more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

グロリアス・グッドウッドにディープインパクト

ナッソーSフランスオークス馬ファンシーブルーが制しました。

昨年の勝ち馬ディアドラが早めのスパートから失速していく中、ライアン・ムーアは徐々にインを締めて2着馬を外に回す好判断。しっかり脚を使い切っての勝利と見えました。強かったですね。ファンシーブルーはこれで2つめのG1制覇。ディープインパクトがまたひとつ意義深い足跡を残しました。

JRAの発表はこちら。ディアドラ陣営のコメントに終始しているのはちょっと残念かな。

www.jra.go.jp

上記の記事にはレース映像がありませんので、Racing TVの映像を。

www.youtube.com

ディアドラが制した昨年のナッソーSも合わせて。

www.youtube.com

昨年よりスローな前半、ロングスパート勝負

前半のペースは昨年より緩んだようです。映像を見比べてみましたが、後半のラチが切れるあたりの通過タイム(以下のスクリーンショットの箇所ですね)、昨年より2秒程度遅いものでした。画像内では1:20ですがゲートが開くのが0:03くらいですのでざっくり引き算しております。

 

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2020年 ナッソーSのレース後半

レースタイムは今年が2:04.99、昨年が2:02.93。どちらも馬場発表はGood。馬場差は考慮する必要がありますが、昨年と比べてもスクリーンショットの地点からゴールまでの所要タイムはほぼ同じ。大きく捉えると、昨年より前半が緩んだ分後半の持続力勝負になったようです。後半のラップ、内訳が知りたいですね。

ディアドラは早めのスパートで末脚をなくす

映像を観るとわかりやすいと思うのですが、オイシンの手が動く前からすでに全力に近いスパートになっていた模様。余裕のある馬なりとは少し異なっていますね。昨年は内ラチが切れるあたりから一度前が詰まって待つような場面がありました。その間が奏功したと言えるのかもしれません。今年はずっと前方がクリアなまま、末脚をなくしてしまいました。

オイシンはスタートから少しポジションを取りに行く素振り。スローが見えていたとしたらその意図は理解できますが、秋華賞にしても府中牝馬にしても、レース前半のペースを外して後方待機するレースの進め方、緩→緩→急というのが端的でしょうか、スパートのタイミングもずらすくらい末脚に賭けるスタイルの方があっているのかもしれません。

橋田師のコメントでは競馬に対する前向きさがなくなっているように感じた、とのこと。外から邪推する限りは、昨年よりローテーションが詰まっていたこと、逆に前々走のサウジアラビアからは4カ月以上空いていたこと、その間はどこでレースに使えるかわからない中での調整を余儀なくされたこと(メリハリを失いやすい時期だったのかなと)、このご時勢の影響を見てしまいます。

ドバイ、香港、イギリス、アイルランドサウジアラビア。日本を合わせて参戦したのは計6か国。その間の移動もものすごいですからね。圧倒的にタフだなと思う一方、馬自身が様々な刺激に慣れていることは想像可能かなと。調教内容を変えながら様子を見ていくようですので、引き続き関係者の努力を見守りたいと思います。

ファンシーブルーとドナカ・オブライエン

ファンシーブルーの来歴については、合田さんのnetkeibaのコラムで分かりやすく解説されています。母はハイチャパラルの全妹、トレーナーのドナカ・オブライエンはデビュー戦でジョッキーとして手綱を握っていたことなどなど。

news.netkeiba.com

そのドナカのコメントも含め、Racingpostではレース回顧記事が上がっています。どうやらディアヌ賞の時も今回も、現地入りができなかったようですね。

www.racingpost.com

ファンシーブルー、秋には日本遠征?

上記の記事ではちょっともってまわった表現になっていますが、秋に日本のレースを目指すかもという一文が。個人的にはディープ牝駒が欧州のG1戦線でどこまで通じるか見てみたいですけどね。

現時点でのローテーション候補は以下の記事の方が詳細ですね。日本はあくまで選択肢のひとつ、ディアヌ賞と合わせて勝利するとボーナスがあるのでエリザベス女王杯、のようです。今年は阪神で変則開催ですが情報届いているかしら。

world.jra-van.jp

ディープインパクト1周忌とその血の拡散

しかし、ちょうどディープインパクトの1周忌という日に、グッドウッドから快挙の報が届くとは。

各メディアの公式アカウントをフォローしている分、7/30のTLはディープを惜しむ言葉できれいにデコレイトされていました。もちろんわるいことではないですし、哀悼の意を表すことに全く異論はないのですが、そんな中で朗報に触れて、改めてその血の活躍を楽しむ方に比重を置きたいなと思い至った次第でして。種牡馬としての役割をいまもって果たし続けているディープインパクトに(勝手に)胸を張りたいですものね。

クールモアのディープインパクトへの注目は、サドラーズウェルズといいますかガリレオデインヒル、グリーンデザートといった系統の偏重に対するカンフル剤としての期待からと理解しています。すでにサクソンウォリアーが種牡馬入り、残された産駒からつい昨日もニューマーケットで勝ち馬がでています。チャリスSは昨年ラヴソーディープが勝ったリステッド競走。今年はカタラが制し、ディープ産駒が連覇したことになります。血の拡散はちゃくちゃくと。

もうちょっとクールモアの動き出しが早かったらな、とは思いつつ、日本で走るマル外の活躍の確率を思えば、十分すぎる結果を出しているといえるでしょう。

そうですよね、Frankel産駒のソウルスターリングが日本でG1を勝ったり、この日曜は父Tapit、母Unique Bellaというばっちりアメリカ血統なバニシングポイントが札幌で新馬勝ち。よーく考えたらディアドラだって父はキングジョージ勝ちのハービンジャーですものね。

昨日見つけた平松さんの記事から。武豊のコメントに概ね同意するところです。

「僕らがオリンピックに出るようなレベルの選手を相手にしたら、たとえ競技場でなくてコンクリートの上や砂浜でもかなわないですよね。そういう事だと思います。圧倒的なレベルの差があれば、どこへ行っても走れる。ディープはそんな可能性を感じさせてくれる馬だと思いますよ」

news.yahoo.co.jp

概ね、と書いたのは、そうした圧倒的な馬でなければ馬場の違いなどで十分勝ち負けが変わり得る、そしてそうした場面に遭遇することの方がずっと多いであろうと思っていまして。その点がちょっと違うかな、ということですね。個人的にはまさにそうした圧倒的な「例外」をこれからも目撃したいと望んでおります。

最後に

JRAが配布していたカレンダー、自分はパークウインズ府中で受け取ったのですが、2020年は「三冠。歴史に輝く蹄跡。」というタイトルで、歴代の3冠馬を年代順に1月から取り上げる仕様になっていました。牡馬牝馬を合わせて、2019年まででちょうど12頭だったんですね。

自宅の冷蔵庫にフックをつけてかけていまして、重賞の日程が無理なく視界にはいるようにしています。7/30がディープインパクトの命日。すぐに8月になりますので、7月のスティルインラブをめくると、8月はディープインパクト

…たぶんカレンダー制作に携わった皆さんは気づいていたと思うんですよねー。もちろん偶然かもしれませんが、ファンの気持ちの動きに沿う、粋な演出だなと思うことにいたしました。