more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第22回 チャンピオンズカップ

テーオーケインズ、6馬身差の圧勝でした。

前走JBCクラシックの出遅れが懸念材料として取り上げられていましたが、杞憂におわりました。道中は「唸る」という表現が適当と思っています、ギリギリペースに合わせながらの追走。鞍上松山も引っ張る、抑えるといった手綱ではなく、勢いを殺さないよう抱えもっているといった体でした。いつでもスパートできそうでしたね。

抜け出してからのピッチは圧巻。昨年とは0.9異なるラスト1ハロンはテーオーケインズ自身が引っ張り上げたレースラップですね。昨年のラップも以下に記載しますが、上げ下げするポイントが今年とは異なっています。テーオーケインズに向いたとも、他馬がスポイルされたとも言えそうですね。

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2021年チャンピオンズカップ、最後の直線でど派手に抜け出したテーオーケインズ

テレビ中継の実況では「帝王に名乗りを挙げた」という形容でしたが、もう少し不向きな条件でもう一戦、見てみたいと思っています。でも直線の加速力は凄かった。

公式レースラップ

12.5-11.1-12.9-12.8-12.1-12.3-12.2-11.8-12.0

比較になるかしら、昨年のラップも。

12.7-11.1-12.7-12.0-11.8-12.0-12.1-12.0-12.9

枠順の妙とソダシ

昨年も「椅子取りゲーム」という表現を拝借していた覚えがありますが、今年はそこまで強い駆け引きが生まれなかったように思います。ソダシのスタート次第という側面が大きかった、というのは少し個人的な見立てが強い表現かもしれません。

初ダートでG1挑戦、レースで砂を被った経験がなく、砂でのスタートも初。東京マイルなら芝スタートで脚を滑らせるリスクも少なく初速も得やすかったでしょう。そして最内枠。1頭でも前に入られたら、パンプアップした古馬牡馬に囲まれてレースを進めることになりますし、古馬の筋力から繰り出されるキックバックを浴び続けることになります。

母ブチコは相当ゲート難でしたからね。マリーンカップ麦秋Sと連続でゲートを潜って前扉をこじ開けての競走除外。

吉田隼人は難しいミッションをよくクリアしたと思います。砂を被らず、馬群のプレッシャーを避けて初ダートを進めるにはスタートを決めて1コーナーまで前に馬を置かずに走る=ほぼ逃げるという選択肢しかなかったでしょう。ダノンファラオがスタート直前に立ち上がってしまい(そっちかい、と思っていました)、長くゲートで待たされるディスアドバンテージも込み込みで、よくスタートを決めることができたと。ダノンファラオを待つ間、首を下げる素振りが何度も見られましたからね。血は争えない、という表現が頭に浮かんでおりました。

カジノフォンテンが二の足で見劣り、ミルコが切り替えて控える判断。その外のインティは好スタートから先行策に切り替えてソダシを追撃する形に。ここにサンライズホープが絡みましたが、2ハロン目11.1を追いかけるのは少しオーバーペースだったように見えています。逃げ争いに絡んだ馬はこのくらいかな、引くわけに行かなかったソダシが先手を取り切るまでは厳しい「椅子取りゲーム」の様相でしたね。

テーオーケインズは枠順に応じたシンプルな戦略

テーオーケインズは五分のスタートからインティの後ろ、インから2列目を労せず確保できました。

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2021年チャンピオンズカップ、スタートまもなく先行策を取る3頭の直後を確保するテーオーケインズ

そのまま4コーナーまで2列目をキープしたあたりは松山の力と思っていますが、やはり手数少なくこのポジションを取れる枠と並びだったことが大きかったでしょう。インティやカジノフォンテンがテーオーケインズより外だったら、ここまでわかりやすい着差にはならなかったかもしれませんね。

1点だけ。直線に向いてサンライズホープをパスするのがあまりスムーズでないように見えました。パトロールビデオで確認するとインティに寄られていて、馬が避けたところにサンライズホープ、という流れだったようですね。

次走ですが、すでに実績のある大井2000mはパスする格好になりました。個人的にはフェブラリーSで同様のパフォーマンスとなるか観てみたいと思っていますが、いまの充実度で海外遠征にチャレンジしてほしいですね。鞍上はそのままでお願いしたいです。

気になった馬

チュウワウィザード

ドバイ遠征からこちら、体調を崩すどころか充実期にあるように感じます。ソダシが前半のペースを絞り後半5ハロンでジワジワ加速したことで、待機勢には上位進出が難しい流れになったと認識しています。よく差し込んできたなと。このあとは東京大賞典でしょうか。もうひとつタイトル増やしたいですね。

カフェファラオ

かなり露骨な外枠スポイルだったと思っています。砂を被らない、馬群に包まれないという意味では好枠でしたが、それだけではこの流れを克服することはできませんでした。

陣営の期待は高いんですよね。ブリーダーズカップ(デルマーの小回り)から逆算しての函館記念をローテーションに組み込んだようですし。ただ、それにしても負け過ぎかなと。直線に向いてメイショウハリオに被されてそのまま後退してしまいました。フェブラリーでリピーターとして評価すべきかは何とも。。。

アナザートゥルース

坂井瑠星が3着まで押し上げました。これを書いているのは翌週土曜ですが、境港特別をタイセイモンストルで2番手から押し切ったリズムと基本は同じと受け取っています。

最近の騎乗はオーバーペースでバテる場面が減り、前受けして粘り込ませる場面が増えたという印象があります。いろいろな馬のスタミナの底を自分で仕掛けて体感しているなら、若いうちの経験としてはとても良質と思います。馬券になってきていますからね。これからが楽しみという率直な感想です。

最後に

ミーハー感の強い気づきを。今年のチャンピオンズカップのロゴ、えらいカッコよかったなと思っています。毎年変わるのかしら。表彰式の表彰台にも使われていて、G1ごとにこうした演出があるのは面白く感じています。キャプチャはゴール板ですね。

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2021年チャンピオンズカップのゴール板、オリジナルのロゴ


さて、そろそろ年度表彰の一部は絞れてきましたね。最優秀ダートはテーオーケインズ古馬牡馬はコントレイル、3歳牡馬はエフフォーリア、このあたりはほぼ決まったとみてよさそうです。一方で、短距離はこのあとの香港国際競走を待たなければいけないでしょうし、古馬牝馬有馬記念まではっきりしないですね。

グランアレグリア、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシス。昨年牝馬クラシックを分け合った3頭がそのまま翌年の古馬牝馬表彰を争うのは珍しいケースと思います。…うーん、グランアレグリアを短距離で表彰して2頭のどちらかが古馬牝馬、という心情論があるかもしれませんね。ダノンキングリーがマイルを勝った場合にどうなるのか、などなど。

2歳牝馬は明日の阪神ジュベナイルフィリーズ次第でしょう。いまのところは川田、福永不在の手替わり、ステルナーティアとナミュールに重きを置いていますが、阪神の芝が軽さを担保し切れなくなっていますからね。33秒前半の切れよりは3ハロン馬場を蹴り続けられるパワーを重視したいと思っています。

そうそう、香港国際競走もありますからね。余裕をもって堪能したいですがせわしない1日になるのでしょう。