more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

2023 Dubai World Cup meeting

今年も素晴らしい快挙を目の当たりにできました。凄かったですね。

 

昨年が史上最多の22頭でしたが、今年はそれを上回る26頭。ドバイワールドカップミーティングは日本vs世界といっていいくらい大挙しての日本調教馬参戦となりました。そして素晴らしい結果。8頭出走というのもびっくりですが、ドバイワールドカップを獲ることになるとは。それを含めて日本調教馬は計3勝。いずれもその後に期待が膨らむ勝利となりました。

 

日本馬の成績

JRAのリリースはこちら。

www.jra.go.jp

ドバイレーシングクラブの結果ページはこちら。

www.dubairacingclub.com

やっぱりラップタイムは公式では確認できず。Twitterで「Total Performance Data」というアカウントが各馬のラップタイムを出していたのですが、これはソースとしてどのくらい信頼性があるのかがわからず。参考までにワールドカップとシーマクラシックのツイートを引用しておきます。

 

 

日本調教馬の成績、レース実施順で以下に一覧します。やっぱり多いですね。

すべての馬に触れていくとさすがに字数がとんでもない量になりますので、気になったことをかいつまんで言葉にしておこうと思います。

 

UAEダービーで1~4着独占

想像以上の結果になりました。4コーナーで日本馬が上位を占めている時点でかなりテンション上がりましたね。

デルマソトガケのルメールは内枠スタートを活かし切った格好。1コーナーまでにドゥラエレーデ、大外からコンティノアールが前々のポジションを狙って加速してきましたが、デルマソトガケを交わすには至らず。そのままずっとひとつ外を追走する形になりました。

ルメールのペース配分と合わせて、2番手以降は結構苦しい追走になっていたのかもしれないですね。それにしても着差がつきました。

 

しかし全日本2歳優駿ホープフルSの勝ち馬でワンツー。新しいローテーションというよりは個体の特徴と馬場とのマッチングを読んで、芝とダートの選択が柔軟になっている印象が強いですね。ヴェラアズールのワールドカップ挑戦も同様と思います。ダートへの挑戦になったドゥラエレーデもスタートダッシュの低い姿勢とスピードののりかたを見ると適性はあったんだなぁと改めて感心します。

どうやらデルマソトガケとコンティノアールはケンタッキーダービーに向かう模様。ハイペースといいますか消耗戦といいますか、スタミナを削っていくような前傾ラップで突っ込んでいった場合にどうなるか。日本でやってきたペースをメイダンでは再現できましたが、チャーチルダウンズで活かせるかはちょっと未知数のように思っています。

 

ゴールデンシャヒーン、レモンポップは惨敗、リメイクは今後に期待

レモンポップ、期待していましたがペースもキックバックも厳しいものになったようです。フォームを見る限り、直線に向いても頑張ってはいましたけどね。

勝ったシベリウスも2着スイッツァランドも3、4コーナーはラチ沿い。キックバックもばっちり受けたでしょうが、直線伸びてきますからね。ダート短距離をこなす鍛錬は日本のそれとはかなり異質というべきなのでしょう。

初の1200をドバイで迎えたわけですし、スプリント戦に慣れが必要とは思いつつ、このままスプリンターになっていくのかは何とも言い難いところ。秋まで休養とのことですので、まずはリフレッシュですね。

 

安定感のある末脚を披露したのはリメイクとレッドルゼル。特にリメイクは今後が楽しみな印象です。福永から武豊というバトンタッチも好印象。どうやらキックバックのきつさもこなしていたようです。サウジからドバイへの転戦ですので、この後はどこに向かうんでしょうね。

 

ドバイターフ、ダノンベルーガはもったいない2着

スタートから控える素振りを見せていたモレイラ。ちょっと控えすぎてしまったでしょうか、途中からはおっつけながらの追走になりました。このあたりがもう少しスムーズでもうひとつ前のポジションをキープしていたら。…たらればですね。でもラストの脚色をみるともう少しどこかで何とかならなかったかと思ってしまいます。

個人的には川田の鞍上継続でもよかったのでは、というたらればも浮かんでおります。うーん、川田ならもう少しポジションを取りにいけただろうな、などと思ってしまうわけですね。

 

勝ったロードノースはフランキーのポジショニングの勝利という印象。昨年よりスマートな運び方に見えています。とはいえあのトモの張り、3連覇の根拠といえるかもですね。フランキーもラストのドバイミーティングでG1勝利を収めました。

…一番のたらればを言っておかないといけません。もしドウデュースがでていたら。このロードノース3連覇はなかったので、はとつよーく思っております。

 

シーマクラシックはイクイノックス完勝

圧巻でした。凄かったですね。距離もそうですし、2ターンというコース形態、馬場コンディションを加味して、ある程度ニュートラルに先行するとは思っていました。鞍上ルメールですからね。でもあんなに躊躇なくハナに立つとは。

グリーンチャンネルの解説でも名前が挙がったように、オールドファンにはハーツクライが、もう少し最近のファンには父キタサンブラックが思い浮かんだでしょう。個人的には2016年のジャパンカップ、完封の二文字がふさわしいあのレースを思い出していました。

 

けん制の効いた緩み切らないラップ、どうやら内馬場を走る撮影用の車に物見していたようですね。その分リラックスした道中だったのでしょう。上記のツイートのラップでは3コーナーで一度ペースアップしているようです。ここまで速くなっているかはちょっと疑問ですが、コーナリングでジリジリと後続を振り落とすようなギアチェンジをしていたと思われます。4コーナーの各馬の手ごたえがそれを示していますよね。

残り300で肩ムチがひとつ。府中でよくみるルメールの仕掛けどころですね。そこからは引き離すだけになりました。2着ウエストオーバーの陣営は今後イクイノックスに「近寄らない」ようにするだろうと表現。リップサービス込みかもしれませんが、愛ダービー馬の陣営からの畏敬の念と受け取っておきましょうか。

 

有馬記念で世界3位のレーティング126を獲得、上位2頭(フライトライン140!とバーイード135)は昨年で引退していますから、実質世界のナンバーワン。暫定チャンピオンがドバイで圧巻のレースを披露した、と表現するとちょっと景色が変わりますね。誇らしい結果になりました。

 

次走は未定のようですが、オーナーはブリーダーズカップターフの可能性を示唆していました。イクイノックスの取ってきたローテーションからすると凱旋門賞ブリーダーズカップだと押せ押せになりますので可能性は低いような。シルクレーシングクラブの凱旋門賞にこだわらない姿勢はアーモンドアイの時を思い出します。

海外遠征のトライアンドエラーはぜひお願いしたいところではありますが、個々の適性の見極めや戦略はあって然るべきでしょう。個人的には日本で出るレースはジャパンカップ以外にないように思っていますが、それも含めて陣営がどう判断するのか。ゆっくり待ちたいと思います。

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ワールドカップはウシュバテソーロの追い込み勝利

直線に向いて、勝負をつけにかかったアルジールズをテーオーケインズと併走しながら追いかけ始めた画はもうテンション爆上がりでした。

1コーナー最後方で完全に可能性はなくなったと思っていたんですけどね。上空からの中継映像でも1、2コーナーでは画面にはいっておらず。ここから向こう正面で馬群に取りつき、3コーナー手前でラチから離れて、4コーナーでは馬群の一番外までもっていきました。

パンサラッサの逃げに対する信頼といいますか、ハイペースになるという読みはあったのでしょうが、それにしても度胸の要る前半のポジショニング。netkeibaのコラムではものすごく自分をもっている馬という表現と、前任の横山和生が馬の意思を尊重しながら結果を出してきたことが感じられる追い切りであった、という語り。それを踏まえたにしても大胆でしたね。

 

パンサラッサはサウジカップの快挙があった分、きっちりマークされてしまいました。2番手というか、いっさい引かなかったのは地元馬リモース。その鞍上も地元UAEのT.オシェア。地元の意地というよりは、ここでスムーズにパンサラッサに逃げられるのは戦略的にまずいという見立てがあったように思います。にしても深追いし過ぎに見えましたけどね。

中団インにいたテーオーケインズはよく健闘しました。3着エンブレムロードはウエストオーバーのような着順の上げ方と見えています。追い込みが嵌りやすい展開になったという面はありそうですが、後半の爆発力を演出できたのはウシュバテソーロと川田将雅、人馬の力でしょう。

 

ウシュバテソーロの次走に凱旋門賞の名前が挙がっていますが、うーん、適鞍はどこかといわれると悩ましいですね。いったんは秋まで休養とのこと、大事に使ってほしいと思います。

 

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オルフェーヴルと日本国内のダート路線整備と

ついにダート最高峰のひとつを日本馬が制してしまったという感慨。そこにはマルシュロレーヌ同様、父オルフェーヴルが。そしてどちらもハイペースを前提にした追い込みでしたね。

日本馬がドバイワールドカップを制したとはいえ、出走した8頭中5頭が10着以下。このあたりにまだまだトライアンドエラーの必要性があるのでしょう。ウシュバテソーロの追走を見て思うのは道中の追走スピード。やはり前半からガンガン飛ばして押し切る競馬が主流のアメリカダートとはトレーニングからメンタリティから異なっているのでしょう。

 

どういったチャレンジが奏功するのか。その端緒としてのキーワードがオルフェーヴルになっているように感じています。

昨秋に、主に南関のレースを中心に、中央地方でダート路線の整備が発表されました。ダート三冠が整備されたことで明確にダートチャンピオンを狙った生産、購買、トレーニング、ローテーションといった価値が発生していくものと思われます。

2023年のキタサンブラックの種付料は倍増(500→1000万)していましたが、マルシュロレーヌの活躍があってなおオルフェーヴルは350万でキープだったんですよね。上記種付け料の発表時期とは前後しているかもしれませんが、社台スタリオンの戦略として、芝に比べて賞金額にまだ開きがあるダート馬生産、その頂点としてオルフェーヴルが実質的に選ばれるよう、価格を抑えたのではないかと完全に邪推をしているところです。

そうした矢先にドバイワールドカップ制覇の吉報。セレクトセールはまた違った世界からの関心が向けられるのかな、などといちファンの立ち位置から勝手にワクワクしているところです。

 

後年、日本のダートがひとつのステータスを獲得する、その始まりの出来事としてこのドバイワールドカップ制覇が語られる。そんな未来なら楽しみしかないですね。

 

最後に

当日はグリーンチャンネルWebの無料放送をPCで開いて、HDMIでテレビにつないで楽しんでおりました。海外レースがかなり手軽に楽しめるようになっているのは有難いこと。フジの番組はスルーしていたのですが、WBCしかり、地上波での固定ファンを超えたアピールもとても大事と思います。WBCからDWC、いい流れでしたね。

 

現地の中継映像、やはり上空からのカメラワークは日本でもぜひ取り入れてほしいところです。トラッキングシステム導入で位置の把握はしやすくなると思いますが、やはり画角は大事。日本の中継映像ももう少し変化がほしいですね。

 

そして、返す返すもドウデュース。ドバイターフを走っていたらきっとロードノースを差し切っていたことでしょう。イクイノックスとともに世界に評価されたほしかったなぁ。2頭が順調に成績を残して、府中2400mで再戦ならとても楽しみ。芝中距離の世界最強を決める一戦になるでしょうね。まずはしっかり休養してほしいと思います。

 

ああ、川田とルメールというジョッキーのレベルの高さも素人目線ながら改めて感じました。阪神大賞典ジャスティンパレスとボルドグフーシュの乗り方を踏まえてドバイを振り返ると、日本の競馬ファンは充実したレースを観ることができているんだなと改めて。

 

人馬とも日本のトップクラスが海外にでることの意味と価値を強烈に感じさせるドバイミーティングになりましたね。夜更かししてよかったです。