more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

もうすぐサウジカップ

クリソベリルは現在出国検疫中ですね。レースまであと半月ほどとなりました。

第1回サウジカップ

2/28、キングアブドゥルアジーズ競馬場での開催です。そもそも日本馬のサウジアラビアへの遠征がこれまで皆無でしたし、サウジアラビアロイヤルカップという響き以外、あまりサウジアラビアの競馬自体には馴染みがなかったという印象があります。

サウジカップについて、合田さんがnetkeibaでガイドしてくれていました。無料公開の記事ですので遠慮なく。

news.netkeiba.com

2/13時点でのJAIRSの翻訳記事です。アンダーカードも含めて、登録馬を一覧しています。

www.jairs.jp

サウジカップという響きがキャッチーですが、アンダーカードが充実していますね。端的な印象ですが、現在のドバイミーティングのような充実さを第1回から感じさせます。以下、レース名を列挙しておきます。

サウジカップ(D1800m)
ロンジンターフH(T3000m)
ネオムターフカップ(T2100m)
サウディアスプリント(D1200m)
オバイヤアラビアンクラシック(D2000m)

2/2の合田さんの記事ではT3000mのレースがレッドシーターフHと紹介されています。調べ切れなかった分推測になってしまいますが、JAIRSの記事では2/5にロンジン社とサウジアラビア航空がプラチナムパートナーとしてスポンサーに加わったことが発表されていますので、そのためレース名に変更があったのでしょう。リヤドダートスプリント→サウディアスプリントへの改名も同様の理由と思われます。

サウジカップは豪華なメンバーが集結

サウジカップには、ペガサスワールドカップ勝ち馬のムーチョグスト(サウジの王族が所有)、アメリカのマキシマムセキュリティ、UAEのベンバトル、アイルランドのマジックワンド、そして日本のクリソベリルとゴールドドリーム。国際色豊かでありつつ、さながら異種格闘技の様相ですね。

シガーがチャンピオンとしての矜持を示すかが焦点だった第1回ドバイワールドカップと比べると、ずいぶん多様なメンバーが集まったと思います。当時に比べて検疫を含んだ国際ルールの整備や輸送手段の充実など、参戦にあたってのハードルが低くなっていることが大きいのでしょう。

第1回ドバイワールドカップは1996年。Windows 95が普及したばかりという時期ですからね、そもそも情報取得に圧倒的なコストを要した時期を引き合いに出すのは少々酷だなと思い直しております。

キングアブドゥルアジーズからメイダンへ

やはりというか、ロンジンターフHやネオムターフカップは3月のドバイへの転戦を見越したUAEと欧州勢が多く登録している印象がありますね。定着していくようですと、グローバルに転戦するG1馬のローテーションに大きな変化を生むかもしれません。ここにディアドラがいるのが何とも象徴的です。

一方でオーストラリアのジ・オールスターマイルは3/14、4/4にはTJスミスSドンカスターマイル、4月末には香港のクイーンエリザベス2世カップなど3つのG1が施行されます。

…きれいなローテーションをとるには目標となるレースが多いですね。各国のトップクラスの馬とその陣営はこれらのレースの中から適性や賞金、滞在にかかるコストや検疫などの諸条件を見極めて、レースを厳選していくことになると思います。すでにそうなりつつあるでしょうね。

ただ、初回のサウジカップが成功を収めかつ安定的に開催されていく場合、個人的な未来予測ですが、キングアブドゥルアジーズからメイダンというローテーションが太い軸となっていく可能性を感じます。資本力の差が継続開催の大きなファクターになるはずですので。

サウジアラビアロイヤルカップの変遷

一方の日本、サウジアラビアとの交流はあったなと。富士Sに冠していた認識はありましたが、そういえばダートのオープンで開催していたと思い当たり、調べてみました。Wikipediaには時系列でまとまっていましたので、以下参考までに。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97

サウジアラビアの競馬の充実は経済政策が背景に

世界経済や財政とはなかなかに距離のある仕事をしていることもあり多分に門外漢ですが。競馬は資本の集まる国や時期で興亡がはっきりしやすい歴史をもっていますので、合わせて概観だけでもしておこうかなと。

国王が変わってから国家プロジェクトとして脱石油依存と財政改善を目指していますので、国際交流や観光業促進の一環としての競馬テコ入れは80~90年代のドバイと相似しているように見えています。ここでいう国家プロジェクトは2016年に策定された「ビジョン2030」のことですね。概要は以下を参考にできるかと。

https://www.meij.or.jp/kawara/2016_019.html

テレビ東京の番組、WBSでサウジの近況がわかりやすく特集されていましたので、こちらも。自分はリアルタイムで観たのですが、BODで有料視聴できます。

先のnetkeibaの記事にもありましたが、2019年に観光ビザが取得できるようになったことや、女性の服装の基準が緩和する方向で変化している(アバヤが黒以外もOKに)など、多面的に政策の影響がでていることが取り上げられていました。

txbiz.tv-tokyo.co.jp

直近ですとサウジアラムコIPOが話題になっていました。中途半端な知見ではありますが、株式公開によって世界の資本を取り込む戦略でしょうから少なくとも経済開放路線というメッセージではあるのでしょう。内部事情や地政学的リスクなども顕在化していますので(アメリカとイランですね)、なかなかに前途多難と見えてはいます。…これ以上はボロがでますので区切りましょう。

…いちおう。経済ネタに限らず、競馬ネタに限らず、高度な専門性で客観性の高い議論ができるか、あるいは押し黙るか。こうした二極化にはあまり健全さを感じないところでして、配慮はしつつ何事も雑なりに語りたいとは思っています、はい。雑多な見解が上手く折り重なるところに常に身を置いておきたいですね。というわけで少し背伸びしてみました。

最後に

クリソベリルやゴールドドリームがどこまで伍して走ることができるかは未知数ですが、そのことがかえってワクワクさせる要素になっているとも思います。

2/14にグリーンチャンネルから中継しますよの発表がありました。えらい。

www.greenchannel.jp

ネオムターフカップは、2/29(土) 21:30~22:30、サウジカップは26:00~27:00とのこと。どちらも「ALL IN LINE~世界の競馬~」の番組にて中継されるようです。

www.greenchannel.jp

まずは各馬の無事を祈りつつ、ジョッキーの無事も祈りつつ(藤田菜七子は残念という他なく)、当日を楽しみに待ちたいと思います。