょっと調べたところ、2020年と2021年は2位にダブルスコアに近い勝利数でドイツリーディングを獲っていました。今年はシュタルケがだいぶ差を詰めたようですが3年連続リーディングが確定。そうか、ドイツNo.1ジョッキーが来日していたんですね。
長い腕を目いっぱい使って粘りこませる姿はなかなか印象的。ポジションの志向や追い方など、横山武史や坂井瑠星に近い感覚を覚えているところですが、まだまだ補正が要るのでしょう。今回は12/30までの短期免許でしたが、また来年観ることができればしっかり分析していきたいですね。
ドゥラエレーデの血統と来年に向けて
ドゥラエレーデは、父ドゥラメンテと祖母マルペンサがよく語られている印象。サトノダイヤモンドの近親となれば語りやすいのは確かですね。
ドゥラメンテ産駒のG1制覇が今年6勝目というのもやっぱり早逝が惜しまれます。有馬記念の投稿でもリンクを貼っていますが自分でしたためた追悼記事、いま読むとまた違った感慨がありました。
個人的には母父オルフェーヴルのG1制覇という点が注目ポイントでしたね。
種付料が大きく下がったとの報道は目にしていましたが、どちらかというとその評価に逆行するような産駒の活躍。その中でのBMSとしての結果が、それも2歳G1ででたのはひとつの分岐点になるかもしれません。
ドゥラエレーデ自身もダート1700で未勝利を勝ち上がっていますしね。芝もダートも狙える種牡馬であるなら、ちょうどダート路線も大幅に整備されていく時期ですから種付頭数が増えてもよさそう。いい変化を期待しています。
今後気になるのは鞍上。ムーア→ムルザバエフの前は池添なんですよね。有馬記念ではフジの中継で解説を引き受けていましたが、間に合うのかしら。間に合ったとしても追わせるタイプに池添があまり合わない気がしているところ…。
本命はファントムシーフ
最内枠を確認した瞬間はむむっと思っていました、有馬記念の馬場バイアスだったらなかなか不安がぬぐえなかったでしょう。でもこのコンディションならスローの流れでもインから捌いて勝ち切れるのでは、と踏んでの本命視でした。その読み通り、確かにインを捌いてきましたが前が止まりませんでしたね。
勝負どころでもたついた、1週前追い切りをもう少しやっておけばよかった、というのが福永の弁。すでに調教師の反省コメントですね。個人的には4コーナーの出口付近で前との間隔を詰め過ぎてしまっている点が気になりました。
俊敏に反応できない分早めにエンジンを吹かしておきたい、でも最内の中団というポジショニング、このせめぎあいが少しアクションを早める格好になったのでは、と感じているところです。
ではあのレース展開で勝ち切れたかというと、さすがに厳しかったでしょうね。ただ、極端な前のこりですから差して掲示板に食い込んだわけですし、なにより可動域広めのダイナミックなフォーム。来春まで期待大で見守りたいと思っています。キングスレインと合わせて、取りこぼし、という認識が程よいのではないでしょうか。
展開にスポイルされた馬たちの今後に期待
大外から番手を取りにいっての惜敗となったミッキーカプチーノ、掲示板に届かなかったながらもセブンマジシャン、ハーツコンチェルト、セレンディピティのラストまでの脚色も悲観するそれではなかったように思っています。
この3頭はちょっとパワーを要する馬場コンディションも向かなかった印象があります。府中の良馬場での巻き返しならイメージしやすそうです。
アンカツさんはレースレベルに疑問符がつくようなコメントを残していましたが、どちらかというとこの一戦だけではよくわからないという見立てでおります。名前を挙げた馬たちの次走次第ではないかと思っています。クラシック路線、目が離せないということで。
東京大賞典はウシュバテソーロ
一方、東京大賞典はウシュバテソーロの豪快な差し切りでした。リンゾウチャネルの捲りにサンライズホープが乗っていったのが展開のカギだったなと、リアルタイムでテレビ観戦しながら思っていました。あれで逃げたショウナンナデシコとサンライズホープの間にいた馬は皆苦しくなってしまったでしょう。幸も左右を伺いながらの進出、動かされた格好になっていましたね。
メイショウハリオも早めに焚きつけられていましたし、ノットゥルノも好位で溜めていくプランが崩れていたことと思います。
その中で差しのリズムに徹したウシュバテソーロには大きく向く展開に。仮に2頭の捲りがなかったとしても上位争いはしていたのでしょうが、着差がついたのはこの展開利が大きく作用した結果と思っています。個人的には「幸、早いよ。。。」という感想でしたね。
公式レースラップ:東京大賞典
12.4-12.1-12.8-13.4-12.8-11.9-11.7-12.7-12.4-12.8
昨年のレースラップ、カジノフォンテンが中央参戦で強い先行馬が不在でした。
12.0-11.3-11.9-13.3-13.0-12.2-13.1-13.0-11.9-12.4
当日の馬場は極端な追い込みが効きにくい印象。パサパサなコンディションで上がりが要する分、ある程度のポジションからなだれ込む馬に向くバイアスだったと理解しています。
インから好位をとって立ち回れるアドバンテージを見込んでライトウォーリアを本命に。でもスタートからスピードに乗れず、前と横をブロックされながら1コーナーを迎える形になってしまいました。ブリンカーからしても、もう一列は前のつもりだったでしょうね。
この分もあって、ショウナンナデシコのすんなり先頭から、ペースが落ち着く形になりました。12.8-13.4の減速ラップで向こう正面を迎えていますので、後続としては対策を打ちたくなりますよね。変則的な後半のラップの中ではノットゥルノが頑張っていたという認識です。
ウシュバテソーロは父オルフェーヴルならではというべきダートでの覚醒、一気のG1制覇となりました。うーんでも、今春の横浜Sでは府中の重馬場で34.0の末脚を計時していますから、すでに覚醒済というべきかもしれません。直線だけで勝負を決めていましたからね。
こういった馬が活躍すると、やはり府中の2100mにG1がほしい。せめて重賞がほしいと思ってしまいますね。チャンピオンズカップの前身、ジャパンカップダート時代は名勝負ぞろいなんですけどね。
最後に
東京大賞典の地上波向け番組は、前日Tokyo MXでの展望番組と当日フジの中継の2本立てが定番化しそうな状況に見えています。MXの司会に福原さんが立っていたのはびっくりしましたね。こうしたポジションで安定した進行を見せていただけると観やすい番組が増えていきそうだなと思っています。
あとは志尊淳さんのガチ予想ですね。昨年すでにすごいと思っていましたが、今年も切れていました。前日はウシュバテソーロ本命、でも差しにくい馬場傾向ともまれない外枠を重視してサンライズホープ本命に切り替える、その切り替え方。いい仕事してくれます。ずっとTCKのイメージキャラクターでいてほしいですね。
さて、なんとか年内にレース回顧が追いつきました。いろいろ書けてないことが多い1年でしたが、Gallop年鑑を眺めつつ、2022年の締めくくりは明日まとめようと思います。