more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第84回 優駿牝馬

リバティアイランド、破格の強さで2冠を獲りました。凄かったですね。

 

ラスト1ハロンのひとり舞台。川田は今後を見据えて未知の距離をこなす中でしっかり伸び切れるかというテストをしていたようですが、傑出した能力を着差で証明する結果となりました。内馬場で観戦していたのですが、ターフビジョンに頼らなくてもはっきりわかるワンサイドゲームでしたね。

 

思った以上に縦長の馬群。2コーナーで少し緩んだ以外はかなり締まったレースラップであることがわかります。特に後半は12.0を連続する緩みのない展開。

おそらくは田辺が加減速を抑えることでライトクオンタムの特徴を活かそうとした結果なのだろうと推察していますが、それをスタートからプッシュして追いかけたキミノナハマリア、イングランドアイズともども勝ち馬から3秒以上ちぎられての16~18着。近年では最も厳しいオークスだったのではないでしょうか。

 

緩んだ2コーナーから向こう正面入口付近での折り合いは少し怪しかったですけどね、この12.0を余裕をもったスピードで追走して残り300からギアが上がり、手前を変えたあたりからグッと沈み込むフォームへ。ストライドもグッと伸びていました。

加速ラップでゴールしているあたりがアンビリーバブルな訳ですが、このペースでの追走は全く問題なかったということですね。まだ余力があるということでもあるでしょう。

 

ジェンティルドンナを超える6馬身差、レースレコードにコンマ3秒の走破タイム2:23.8、レース史上最高のレーティング120も傑出したそれです。新女王の戴冠式、という表現がふさわしいように思えてきました。

 

公式レースラップ

12.3-10.5-12.3-12.6-12.3-12.0-12.0-12.0-12.0-12.0-11.6-11.5

ジェンティルドンナオークスを引き合いに出しましょうか。
12.6-10.9-11.6-12.0-12.0-11.9-12.4-12.3-12.2-12.1-11.8-11.8

 

当日はスピードの持続に少しパワーを要する良馬場

ようやく週末が好天に恵まれました。当日ダートは稍重で開始していましたが芝は終日良。

9Rの調布特別はモーリス産駒のアドマイヤハレーが後方外から追い込み勝ち。切れたというより末脚に徹したことでラストまで大きく失速せず伸びきれた、というフィニッシュに見えました。

レースの上がりは35.2、アドマイヤハレーは34.0。究極の軽さを求められるという馬場コンディションではなかったでしょう。

 

リバティアイランドがつくった結界

スタートから先に挙げた3頭が先手を取りにプッシュし、逃げると目されていたゴールデンハインドがペースを深追いしない判断にしたなか、ほぼ五分にスタートを出たリバティアイランド(1歩目でよれてすぐ修正しているという所作はありましたけどね)は、ほぼまっすぐ走りながら外枠各馬のインへの寄せをブロックするような進路をとりました。

自身より内枠の馬は大きく下げたキタウイングを除いて先手争いへ参加。結果としてリバティアイランドのインはぽっかり空くことになりました。…まるでリバティがつくった結界のように、誰もはいっていけませんでしたね。

 

鞍上のスタイルと鞍下の能力の高さが重なって生まれたナチュラルなけん制。その間合いを保つことで、ラチ沿いに閉じ込められるリスクを回避しながらの追走が実現していました。

下がってくるであろう逃げ馬をあらかじめ避けるリスクヘッジと受け取っています。結果的にコーナリングにもストレスが少なかったように見えましたね。

 

強い馬がつくりだす自身に優位なポジショニング。横綱競馬という響きは懐かしさを覚えますが、端的な表現としてはこれが程よいように思っています。

 

川田将雅といえば」

年初の投稿で昨年のリーディングについてあれこれ書き記していたのですが、その結びにこんなことを書いていました。

あとはベストパートナーとの出会いでしょう。武豊ディープインパクトルメールとアーモンドアイのような、後々の語り草になる名馬とのコンビを楽しみにしています。もう出会ってもいい頃ですよね。

…もう出会っていましたね。フラヴィアン・プラの記事をまとめたときも同じことを書いたらフライトラインとのコンビで驚愕させられましたし。我ながら予言めいていて大丈夫かと思っているところです。

keibascore.hatenablog.com

 

どうやら本人も自覚しながら歩みを進めている模様。netkeibaのインタビュー記事では「今までで一番の才能と対峙している」というコメントを見つけることができました。有料記事ですので引用はこのくらいで。

news.netkeiba.com

 

2冠牝馬の今後

どうやら秋は秋華賞へ向かう公算のようで「まずは」3冠ということですね。その先はもう、どうしましょう。ドウデュース vs イクイノックス vs スターズオンアース vs リバティアイランド。ここにダービー組が加わって勢ぞろいするなら大変なジャパンカップになってしまいます。

 

その後はどこへ向かうでしょうね。海外遠征を展望するならもうひとつタイトな馬群でのクールな追走を求めたいところですが、それを秋に経験しながら次へつなげていけるのか。それもまた大きな楽しみになります。

 

ハーパーは末脚の粘りで2着

スタートしてインに寄せたところでリバティアイランドのブロックに合っていたのがハーパーでした。ルメールはそこからリバティの斜め後ろをキープ。外から押圧するシンリョクカに抵抗し続けていましたね。あそこで一つ譲るとインへ閉じ込められる恐れがありますから。

3コーナー手前で一度イン側を振り返ってからリバティの真後ろへ。本命馬マークには変わりないでしょうが、直線の進路確保までリバティに誘導してもらおうという切り替えがあったように思っています。ここまでの進捗でリバティの前方が詰まるリスクがなくなっていることも、ルメールは見て取っていたのでしょう。

 

残り300からのリバティの加速。ハーパーとの脚色を比較しながら見ると、相当な力量の差があることを思い知らされます。リバティすごいね。それでも粘りこむラヴェルを飲み込み、後方一気を試みたドゥーラを押さえての2着。

馬場差はもちろんあるとしても、走破タイム2:24.1はソウルスターリングの勝ち時計と同じ。おそらく傑出馬のいないオークスであればハーパーが勝っている競馬なのでしょう。生まれた年がわるかった、という使い古された表現がしっくり来ているところです。

そしてクイーンカップで重賞制覇しているのが川田というあたりに、リーディングジョッキーの存在感を確認できますね。

 

気になった馬

ドゥアイズはスタートで後手を踏んだのがすべてでしょう。外枠と合わせて1コーナーでほぼノーチャンスというレースになってしまいました。馬券的には対抗に推していたので、こんなにあっさり勝負圏外になってしまったのは残念。

うーん、スタートの構えにちょっと吉田隼人の緩慢さが見えるような気もしていまして(もちろんプロとして集中している前提でのわずかなものと思っていますが)。理由はうかがい知れませんが、ソダシ降板と重なる所作と移りました。邪推であってほしいところです。

 

コナコーストもスタートでしたね。出た瞬間にひとつ外のソーダズリングと接触。少し相手が寄ってきたためではあるのですが、過剰にのけぞったように見えました。結果、右→左とピンボールのように両隣の馬に激突。これで下がってしまいほぼノーチャンスとなってしまいました。

ドゥアイズ同様、ある程度の位置を取ってさぁどこまで、と思っていましたのでこちらも残念でした。

 

ラヴェルは見事でした。あの緩みのないペースを前受けしての早仕掛け。坂井瑠星が最内枠を最大限利用してこれまでの不完全燃焼を払しょくするヘッドワークを見せてくれました。できれば2着に残してほしかったですが、本人の言う通り「勝負にいった分」ということですね。勝負にいけるジョッキーであるという確認ができたのもよかったです。

 

ペリファーニアは馬体の仕上がりだけ見れば見事なそれでした。ただ武史が2400は長いと断言していたように、道中の追走スピードにアジャストできていませんでした。特にスタートから1、2コーナーは口を割り気味で力みっぱなし。この後は距離短縮になりますからその点はプラス材料になりそうです。

 

2秒の我慢について

ゲートが開くまでの「2秒」をお静かに、という川田の事前のお願い、ファンには浸透していたようですね。シーンとなっていたわけではありませんが、最後の馬がゲートインしてから大きく歓声があがることはありませんでした。

レース前にターフビジョンで同様の注意喚起がされていまして、その効果もあったでしょう。事前にJRAと協議をすすめていたことが先のnetkeibaのインタビュー記事でも語られていました。

 

ひとつ前の投稿でも書いたように、コロナやウマ娘などファン層が入れ替わっている時期でしょうからマナーの再確認が有効な時期ではあるのでしょう。一昨年、昨年と北海道の牧場各位も苦労されていましたし。

まして昨年のオークスサウンドビバーチェの放馬がありましたからね。JRAも安全確保の観点からアクションを起こすべきタイミングであったとも言えそうです。

 

毎年、来場者数ではトップにあたるダービーがどうなるか。個人的には賛同する動きですので、静かにゲートが開くのを待てるG1が定着することを願っています。

 

最後に

いやー、ダービーウィークですね。

 

週中は立ち写真をみながらソールオリエンスの怪物っぷりに震撼していたり、ファントムシーフの胸前の筋肉の隆起にテンションがあがってみたり、乗り替わりではダービーを勝てないというジンクスにファントムシーフは乗り替わりの勝率100%であると切り返す武豊リップサービスに膝を打ってみたり。一喜一憂する自分をだいぶ堪能しておりました。

枠順で大きく驚くことはなかったですね。スキルヴィングは内すぎるかな、ファントムシーフは外枠ながら本馬の操縦性と合わせると決してわるいことはない、といった感想。ソールオリエンスが抜けているならディープインパクト、コントレイルに続く3枠5番の伝説をつくるのでしょう。

 

平日の業務の締め、金曜の夕方のMtgでダービーですよ競馬の祭典ですよと宣伝したところ、何を奢ってくれるのかというシュプレヒコールが。昨年はドウデュースからのカヌレという流れだったんですよね。まぁ、なんといいますか、奢れるような結果であったほうがよいのでしょう。スイーツの祭典ではないのですけどね。

 

はい、土日の馬場状態をみながら現地観戦で結論をだしたいと思っていますが、もう買いたい馬の名前を連呼していますものね。かかり気味ということで。ええ、堪能したいと思っています。