more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

NHKマイルカップ

アドマイヤマーズ、G1馬の力を示しました。

終始外々を回る判断にしたデムーロ。コーナー通過順は6-7ですが、先行馬群のいちばん外。スタートは少し遅れた格好でしたが、その後は一貫してポジションを上げ続ける攻めの騎乗を貫きました。ラストの脚色に信頼がないとこのアプローチは難しいでしょう。これまでの継続騎乗にひとつの解答がでたと思っています。

netkeibaのコラムではミルコ自身「色々苦しいこと」があったとコメント。日曜のレース後に更新するというスケジュールがすでに苦しく映っているのですが、これでひとつ吹っ切れるでしょうか。ことは精神論だけではないと思いますが、前向きさがものごとの好転を助ける場面もあるでしょうから。

公式レースラップ

12.0-10.4-11.5-11.9-12.0-11.3-11.3-12.0

インが伸びにくい馬場コンディション

土曜の準メイン以降は雹のため中止。珍しいケースですね。馬場に降った雹を踏んでしまう危険があることから中止が決まった模様。この影響からか、日曜は外差しが比較的決まりやすい傾向が。3、4コーナーのインが荒れているとのコメントもあったようです。

それでも勝ち馬の上がりは33.9。17着ミッキーブラックでも34.4ですから、多少の緩さはありつつ、軽快なスピードなり速いギアチェンジなりが求められるコンディションだったようです。

直線は人気薄が横一列に、グランアレグリアはスポイル状態

内からプールヴィルが少し張って、イベリスを簡単に逃がさせない序盤。なだれ込むことを意図したのか、人気薄の馬が先行馬群を形成。グランアレグリアが比較的前にいましたが、こちらは折り合いを重視して3、4コーナーでの進出はありませんでした。

直線は最内イベリスから、クリノガウディー、プールヴィル、ワイドファラオ、トオヤリトセイトと、見事に人気薄が横にズラッと並びます。グランアレグリアはその直後にはいってしまいました。外からは人気どころのダノンチェイサー、アドマイヤマーズが脚を伸ばしていますから、グランアレグリアは進路を失いやすい、スポイルされやすいポジションだったといえそうです。

ルメールのハンドリングは降着処分に

問題の場面の少し前から。直線に向いて、グランアレグリアは一度内に振られています。馬の首が先に内に向いていますから、直前のトオヤリトセイトを回避する動きですね。そのあとルメールは体勢を立て直し外へ進路を求めて追い始めます。ところがそこにいったんワイドファラオに外に押されたトオヤリトセイトが内に戻ってきます。ルメールが促していた分、前後の距離は詰まっていたように見えますね。

ルメールが少しだけ外へ促したアクション、グランアレグリアは敏感に反応ようです。前に乗りかからないように横への回避行動が強くなった結果、ダノンチェイサーへのショルダーチャージが発生してしまった、というのが自分の見立てです。

ルメールが狭いエリアへ促していたことは事実ですので、アウトという判断は妥当と思いますし、ダノンチェイサーのファイトバックを見ての降着処分も納得するところです。

勝った桜花賞は残り800から、視界がクリアな状況でのロングスパートで持ち味を発揮しました。今回は残り600を切って進路を探す状況ですから、早くスパートにはいりたいという焦燥感が少し余計に表現されてしまった、とも推察しているところです。外差しの馬場という認識も加味されていたでしょうね。

デムーロは4コーナーからダノンチェイサーを押し込む意図

ダノンチェイサーにとって不運だったのは4コーナーでアドマイヤマーズに被せられるポジションだったこと。逆に言えば、外差し馬場の絶好のラインへ最も適切にアプローチができていたのは川田だったと言えそうです。

直線に向いても終始併せる意思を示し続けるデムーロ。グランアレグリアから玉突き的な接触があったときも瞬時に内側に重心をかけて鞍下のバランスを抑えにかかっていました。残り200を切って、ダノンを振り切れると判断できるまでは徹底した動きと見えました。

アドマイヤマーズは切れを活かすタイプ

朝日杯は先行押し切り、共同通信杯では押し出されての逃げでしたから、先行馬のイメージが強いですよね。自分はスロー寄りで先行すると持ち味が活きるのかなと思っていましたが、このパフォーマンスを見るとトップレベルの競走では差しに徹する方がよいのかもしれません。向こう正面ではしっかり押さえていましたからね。

どうやら春はこれでお休み、秋は暮れの香港マイルを目指すことになるようです。ビューティージェネレーションを差すことができるか、なかなか難儀な課題ですが楽しみにしたいと思います。

ケイデンスコールは石橋脩の戦略が奏功

スタートから終始アドマイヤマーズを視野にいれる運び。腹をくくって大外一気に賭けたものと思われます。アドマイヤマーズがデムーロでなければ、あるいは差し切っていたかもしれませんね。

展開のあやといえば議論が止まってしまいますが、3コーナーでファンタジストに前に入られていなければ。直線の進路まで影響しましたから、ここがスムーズだったらもっと僅差になっていたでしょう。逆にいえば、勝つためのポジションに武豊がちゃんとリードしていたとも言えそうです。展開のあや、でしょうねやっぱり。

カテドラルはワンテンポ外した追い込み

グランアレグリアが割れなかった先行馬群、これを直線半ばで割って出てきたのがカテドラルでした。アヴドゥラのスムーズな誘導が接戦まで持ち込んだ要因と思います。

馬場コンディションが違っていたら、というたらればを思いつく傍から、ハーツクライだからこそこなせたというイメージも。前走アーリントンカップ同様に切れ味を発揮してきましたから、今後の成長が楽しみな1頭と思っています。

グルーヴィットは不完全燃焼

もったいなかったですね。グランアレグリアの直後で3、4コーナーをじっくり回っていましたが、グランアレグリアの斜行がひととおり終わるまでその直後でアイドリングする格好に。その後はトオヤリトセイトの直後にはいって行き場を失い、外へ進路を求めてやっぱり詰まることがわかったあたりでゴール。前方が開けないままレースを終えてしまいました。

現地のリーディングジョッキーが乗る1番人気の直後ですから、ダミアン・レーンとしては十分なポジションと感じていたかもしれません。でもなー、戦略性に欠ける淡白な負け方に見えていまして、あまりいい印象が残っていないのが正直なところです。

これでコントラチェックとサートゥルナーリアが回ってくるのか…という腰折れ感といいますか、力の入りにくさといいますか…。時間が取れればこの乗り替わりの顛末についても思うところを書いておきたいですね。

ヴィッテルスバッハは鞍上の意図が伝わらず

本命視したヴィッテルスバッハはインにこだわっての不完全燃焼。3コーナーでファンタジストかケイデンスコールのポジションにいることを期待していたのですが、あえてインを選択した理由はどのあたりにあったのでしょう。

そもそもの出遅れ癖を何とかしないといけない、というのが議論の前提なのですけどね。このあたりがルーラーシップという生まれ持った特性ともいえるわけで。しばらくは成長を促しつつ適性を見極める手探りが続くのかなと思っています。

最後に

当日は現地観戦でした。グランアレグリア、よかったですね。G1を獲る馬のボリューム感がしっかりありました。前走より馬群を捌く難しさが増しそうであること、ラチを頼りにくい馬場バイアスから評価を下げる判断にしたのですが、やっぱり怖くなったんですよね。グランアレグリア頭の馬券を少し買っていまして。こうして買い目を増やすのは避けたいなー。今回の反省点と心得ております。

ヴィッテルスバッハ含め、グランアレグリアを飲み込む差し脚を見込める馬で馬連BOXを押さえていました。はい、何とかタテ目を拾って収支はプラスでしたねよかったあぶなかった。珍しく予想力<馬券力だった気もしていますが、先の反省がありますのでね。

もう週末、ヴィクトリアマイルでございます。ソウルスターリングの買いどころを探している最中ですが、石橋脩のリベンジに賭けたい自分もおりまして。あの桜花賞の本命に悔いはないですからね。思い入れと分析の折り合うポイントを上手く見つけたいと思っています。