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1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

『ウマ娘』の雑感と競馬を語りなおすこと

3年前のアニメとゲームの事前登録からこちら、こんな形で広まっていくとは。さすがに想像できませんでしたね。

2/24にリリース、3月は競馬クラスタの外側から「ウマ娘はじめました」の声がよく届くようになり、4月には「月収100億」や「ナイスネイチャのバースデードネーションへ2700万」など、リアルへの影響にフォーカスが当たるようになってきた、というざっくりとした認識をもっております。短期間で大きく伝播しましたねぇ。

Cygamesの決算発表について分析した記事を見つけています。どうやら「月収100億」は妥当な値のようですね。

news.yahoo.co.jp

ウマ娘、やっています

勤め先では競馬ファンを公言していますが、女の子擬人化方面には断固反対なのでは?などと一部誤解が生じていたようでもあり(何も言っていないんですけどね、冤罪みたいになっています)、いろんな方面へ改めて喧伝しておきます。

ウマ娘、やっています。サクラバクシンオーはスピードMaxにしやすいので、何とかスピード因子7~8を狙って育成を繰り返してみたらよいのかな、くらいにはやっています。

サイレンススズカ天皇賞秋は言うに及ばず、ライスシャワーを逃げ馬にしてクラシック3冠と春秋シニア3冠を獲ってみたり、マルゼンスキーのスタミナを仕上げて大外枠からダービーを獲ってみたり。Season 2のアニメ本放送で感動した翌日、1回目のガチャで新しいトウカイテイオーを引き当てる引きの強さを発揮してみたり。

…すごい充実しちゃってるのかしら。

ハルウララ金策はいかんなーとか、ナイスネイチャにドはまりした方のTogetterまとめがめちゃめちゃ面白かったり、コンテンツから派生した諸々も楽しんでいるところです。

細かいことを言うと、若干の投げ銭はしましたが基本は無課金なので、サポートカードの強化方法のひとつ、上限解放(=同じカードのダブりが必要)にあたってガチャを回数回す必要があり、このあたりに育成の壁を感じています。ゴルシウィークのログインボーナスがガチャの促進目的なら、とても納得感がありますね。

キャラクターとリアルの競走馬との行き来

Twitterのトレンドで「#メジロマックイーン生誕祭」を見つけたときはポジティブながら何とも形容し難いテンションになりました。きっとこれまでのイメージとのギャップを補正し切れていなかったんでしょうね。

長距離のチャンピオンであり、オルフェーヴルゴールドシップの母父であり、という歴史の堆積とともに語ってきた文字列なんですよね「メジロマックイーン」というのは。その文字列があの清楚系でプライド高めの頑張り屋さんに充てられているわけですから。

実際、TLには競走馬メジロマックイーンの写真とウマ娘メジロマックイーンのイラストが交互に登場していまして、時空の歪みを感じまくっておりました。

ウマ娘からはいった方はこういうイメージをいとも容易く飛び越えて同一視ができているのでしょう。ジェネレーションギャップでもあるのかな。そういう意味では楽しみ方はだいぶ異なっているのかもしれませんね。

また、「#ウマ娘」で、実際の競走馬が当時どういう状況であったかとか、リアルの馬券の買い方指南ですとか、競馬場でのマナーですとか、ウマ娘からリアルの競馬へ誘導しようという既存ファンの発信も見られていまして。

強要にならないよう程よい塩梅を心得ていてほしいなと思いつつ、リアルを知るきっかけにはなるのかと、自分は緩く受け止めているところです。

久しぶりにやってきた「競馬の語りなおし」

この短期間でウマ娘がこなしてしまった最大の功績は、経済効果というより、既存の競馬ファン層を越えて「競馬」を語りなおす機会をもたらした点にあると思っています。久しぶりと書いたのは、この種の越境は90年代半ばのダビスタブーム以来と受け取っているためです。2003年にハルウララのブームはありましたが、ごく一時期でしたしね。

いまの30~50代前半くらいがボリュームゾーンでしょうか、馬券は買ったことがないけどダビスタは少しやっていた、という体験を有するひとは少なくないはずです。実際、ダビスタきっかけでリアルな競馬の世界にはいってきた方もいますしね(たとえばジョッキーですと石橋脩が公言していますし、血統予想の亀谷さんは元々競馬王でダビスタ特集していたあたりが活動の端緒という認識でおります)。

ダビスタを上手く進めるには血統の知識が欠かせません。そうすると、サンデーサイレンスブライアンズタイムといった高額種牡馬や、マチカネイワシミズといった種付け無料の種牡馬の名前も、ゲーム攻略という観点で覚えていくことになるんですよね。

また、ダビスタの攻略本では血統解説を読むことにもなるわけで、初代プレステの最初のダビスタに合わせてだったか、ゲーム内の繁殖牝馬のモデルとなった実馬を取り上げた、繁殖牝馬の解説本がでていたはずなんですよね。時間をかけて読んでいた記憶があります。

そうやってダビスタに触れた世代は、ゲーム攻略という面白さを通じて、TTGやシービー、ルドルフといった昭和後半の名馬や、ギリギリ間に合わなかった平成初期のG1馬について語りなおすことになっていたわけです。

今回はウマ娘というギミックを通じて、その語りなおしが始まっているように見えています。

周到で粋な制作側の配慮がありますので、各キャラクターは現役当時のエピソードをふんだんに盛り込まれて出来上がっています。それを手掛かりにあれこれ語り始めることができますよね。

たとえばサイレンススズカが左に周りながら思案している姿は、まさに語りなおしに相応しいエピソードと思っています。馬房の話からそのまま金鯱賞毎日王冠まで繋がりますからね。

語られないものは廃れるばかりでしょう。次世代へ競馬をつないでいくのに擬人化がフックになるのであれば、素直に歓迎でよいのではないかと、そのあたりが個人的な落としどころではあります。

…あ、そんなことを考える前からウマ娘自体は楽しんでましたけどね。

社会が競馬をポジティブに許容し続けてくれること

5年10年20年というスパンで、馬券は買ったことがないけどウマ娘は少しやっていた、という層が、社会に競馬があることを許容してくれる存在になってくれると思うのですよね。よくは知らないけどわるくは思っていない、という一般的な認識ってものすごいパワーですからね。

ハイセイコー以前の競馬は、おそらくその逆、社会悪という認知の強い時代だったでしょうから。平成から令和にかけて、そうした社会の負の認知を受けていないことの効能はとても大きいと思っています。

既存ファンの訂正について

ウマ娘ファンの語り損ない、それに真っ向から議論する向きもあるようです。確かにあからさまな悪意には反対の姿勢を表明してよいかもしれませんが、大きく少し長いスパンで新規ファンを捉えていくのが既存ファンに求めたい姿勢と思います。確かにトウカイテイオーのモチベーションや戦歴にツインターボが一役買うアニメのワンシーンはフィクションに違いないのですけどね。

競馬ファンを続けていく方なら、いずれそうしたギャップに気づくでしょうから、気づくきっかけを手の届くところに置いてあげる、という程度でよいのかなと思っています。

いまはファンタジー優先が楽しいんですよ。ダビスタブームだって、誰が根性Cや安定Bといった便宜的なパラメータ分けを前提に配合シミュレーションするというファンタジーを堪能していたわけですから(いまもそのギミックで最新作が出ていますし、それはそれで楽しいですからね)。

「牧場はひとんち」

リアルにご迷惑をかけてしまう件について、付記すべきですね。だいぶ前の『馬なり1ハロン劇場』で牧場見学のマナーについて触れた話があり、上記の見出しはその中にあった台詞と記憶しています。

と思っていたらツイートがありましたので、こちらで紹介。

 

引退した名馬に会いに牧場見学するファンは、牧場のご厚意で「ひとんちの庭」にお邪魔する、という立場なんですよね。このことをよく理解していただきたいと思っています。以下、ふるさと案内所の注意喚起です。消費するのはイメージに留めたいですね。

uma-furusato.com

最後に

無邪気に楽しめるコンテンツをキープするのは、運営する側に大変な苦労が伴うことが多いと理解しています。ありがたいなと感じつつ、世代的に狙われているなと感じつつ、たまに課金しながらマイペースで楽しんでいくつもりです。

あ、でも、リアルな体験の話は若年層には控えめにと心得ているところです。サイレンススズカ毎日王冠を現地観戦した話とか、ウマ娘と繋がりはしますけど「すごいですね」と合わせるしかないでしょうからね。求められてようやく話す、くらいがちょうどよいと思うことにしています。このあたりはウマ娘に限らずですね。

フサイチコンコルドが登場したら一気に課金ユーザーになっているかもしれないですね。ちょっと怖くなってきました。