more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第57回 共同通信杯と第116回 京都記念

どちらも本命がバッチリ的中、府中にいたのですが気持ちのいい現地観戦となりました。

 

共同通信杯はファントムシーフ

これまでの差し競馬から一転して、2番手から直線を押し切りました。お見事でしたねー。今後を見据えた戦略にファントムシーフがしっかり応えた、という内容に見えています。

2コーナーを回って先頭に立とうという勢いだったあたりちょっと心配をしましたが、ルメールは出遅れたタッチウッドの鞍上バシュロが逃げの手にでることを織り込んでいたのでしょう。2コーナーで進路を探すタッチウッドが視野にはいっていたものと思っています。

 

乗り替わったルメールが今後に向けて先行策をとるだろうと予想していましたが、どうやら陣営のオーダーが2番手での競馬だったようですね。ルメールならではの運び方も大きく、狙い通りのポジショニングになりました。

 

公式レースラップは以下。
12.9-11.1-11.3-12.4-12.8-12.4-11.3-11.3-11.5

9ハロンを3分割すると急→緩→急という特徴が際立って見えます。タッチウッドは先頭に立った後グッとペースを落としました。ラップをみると1秒以上の減速。ここでファントムシーフもきれいにシフトダウンできているんですよね。

こうなると後続はここで深追いするわけにはいかず。タスティエーラ、ダノンザタイガーともレースを教える側面もあったようですので、ひとつふたつ後ろで控えざるを得なかったでしょう。

 

直線、ファントムシーフは後続を待つような形で残り400からスパート。残り200から脚色が少し鈍ったタッチウッドにグンと襲い掛かって、交わし切ってからの手前替え。いろいろとセンスの良さを感じさせます。

上がり最速ではありませんが、序盤のラップを引っ張りながら少ない失速幅でまとめたあたり、いわゆる「長くいい脚を使う」タイプであることがわかります。

 

秘密のファントムシーフではなくなりました

…レース内容、いいところずくめなんですよね。パドックでの大物感はダノンザタイガー、タッチウッドに若干見劣る印象がありましたが、4輪駆動で柔らかく全身を使うフィジカルは3歳春の主役を背負うには十分なスケール感と完成度であると感じました。

 

前走ホープフルSは馬場バイアスとトップナイフ横山典弘の逃げが重なって、かなり前々で決着した格好。これを差し込んで1、2着に肉薄できたのはファントムシーフとキングズレインだけでした。追い込みにかけた分、キングズレインの脚色の方がよく見えがちですけどね。

ホープフルSのレース後、鞍上福永は「まだ成長過程」「返し馬から鈍く、スタートにも影響」「直線でスペースが空いてからもモタモタしていた」「1週前にもう少しやっておけばよかった」とほぼトレーナーなフリカエリコメント。

ここからすると、仮に加速の鈍さがでたとしてもそれを補うだけの先行策が取れたわけで、福永からルメールへのバトンがきれいに渡ったと言えそうです。ダービーの1コーナーまでのポジショニングに不安が少なくなりましたよね。

 

ホープフルS4着の結果、戦前の評価には少しヴェールがかかっていた印象。このままダービーまでヴェールがかかっていてくれればよかったのですが、この勝利で秘密のファントムシーフではなくなってしまいましたね。

来月のトライアル次第ではありますが、主役の1頭としてクラシックに臨むことになりそうです。はい、期待値は高いですよ。

 

タッチウッドは課題を残す2着

出遅れから押して押して先頭まで行ってしまいました。パドックの歩き方から少し気持ちのノリが鈍いなとは思っていたのですが、こういう形で表れたのかという感想です。

バシュロは指示通りに逃げの形をつくったかもしれませんが、このあたりが短期免許で来日したジョッキーの負の側面のように思っています。先を見据えた騎乗になりにくいですよね。エピファネイア弥生賞を思い出しました。

 

あの内容で2着に残ったのは地力の証ですが、近々ですと小倉日経OP以降のレッドベルオーブのような、行かせてしまったことで抑えの効かないテンションで走ってしまう癖がつかないか、という懸念が残ります。

次走はおそらくマイナスをプラマイゼロにするレース内容をひとつ踏まえなければならないでしょうし、その経験を挟むにはクラシックシーズンまで間がないですよね。

 

ダノンザタイガーは進路を確保できず3着

パドックでまず目についたのがダノンザタイガーの馬体でした。本命ファントムシーフと決めつつも「いい馬だなー」と嘆息が漏れる馬格。もうひとつパンプアップしてきていないあたりはハーツクライの特徴と言うべきなのでしょう。サリオスが例外と捉えてますけどね。

直線の進路のなさが目立っていますが、向こう正面からずっとタスティエーラ福永に外への進路を絞られ続けていました。レース全体を通じて、1番枠がアダになってしまった印象です。

しかしあれだけ前が詰まって切り返して、というロスを繰り返しながら上がり最速ですからね。今後は1戦挟んでダービーとのこと、皐月賞向きではないと思っていましたので朗報といえるかもしれません。

 

レイベリングは見せ場なく9着

パドックで評価を下げたのはレイベリングでした。パッと見で歩様が硬い印象。歩幅も十分でなく、朝日杯までのパフォーマンスにつながるかはちょっと疑問視していました。追い切りの動きはよかったんですけどね。

歩様の固さと府中1800の外枠、どうしても先行ポジションを取るには少しスタートから出していかなければならなくなります。ましてスタートからのラップは速め。後方追走にならざるを得なかったでしょうし、このペースを後方追走するのは勝負の圏外になりやすいでしょう。

次走は自己条件とのこと。肩の出の柔らかさがどのくらい戻っているか、個人的にはポイントと思っています。春のG1も万全の姿で出走してほしいですね。

 

京都記念はドウデュースが完勝

一方の京都記念はダービー馬の完勝でした。いやー、すごい脚の回転力でした。

 

京都記念というより阪神2200の8枠、というリズムでドウデュースに外枠のアドバンテージを感じていました。末脚を発揮するにあたって前が詰まるといったリスクは少ないことが想像できましたしね。

4コーナーで馬なりで先行勢を飲み込んでいく姿は、有馬記念のイクイノックスにも重なりました。いやー、ドウデュースとイクイノックス、昨年の有馬記念で対決していたらどうだったでしょう。宝塚記念も同じコースですし、有馬記念との連動は知られるところですしね。

 

公式レースラップは以下。
12.5-10.9-11.2-12.3-12.6-12.4-12.3-12.2-11.6-11.3-11.6

 

ユニコーンライオン坂井がしっかりスタートダッシュを利かせていましたが、このスタートダッシュをエフフォーリアが深追いした形に。対ドウデュースと考えると、前々でアドバンテージを確保することが勝利の前提と考えていたように推察されます。結果は心房細動でしたが、策としては妥当な範囲だったでしょう。

こちらも4ハロン目にガクッとペースダウン。その後ジリジリとラップタイムが上がっていきますので、坂井瑠星のペース判断が安定していて緻密であることがわかりますね。大負けしていないですし。

1、2コーナー5番手の先行馬が2、3着ですから、後ろから3頭目だったドウデュースの捲りが段違いの破壊力だったという。それに尽きるレースでした。

 

次走は予定通りドバイターフとのこと。現時点ではセリフォス、パンサラッサ、ダノンザキッドが選出されていますので、日本馬だけでもかなり楽しみなメンバーが対戦することになりそうです。個人的にはドウデュースにもうひとつタイトルを獲ってほしいですねー、応援しています。

 

最後に

京都記念競走中止したエフフォーリアの引退が決まっています。この週中は引退を受けての横山武史の涙をしっかりもらっておりました。

引退への残念さを思う一方で、武史の涙には好印象をもつ複雑な心境。エフフォーリアという価値を真摯に背負っていたことが窺えた姿はなんとも頼もしいなと思っているところです。

 

エフフォーリアについては別に投稿しようと思っていますが、時間取れるかな。もうフェブラリーSですしね。週中は仕事が膨らんだこともあり、なかなかブログの優先順が上がりませんでした。この週末で書ければ。

エフフォーリアの共同通信杯も鮮やかでしたよね、じんわり味わいながら順に映像を見直してみようと思います。