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1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

アルピニスタ引退と東京競馬場の国際厩舎

日本時間11/10夜、残念なニュースが舞い込んできました。
凱旋門賞馬アルピニスタ引退。ジャパンカップ遠征、実現しませんでした。

 

RacingPostが報じたニュース記事です。

 

「Arc winner Alpinista has been retired with immediate effect after sustaining a minor injury in the build-up to her planned swansong in the Japan Cup this month.」

上記はツイート本文、記事冒頭の一文でもあります。英語は得意ではありませんが翻訳してみました。「凱旋門賞馬アルピニスタはラストランを飾るべく計画していた今月のジャパンカップを目前に、軽傷を認めたことで即座に引退することになった。」

with immediate effectは法律関連で「直ちに効果が生じる」という表現、swansongは生前最後の作品、build-upfは増大する、高める、盛り上がるという意味ですので、まぁまぁ意訳ですがこんな感じでしょうか。リーガルな表現に寄せているあたり、少し固い表現なのかな。

 

別の報道では脚元にわずかな熱感があったとも。もともとジャパンカップ遠征にオーナーが消極的、トレーナーのサー・マイク・プレスコット師が積極的と、陣営の中でも「凱旋門賞後」には見解が分かれているのが伝わってくる状況でしたから。小さなアクシデントでもオーナーが決断するには十分だったのでしょう。

 

若干先走ったように見えた遠征報道

11/10は日本のメディアがこぞってアルピニスタのジャパンカップ参戦を報じていました。ただ、どのメディアも『Asian Racing Report』をソースにしていましたので、ちょっと信ぴょう性に欠けるといいますかまだ断定には早いのではと感じていました。どうやら輸送の手配までは終わっていたようですけどね。

誤報ではなく若干の勇み足、多少確度のあがったところから馬のコンディションで出否が急転したというのが妥当な受け止め方と思っています。以下はそのうちのひとつ、JRA-VANのニュースです。

world.jra-van.jp

 

楽しみは次世代に

大事に戦歴を重ねてきた牝馬ですから、この判断は後年賢明と受け止められることになるのでしょう。

凱旋門賞は荒馬場でしたがそれまでのレースでは速い馬場も経験していますからね。エクイターフでどんな走りをするか観てみたかったのは間違いないです。残念ですが、Happy Retirementと理解しております。

 

あの凱旋門賞の直線、馬なりでタイミングを待つ姿には驚くばかりでした。かわいい顔なんですよね。おつかれさまでした。

 

東京競馬場の国際厩舎

アルピニスタのプレスコット師は日本のサポートに応えられず罪悪感を感じている、といったコメントを出していました。そのうちのひとつはおそらくですが、東京競馬場の国際厩舎の準備だったと推測しています。

土曜の深夜番組「馬好王国」で、先日その国際厩舎について取り上げていました。カジュアルな取り上げ方でしたが要点がよくまとまっていましたので、テキストにまとめておこうと思います。

  • 国際厩舎とは、入国後の検疫中に待機する施設
  • 場所は東京競馬場の3、4コーナー付近の馬場内
  • 厩舎内は衛生管理をしっかり行っている
  • 厩舎の敷地内に入るためには防疫の観点からシャワールームを通る必要
  • シャワーを浴び、専用の作業着に着替えないと厩舎エリアにはいけない
  • 厩舎は6棟、計12頭を収容可能
  • 馬房は冷暖房完備、防虫対策も施されている
  • 馬のリラックス目的でのグラスピッキング(草を食べること)ができるエリアを設けている
  • 砂浴場、ダートコースも設置

番組では国際厩舎利用のメリットとして、成田→白井の競馬学校競馬学校→競馬場と2回必要だったこれまでの輸送回数とその負荷が軽減される面を強調していました。

確かに厩舎内の設備は整っていますし、「Bubble to Bubble」と呼ばれる防疫対策の考え方を実現した環境ではあると理解しているところです。

 

音は大丈夫なのかしら

ただ、個人的には「音」が課題として残っているのではないかと感じました。入厩時期によるわけですが、土日は競馬開催がありますのでファンの歓声や場内アナウンス、メンテナンスを行う機器の稼働音や各種の振動など、入厩した馬が落ち着いて過ごせるのかはちょっと未知数ではないかと。

内馬場でスタンドからは距離がありますから多少軽減されるものと思いますが、例えば安田記念を目指して週前に入厩すると、オークスとダービーの歓声を受け続けるわけですよね。。。

きっと無策ではないのでしょうが、気になるところではあります。個人的にはまだ休苑中の馬事公苑が受け皿になることはできないのかなと漠然と思っているところです。

 

最後に

先ほどジャパンカップ招待受託馬が発表されました。

www.jra.go.jp

ブルーム、マジカルラグーン、グランドグローリー、オネスト、シムカミル、テュネスの6頭。テュネスはトルカータータッソの半弟ですね。

バーイードやアルピニスタ、アダイヤーといった超ビッグネームではない認識ですがなかなか手ごわいメンバー構成になりました。しかしなにより、6頭受託が近年にない多さです。

コロナによる渡航制限が緩和するのに合わせて、国外からのジャパンカップ登録馬も招待受託馬も増加したのはポジティブなニュースではあります。きっとまだ受け入れ体制には課題が残っているでしょうから、引き続きの対応をお願いしたいですね。

近い将来、アルピニスタのような凱旋門賞馬の招待が実現して、パリロンシャンと府中がどうつながるのか、ジャパンカップがその証明となる瞬間に立ち合いたいと思っています。