more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

サンプリンセスとスノーフォール

少し前にグリーンチャンネルで放送していた「Go Racing! 2021」から。

番組内の「Visited Legend」という過去の名レースを振り返るコーナーで、7月の放送では1983年の英オークスを取り上げていました。今年の英オークスではスノーフォールが16馬身差で圧勝していましたので、それまでの記録(12馬身差)だったレースにフォーカスを当てたということですね。

勝ち馬サンプリンセスの名前で色めき立ったのは、フサイチコンコルドから競馬を始めた自分ならでは。コンコルドの祖母にあたるわけですが、ちゃんとレース映像を観たことはなかったのでいい機会になりました。…そういえば、観ていませんでしたね。

番組では、サンプリンセスの娘バレークイーンがタタソールズのセリで買われて日本に来たこと、その時お腹にいたカーリアンの仔がフサイチコンコルドであること、同じセリでローザネイが買われていることなどが紹介されていました。ノーザンファームの黎明期を支えた繫殖牝馬2頭のエピソードは既知だったのですが、紹介していた合田さんがそのセリに立ち会っていたというのにはびっくり。合田さんのLegend感が凄かったです。

いい企画にきっかけをもらったので、それぞれのオークスを調べてみました。

1983年 英オークス

番組ではトッテナムコーナーを抜けて直線に向くあたりからの映像でしたが、YouTubeでノーカット版を見つけました。

www.youtube.com

きつい勾配を登り切ったあたりが府中でいう3コーナーにあたります。3、4コーナーを頂点にしてゴール手前までずっと下るのがエプソム・ダウンズの特徴ですね。サンプリンセスは3コーナー過ぎから捲って先頭に。おおよそ残り5ハロンから仕掛けていった格好です。それで12馬身差ですから、圧巻の一言ですね。

スローペースの分捲りが効いたように見えていまして、スローペースからの息長い末脚勝負なら孫の日本ダービーも似たようなラップだったなぁ、などと共通点を探してしまいました。骨格に少し面影があるような。フサイチコンコルドはもう少し脚が短かかったかな。

サンプリンセスについて

サンプリンセスの母系情報、JBIS-Searchです。どうしても、競走馬というより牝系を辿る方が刺さりやすいですものね。サンプリンセス-バレークイーン-スカーレットと辿って、スカーレットのリンクからさらに母系を辿るとアールドヴィーヴルやアドミラブル、エスポワールなどを見つけることができます。またサンプリンセス-バレークイーン-グレースアドマイヤと辿ると、リンカーンやヴィクトリー、アリストテレスなども見つかりますね。広がっているなぁ。

www.jbis.or.jp

サンプリンセス自身のレース結果についてはアホヌラさんのサイトを頼りたいと思います。英オークス以外にも、英セントレジャー愛オークスなどが勝ち鞍。凱旋門賞オールアロングの2着ですね。

ahonoora.com

サンプリンセスのオーナーだったマイケル・ソーベル卿のWikipediaも見つけました。トロイのオーナーでもあったという点は番組でも触れられていました。

en.wikipedia.org

2021年 英オークス

一方、2021年の英オークス、結果はこちら。ページ内に映像へのリンクもあります。

world.jra-van.jp

母ベストインザワールドを日本に送ってディープインパクトを種付け、日本で出産してからアイルランドに戻したという経緯のようです。JBIS-Searchで「Snowfall(JRN)」になっているのはそのためですね。

www.jbis.or.jp

「Like a hot knife through butter」というコメント

レース後のデットーリのコメントがちょっと話題になりましたね。「I was like a hot knife through butter」。レーシングポストの記事が詳しいです。

www.racingpost.com

抵抗なくスッと分け入っていく様をバターナイフに例えたのかな、というくらいに受け取っていたのですが、どうやら元ネタは自動車にありそうです。マニュアル車のギアチェンジの感覚をシフトフィールと言いますが、ポルシェのシフトフィールを表現する際に用いられていたようなんですよね。拝見したブログなどは以下の通り。

keizo-goshi.cocolog-nifty.com

sbbt.co.jp

ギアが変わるたびにカチッとした感覚が得られず、「グニャ」とか「グニュ」とか、明確な手応えがない様を表現していたようですね。どちらかというとネガティブに捉える表現が時代を経てなめらかさというポジティブな文脈でも用いられるようになった、と。納得感がございます。

フランキーは先のコメントのあとに「don’t be clever, just cut through the middle」と続けていまして、気持ちを切らさずに馬群の真ん中を割ってくれと願っていたことを吐露しています。そこから推察すると、4コーナー出口で囲まれたあたりから、進路を確保してスパートするまでのシフトチェンジのなめらかさを表現したかったのでしょう。

他馬に囲まれた場面から、なめらかな加速で馬群を抜け出す姿。ディープインパクトを表現するのには最適かもしれませんね。

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2021年英オークス、直線に向いて進路を確保しようとする(=熱いバターナイフでスッと切ろうとする)スノーフォール、中央の紫帽


最後に

ディープボンドの鞍上がクリスチャン・デムーロに決まり、徐々にですが凱旋門賞の輪郭が見えてきました。ディープインパクト産駒が1番人気というのは何ともいえない感覚ですが、府中もロンシャンも、馬場状態と枠順のガラガラポンでずいぶんレースの様相が変わってきますからね。直前まで楽しめるという側面を大事に、ワクワクしながら情報を追いかけていくつもりです。

スノーフォールの次走は今のところヨークシャーオークス、まずはラヴとの対決になるようです。個人的にはタルナワが気になっていますが、次走は愛チャンピオンS?まだまだわかりませんね。