more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第69回 産経賞オールカマーと第71回 神戸新聞杯

両トライアル、面白い内容でしたね。終わってみればリーディング争いの2人がきっちり仕留めるという結果でした。さすがです。

 

オールカマーはローシャムパーク

横山和生も他の陣営も、タイトルホルダーが100%の仕上がりでないという評価で臨んでいることがビンビン感じられる内容でした。それを考えると2ハロン目の11.1はだいぶダッシュを利かせていると思いますね。

1コーナーまでにはノースブリッジがハナを奪う勢いで先行、向こう正面からはハヤヤッコの早め進出。それぞれタイトルホルダーに楽をさせないことで勝機を見出そうとするアクションだったでしょう。

それを跳ね返したタイトルホルダーの地力は素晴らしかったのですが、それらの動きを冷静に狙っていたのがルメールでしたね。

 

公式レースラップはこちら。

12.5-11.1-12.4-12.5-12.6-12.4-11.5-11.5-11.6-11.5-12.4

 

残り1000mからラスト1ハロンまで11.5と11.6を続けたあたりにタイトルホルダーのスピードの持続力が表れていますね。ノースブリッジの積極策が実ると思って本命視したのですが見事に跳ね返されてしまいました。

この流れに乗ってガイアフォース西村淳也は4コーナーで外からパスする仕掛けをみせていましたが、ルメールは直後でその動きを利用するような冷静さ。直線ではないので厳密には違うわけですが、スリップストリームという言葉が浮かびました。

 

函館記念の馬場が悪かったことと、決して小回りが向くフォームではないという見立てから、ここでは善戦止まりかなと思って評価を上げきれませんでしたが、強かった。

1年前に同じ中山2200mで本命にしていたわけで「1年早いよ」というツッコミを心の中で自身に向けておりました。。。

ローシャムパークの脚の使い方は府中でより活きると思っているのですが、次走はねぇ。今年の天皇賞秋、間隔をおいてジャパンカップだとしても、メンバーがとんでもないですから。おまけに乗り替わり必至ですし。

ただ、素質馬がさらに1頭、G1戦線に参加することになったのはとても喜ばしく。秋のG1がより面白くなったと思っています。

 

タイトルホルダーはmahmoudさんのツイート(ポスト?)にもあった通り、調教内容や本数が全盛期の馬体をつくるには足りなかったということなのでしょう。最終追い切りの動きも通常の重賞クラスの馬よりはるかに動けてはいるわけですが、自身のベストからするともうひとつ。

心肺機能(の強さに由来するスピードの持続力)で圧倒するタイプですから、トレーニングでの姿ですでに圧倒していてほしいと思ってみておりました。和生もそれがわかっていてレース前半はスローペース演出だったのでしょう。でも2着に粘りこみますからね。

ジャパンカップまでにどれだけあの排気量が戻ってくるか。しっかりカラダをつくったうえで、荒天で馬場が荒れるようならタップダンスシチーエピファネイアのようなジャパンカップがみられるかもしれません。

 

神戸新聞杯はサトノグランツ

内外問わず速い上がりが出せる馬場コンディションでしたので、距離長めのレースではポジションをとった馬がスローにすれば断然有利。結果的にファントムシーフ、サヴォーナ、サトノグランツと、1コーナーでラチ沿いに並んでいた3頭がそのままワンツースリーでした。

ジョッキーも川田、池添、武豊ですからよくわかっている面々がしっかりポジションをとって展開したことがわかりますね。

しかし、向こう正面ではハーツコンチェルトと並んでいたわけで、川田将雅のポジショニング、進路取り、タイミングは恐ろしい精度になっていると改めて。

ラスト1ハロンを切ってグイグイと伸びたあたりにサトノグランツらしさをみています。京都新聞杯のゴール前も似た感じでしたからね。

 

公式レースラップはこちら。

12.8-11.4-12.7-12.4-11.9-12.6-12.5-12.0-11.6-10.7-10.9-12.0

 

本命にしたファントムシーフの逃げはあり得ると思いつつ、その可能性は低いとみていました。他に先手をとって有利に運ぼうとする人馬がいるのではと思っていたんですよね。

いないのか、と中継映像をみながら謎の落胆をしつつ、ハナに立つユタカさんの次を見据えたトライアルライドはすごいなーと感嘆しておりました。

共同通信杯でも出遅れたタッチウッドが無理やりハナを奪いにこなければ、自身のスピードと反応のよさで逃げていた流れでした。ルメさんもユタカさんも、鞍下の特徴を捉えた結果なのでしょうね。

ラスト3ハロン10.7-10.9-12.0は、レース全体を通してマイペースで運んだファントムシーフが速い馬場でのびのび走った結果とも思います。

皐月賞は馬場に泣き、ダービーは展開に泣きましたから、自身の能力をようやく全開にしてくれたという思いで観ていました。勝ち切るには逃げが向かないというコースレイアウトでもあるでしょう。

ただ、継続騎乗で菊花賞なら、ユタカさんは思い切った待機策に切り替えてくるのではないでしょうか。伏兵となることで不気味さが増す印象をもっているところです。

 

サトノグランツは推していたサトノダイヤモンド産駒なのですが、やっぱりお父さんとは似ていない。。。菊花賞の有力候補になったことは間違いないですね。ソールオリエンスよりポジションを取りに行く力はあるでしょう。先行するであろうタスティエーラを上手く使うことになるのかな。いま名前をあげた3頭なら最も菊花賞にフィットする気がしています。

ロードデルレイとハーツコンチェルトは外差しスポイルという結果ですね。それぞれ33.5、33.3とめちゃめちゃ切れ味を発揮して4、5着ですから。

ロードデルレイは馬格のなさと狭めのストライドで一線級と渡り合うところにつかみどころのなさを感じています。馬体が膨らんでくるのはこれからなのでしょうね。

一方のハーツコンチェルトはダービー3着の実績を見ないようにすると、未完成で不器用なハーツというこれまでの印象に沿ったパフォーマンス。枠もペースも関係なく、直線少しだけ届かない競馬を続けることになりそうです。馬格などは異なる認識ですがお父さんそっくり、という言い方がしっくりきますね。

 

最後に

ウインズ新宿で観戦していたのですが、だいぶ20代のお客さんが増えてきましたね。フロアの歓声もレース後の愚痴も熱気が増していました。

「タイホは強いんだよ」「〇〇はダメ、終わってるわ」など、今っぽい表現も混ざりながら雑に感想を述べるあたりは自分が競馬を始めた頃の喧騒と変わりなく。いやー語調も含めて褒められた表現ではないですけどね。

SNSと違い声の届く範囲は限られますので、その場で掻き消えるメリットを活かしていると言えば響きはよいでしょうか。ストレス解消が伴わなければ楽しさも半減してしまうでしょうからね。雑に言葉を吐き出してすっきりして帰れるならそれもまた許容されてほしい範囲かなと思った次第です。

ジャンルの盛り上がり、参加するひとの増加には一定の雑な理解もつきものでしょう。致命的に周囲に迷惑をかける行為はアレですが、いろいろなスタンスを大きく許容しながら競馬好きが増えていくのは歓迎していきたいものです。