more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第26回 ジャパンダートクラシック

フォーエバーヤング、ただただ強かったですね。

 

1歩目を躓いた時点で本命ラムジェットが直線を抜け出す画が浮かんでいましたが、間違いなく幻想でした。すぐに立て直してからの先行策。降雨がなくパサパサ気味の馬場での11.5-12.0を2番手まで押し上げましたから。最内枠からこれしかないとはいえ、坂井瑠星の持ち味に馬自身の成長も加味されてのパフォーマンスというべきでしょう。

 

カシマエスパーダ田辺が内をけん制しながらハナを取っていく中、ゲートと二の足がスムーズだったサンライズジパングが内側へ寄せてきました。坂井瑠星VS武豊、ポジション争いが熱かったですねー。

3番手の外をとって瑠星を田辺の真後ろへ閉じ込めたい武豊と、それをさせまいと1頭分外へ張り出す瑠星。バチバチな瞬間は公式映像ではカメラワーク的に見切れているのですが(激しく残念!)、アングルが変わって正面からの映像になった時点で瑠星が競り勝ったことがわかります。

フォーエバーヤングのパンプアップと体幹の強さが勝った印象ですね。こういうところも速力だけではない強さだと思います。

 

残り1000mからが12.0と加速ラップ、向こう正面でラムジェットが押し上げたことで上記の3頭が少しペースをあげたようですね。交わされないように張った形になったようです。これは先行勢には苦しい展開でしょう。その後4コーナーの13.3を挟んだとしても直線でもう一度加速しなければいけませんから。

直線半ばでカシマエスパーダとサンライズジパングがもがく中、フォーエバーヤングの抜け出し。パワフルでしたねー。そのアップダウンに乗らなかったミッキーファイトが差し脚に徹して迫ってきましたが、これを1馬身1/4退けてのゴール。

 

前受けして、ペースのアップダウンにお付き合いして、後続の差しを完封する。オールドファンには馴染んでいるであろう「横綱競馬」という形容はこのことと理解しております。相手の得意技を受け切ってなお勝つから強さが際立つんですよね。

 

公式レースラップ

12.2-11.5-12.0-13.2-12.7-12.0-12.3-13.3-12.2-12.7

 

パサパサ馬場でスピードの持続にパワーを要するという見立て

映像の通りで、キックバックの砂埃が視認できる乾いた馬場。メイン1つ前のC1、1200mのクリスタルクォーツ賞のレース上がりは38.1。最内にいた1番人気の逃げ馬を追いかける前傾ラップとはいえ、中団から差してきた上位馬もラストで脚が上がり気味と見えました。

 

お湿り程度の雨があればもう少し軽快なスピードがフィットするのでしょう、今回は馬体スピードの持続にはパワーを要する馬場コンディション、というイメージで予想に臨みました。そうすると脚長でスラッとしてストライドが大きめで、まだパンプアップがこれからと思われるサンライズジパング、サトノエピック、フジユージーンあたりはちょっと評価を上げにくいという理解でした。

 

フォーエバーヤングは完勝でブリーダーズカップ

パドックは指定席の映像で観ていたのですが、画面にはいった瞬間に笑ってしまいました。あーこれは逆らってはいけない馬体だと。凄かったですね。

前後の連動とトモのパンプアップがとてもパワフル、という言い方がいいのかな。リアルスティールってこうなるのかぁ、というちょっとトオイメというぼうっとした瞬間がございました。

 

返し馬がまたよかった。借りてきた猫といいますか、誘導馬の後ろをトコトコついていくマッチョ笑。かわいかったですね。この落ち着きもまた海外を転戦してきた経験の賜物と思われます。

 

羽田盃勝ちのアマンテビアンコは不在でしたが、羽田盃のトライアル雲取賞の勝ち馬サントノーレ、東京ダービーラムジェット、トライアルの不来方賞を勝ったサンライズジパングレパードS勝ち馬ミッキーファイト、高知のシンメデージー、盛岡のフジユージーンと中央地方合わせて今年のダート3冠の役者はかなり揃った認識。ここで3着以下は5馬身以上離していますからね。今年の3歳ダート最強を決めたといっていいのでしょう。

 

瑠星はホッとした表情が印象的。これだけの馬で人気を背負って結果を出したのはとても大きい。もう少し経つとこの立場でG1に臨む姿が当たり前になるのでしょうね。すでにいまはフランスですが、月末には渡米してブリーダーズカップに。1年の間でサウジカップデー、ドバイワールドカップミーティング、凱旋門賞ブリーダーズカップに騎乗するジョッキーが世界に何人いることでしょう。稀有な存在になってまいりましたね。

 

本命ラムジェットは集中を欠き4着

東京ダービーのパフォーマンスと当日の馬体から、フォーエバーヤングを負かす可能性があるとすれば、という本命視でした。…逆らわなければよかったですね。未完成な馬体ながらも、少なくとも春より筋力がアップしたことで前後の連動がよくなったと見立てておりました。

でもどうやら問題はレースにいってのメンタルでしたね。スタートはでましたが終始追っ付けながらの追走。向こう正面の押し上げを揶揄する向きはありますが、前半のあの展開とポジションからして、勝負するならあそこしかなくなっていた認識です。三浦皇成、やれることはやってくれました。

 

その皇成は「一度も抱えられず促しながらの競馬」、佐々木師は「エンジンが掛からんなあ。気分だろうなあ」とのコメント。気持ちの面が未成熟であることが読み取れます。フォーエバーヤングとはここが大きな差といえますね。

先ほど、次走はチャンピオンズカップとの報道。うーん、1コーナーで圏外にポジショニングしてしまう懸念もあり、難しいチャレンジが続きそうな予感があります。

 

フジユージーンは積極的な追走から10着

お目当ての1頭でした。あの大柄な馬体がトゥインクルのライトアップでどう見えるのか、楽しみにしておりました。実際に観た感想は、思ったより薄手で交流重賞で活躍するパンプアップはきっとこれから、というもの。馬券うんぬんというよりは森泰斗が何をどこまでチャレンジしてくるか、という注目の仕方に切り替わっていました。

 

あの枠ですから先行策が妥当なのですが、それにしてもポジション取りに行きましたね。森泰斗本人も「勝負にいったポジション。厳しい流れの中で頑張っていました」とコメント。

特に向こう正面はフォーエバーヤングが空けた最内を進出していきました。あのタイミングで押し上げるのはかなり強気と思います。

 

盛岡の連勝は楽過ぎて、不来方賞とジャパンダートクラシックは厳し過ぎ、という極端な経験値になっていますね。でもこの経験が活きてほしい。ジョッキーのコメントは「もうワンランク上がありそう。来年楽しみだと思います」と続いていますしね。今後の成長に期待しています。

 

「第26回」という記述について

ジャパンダートダービーを継承したことの痕跡はここに。日本のダートナンバーワンを決めるという位置づけはしっかり継承できているように感じました。

1999年に比べると7月初旬の気候、暑さも湿気も増しているような印象ですので、この時期への移設はその点でもプラスかもしれません。…夏の調整の難しさを経る必要も中央芝の3冠と重なるデザインになりましたね。

昨年まとめたジャパンダートダービーの総括記事、興味あるようでしたらこちらから。今回の2:04.1の走破タイム、歴代という点でも、白い砂に変わったことを踏まえても、かなり優秀であることが窺えます。

keibascore.hatenablog.com

 

最後に

当日は、大井がものすごく久しぶりという職場の先輩競馬ファンと現地観戦。

いいおっさんが2人いると年寄りギャグしか炸裂しませんね。netkeibaの馬柱を拡大しつつ思いっきりスマホを放しての老眼アピールなどなど。この年になると十分笑えるネタなのですが、若年層はきっと笑ってよいものやらリアクション難しいのでしょうね。そういう意味ではおっさん二人で気兼ねなくわいわいやれたかな。

今回は立会川から向かうことになり、自分はふだん浜松町からモノレールという経路なのでものすごく久しぶりに立会川駅に降り立ちました。…知らない駅でしたね笑。反対にお相手は大井競馬場前の駅舎が新しいと騒いでおり。お互いに新鮮なリアクションを披露したのも面白かったです。

 

さて、これを書いている間に東京と京都が開幕。雨に祟られてしまった府中の芝は少し読みが難しい印象になっています。せめて初日は快晴のもとで走りたかったですね。

サウジアラビアRCは被った1番人気アルレッキーノが直線伸び切れず、一方で勝ったアルテヴェローチェは3、4コーナーでいったん控えての直線強襲で重賞制覇となりました。佐々木大輔、ペース判断のセンスが光りましたね。

 

そしてそして凱旋門賞。シンエンペラーもアルリファーも順調な様子で頼もしい限りです。こちらはより天候と馬場に注文がつくロケーションなわけですが、どうやら良馬場ではない模様。当日改めて確認しないといけないですね。

個人的には日本馬にプラスして、ルックドゥヴェガ、デリウス、マルキーズドゥセヴィニエあたりが気になっています。ただ、シンエンペラーがグッと調子をあげているようなんですよね。本番間近で調子をあげてくるというは個体に地力がある証拠と思っていますので、それ込みで応援しようかなと思っています。