more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第37回 マイルチャンピオンシップ

グランアレグリア、短距離G1を年間3勝は史上初の快挙ですね。

スローを見越して先行策を取った結果、2番手ラウダシオンの直後。ひとつ外からアドマイヤマーズ、インディチャンプと順に被せられながら直線を向く形になりました。

4コーナーまでアドマイヤマーズの外にはカツジ、一方のインにはレシステンシアが逃げており、ベステンダンクも頑張っていました。

グランアレグリア包囲網。そう表現するのが妥当でしょう。

最初のコーナーにかかるあたりで、各ジョッキーは順々にグランアレグリアを封じ込められるポジションを意識しながら進んだように見えております。

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2020年マイルチャンピオンシップ、直線に向いて進路がないグランアレグリア

少なくともインディチャンプ福永は直線に向いてグランアレグリアに蓋をしながら自分のタイミングでスパートすることができていました。

そのインディチャンプを交わして残り200、ようやく視界がクリアになります。

ここから差し切るのですからお見事という他ないですね。だいぶマークされましたがルメールは落ち着いて対処しました。こちらもまたお見事です。

個人的にはカツジの位置かのそのひとつ外にサリオスがいて、グランアレグリアが馬群の中でスポイルされる可能性をイメージしていたのですけどね。…あまり関係なかったかな。女王に失礼な予想になってしまいました。

公式レースラップ

12.5-11.0-11.4-12.0-11.6-11.0-10.8-11.7

クッション値と含水率

2020-11-22 阪神芝コース
クッション値 9.8
含水率:ゴール前 9.8
含水率:4コーナー 12.2

土日ともインが伸びにくい印象

クッション値は先週と変わらないのですが、含水率は増加。インから1m付近で計測しているはずですので、インピッタリをまわると伸びを欠きやすい状態と推察はできます。実際、レシステンシアは内から2頭ほど空けて直線の進路を取っていました。

日曜3R、2歳未勝利の1200m、2ハロン目のラップは11.0。これがレシステンシアの2ハロン目と同じ。馬場コンディションに大差がなかったとすれば、G1で計時した2ハロン目はあまり突っ込んだラップではないといえそうです。

レシステンシアの逃げは溜めをつくったスロー

出負け気味のスタートから押しての先頭。レシステンシアが内枠を利しての先行策。ラウダシオン武豊はこれを待っての2番手を狙っていたようです。NHKマイルカップと同じ1、2番手ではありますが、当時はデムーロがけん制した分2ハロン目がより速くなりました。落ち着いた流れの中で陣形が整っていったように見えています。

4ハロン目で溜めをつくって3、4コーナーの下りで加速するイメージ。だったでしょうね。ただ、ラウダシオン武豊がしっかり付いていったことで離した逃げにはなりませんでした。

ひとつ早い仕掛けは瞬発力勝負に持ち込みたくない、という判断の表れだったでしょうか。アドマイヤマーズが外で唸っているのも視野に入っていたかもしれません。後続の仕掛けを待たずにスパートを開始しましたが、粘り切るには至りませんでした。

秋緒戦ということもあったかな。プラス24kgの大幅増に見えなかったあたりは好感でしたが、少しスラっとした馬体。もうひとつパンプアップした姿だったら、という印象がありました。それでも本命視したのは後続同士がもっとけん制し合うイメージだったからなんですけどね。

走破タイム1:32.8はNHKマイルカップからコンマ1秒だけ遅いもの。自身のパフォーマンスはできていたと見てよいかもしれません。

ルメールはほぼ迷わず先行策

スタートから促しての先行策。スプリンターズSは出負けの上に前が11.9-10.1のハイラップですから、全く異なるポジショニングをイメージしていたことでしょう。馬もしっかり反応できていましたね。外から他馬が被せてくるのは承知の上、という所作に見えました。

もしこれが1列後ろになってしまうと、後手後手を踏んでいくマイナスの流れになっていたかも、と思っています。2枠特有のスポイル、そこに嵌らなかったのは人馬の能力あってこそ、でしょう。

しかし、ポジションの柔軟性が増しましたね。馬群の中で力を削がれた朝日杯からすると、あのポジションをキープできるメンタリティに変化しているわけで。成長というよりは適応と呼びたいところ。末脚の切れだけでなく、タフさを身に着けた様が見て取れました。

最優秀短距離馬の次走は?

来年の現役続行が示唆されていますし、レース前には天皇賞を指して「タイキシャトルシンコウラブリイより自信がある」との藤沢師のコメントも。少なくとも来期スプリント戦は使わなさそうですね。

ただ、今年はまだ終わっていませんので、…有馬記念って選択肢にはいっていないでしょうか。もし参戦となったら相当面白いグランプリになりますね。

インディチャンプは完敗の2着

あの仕掛けで押し切れなかったあたり、グランアレグリアとは一枚末脚に差があるのでしょう。ピッチの速さ、そのピークをどこに持っていくかというタイプに見えていますので、ペースを受けて横綱競馬に持ち込むのがベストではないのかな。スプリンターズSを回避、一頓挫あったのはあまり影響していないと思われます。

一瞬、アドマイヤマーズとワンツーで決まったかなと思ったんですけどね。前年チャンピオンの力はしっかり見せてくれました。

アドマイヤマーズは積極策からの3着

瞬発力勝負では分が悪いという判断があったのでしょう、川田というキャラクターと相違ない積極策となりました。残り800まではグランアレグリアのひとつ外で蓋をする役割をビシッとこなしていましたね。

そつのない所作は残り800手前から600までのじわっとした進出。おそらくですが、「アドマイヤマーズの直後にいる馬」が引き続きグランアレグリアへ蓋ができるよう、ゆっくりとした間を取ったように見えています。

「アドマイヤマーズの直後にいる馬」はインディチャンプでした。川田がどう背後の状況をイメージしているかはわかりませんが、インディチャンプ=福永ならこの間にはいってくるだろう(仮に別の馬でもはいってこれるだろう)という想定のもと、グランアレグリアのサイドを早めに捨てて、自分のタイミングで進出し始めたものと思っています。利用し利用され、ですね。

力の抜けた馬に乗っていたら、川田の戦略は王道のそれだったでしょう。阪神がもうひとつ時計のかかる馬場だったら、また違った結果があったかもしれません。

調教動いてましたもんね。このコンディションで香港だったら連覇も、と思いながらパドックを見ていました。…招待は来ていましたが、この後遠征という選択肢はあるのでしょうか。だいぶローテーション的にきついですが、可能性はあるのでしょうか。

サリオスはもったいない5着

有力馬のなかで勝負に加われなかったのは大外枠のサリオスでしょう。最初のコーナーまで、サウンドキアラの斜め後ろで行くとも引くともつかない時間。結局、サウンドキアラの後ろに控える形になりました。個人的にはスタートから前々のポジションを求めないと厳しいと思っていましたが、このあたりは作戦だったかな。

外枠スポイル。46.9-45.1の後傾ラップを大外から上がり最速33.1で追い込んでくる様は、やはり勿体ないという印象です。ミルコだから、という訳ではないように思っていますが、ひとつ早く控えていればインをこじ開けるサリオスの姿を見ることができたかもしれません。

うーん、上位人気の各ジョッキーはこのスポイルを狙ってペース配分していた可能性はありそうですね。決して実力負けではないでしょう。完成はまだまだ先、という意味では大切に乗ったと納得するのが前向きでしょうか。

有馬記念、アリだと思うのですけどね、次走はどうなるでしょう。

最後に

ジャパンカップウィークに突入しております。日曜夜にサートゥルナーリア回避の一報が入り、かなり残念なテンションになっておりましたが、3冠馬3頭が揃うジャパンカップは今後も見ることができないでしょうからね。

レンブーケドールの出来栄えと枠順をチェックしてからでないと何とも言い難い府中の2400かなと思っているところです。キセキが内枠を引いたらこれまでのように待機策を取るのが最善なのか、などなど。中心はもちろん3頭ですけどね、考えるべきポイントが多くなるのか、シンプルになるのか。…ワクワク感は損なっていないかな。

3冠馬のトレーナーによる鼎談、netkeibaで読むことができます。コロナ禍でリモートが普及したからこそ実現した企画でしょう。このジャパンカップを楽しみ尽くすには目を通したい掛け合いだと思います。是非。

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