more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第60回 札幌記念

ノースブリッジ、多くの条件を味方につけた快走でした。

 

アウスヴァールが主張してきたところをすっと控えて、外から被せるように2番手をキープして1コーナーへ進出。プログノーシスがゲートでもにょもにょしてしまいましたからね、この時点でほぼ勝負あったと思って観ていました。

他馬の主張がなければ先頭で、アウスヴァールが行けば2番手で。岩田康誠がペースをコントロールできる可能性がかなり高かったというのは本命の決め手として十分な条件だと思っていました。馬自身の仕上がりもよかったですしね。

 

実際は2番手でペースを握る展開に持ち込みました。ラップタイムは2ハロン目で強いダッシュを求められず、1、2コーナーで弛めて、あとは断続的にジリジリ持続させるスピードが求められたという内容。阪神内回りのG1のようなイメージで受け取っています。後続にとっては捲りにくいラップ構成ともいえますね。

そしてラスト3ハロンで33秒台の計時が難しい使い込んだ芝コンディション。上がりを強い武器にする馬には苦しい条件が重なったと思っています。

 

前受けする馬にアドバンテージを見出しやすい諸条件。力のあるモーリス産駒が後続をシャットアウトする展開ならジャックドールで経験済みだと脳内でつながった次第です。

前走クイーンエリザベスII世カップでは安田記念も制した香港のトップホース、ロマンティックウォリアーから大きく離されない3着。力のある馬が人気を落としてマイペースで前受けするなら。ノースブリッジ本命、上手くいきましたね。

 

公式レースラップ

12.7-11.6-12.0-12.4-11.8-11.7-11.9-11.9-11.7-11.9

 

プログノーシスは出遅れとおそらくはフィジカル面が響いての4着

「いままでにない弾けなさ」。川田のレース後のコメントはちょっと独特な表現でした。

もともとフィジカルコンディションを上げていくのに苦労してきた馬。今年の金鯱賞を振り返るコラムで「自分本来の動きができないことによるストレスが源です。気持ちよく動けない身体の苦しさがストレスとなり、そのストレスがイライラとなって表れる」という表現を鞍上がしていましたからね。全文は有料ですが、冒頭の無料部分だけでもその調整の難しさは伝わってきます。

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ゲートでごねての出遅れも、これからレースを通じてやってくるフィジカルへの負荷を先取りした、プログノーシスなりの抵抗感のあらわれだったかもしれません。「いままでにない弾けなさ」も苦しさの表れと考えるとしっくり来ているところです。あくまで外野の推察にすぎませんけれども。

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またもうひとつ、レースの進め方という点で、前走の香港で見せたようなレース中盤でのポジション押し上げ、この戦略は今回選択肢にはいっていないだろうと予想していました。あの積極策はG1タイトルを獲りに行くためのそれで、それを札幌記念でもう一度繰り出すイメージはちょっと湧きにくかったんですよね。

捲りが効きにくいペース、自身の出遅れ、前哨戦という位置づけ。いくら川田将雅と前年チャンピオンでも、これらの条件で1.4倍に押すのはちょっと過剰だったという印象です。

それでも川田は現在の状態なりにきっちり乗ってきたとも思っています(これができるからすごいんですよね、終わった後で考えると他のジョッキーだったらもっと惨敗だったかもと思わせますので)。

 

予想としてはノースブリッジ-プログノーシス馬連ワイドが本線でした。プログノーシスが弾けてなかったとすると自分の見立てもわるくなかったという答え合わせができています。

 

その他気になった馬

ジオグリフは復活を示す2着。ステラヴェローチェも同じ表現でいいと思います、洋芝への適性をみせて3着。どちらも前々で立ち回れることをしっかりアドバンテージとして活かした形。特にジオグリフは近々の調子のよさがようやく結果に結びついた印象です。2歳の札幌では圧巻のパフォーマンスでしたからね。

 

シャフリヤールは5着。鞍上武豊は本来の脚を出せなかったとコメント、勝負所で前が下がってくる展開もあり、ペースへのアジャストも難しかったようにも見えています。ただし、序盤からチャックネイトと再三ポジションを主張しあって接触していました。レース中の消耗も激しかった可能性はありますね。本来の脚を出せなかったというコメントは、この消耗を指しているかもしれません。

 

ドゥラエレーデはいいところなく後方ママで10着。ジョッキーカメラの映像ではゲートで座りそうになっているとの藤岡佑介のコメント(叫び?)が確認できます。

エルムSから中1週でのダート→芝替わり。さらに鞍上は乗り替わりをニュースで知ったとのこと。関係者とコンセンサスがとれていないオーナーシップにあまりいい印象はもてませんでしたね。過度の人為性があのゲートとパフォーマンスに結びついたとは言いすぎではないように思っています。

こなせるレンジが広めであるが故にレース選択に難しさがあるようにも思いますが、人馬ともしっかり準備した中で大きなレースに臨んでほしいと思った次第です。

 

誘導馬の騎乗目線

ジョッキーカメラに続いて、面白い試みでした。オリンピック馬術団体の銅メダリスト、戸本選手が札幌記念誘導馬に乗り、そのジョッキーカメラ(誘導馬カメラ、と書いてますね)が公開されています。

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札幌のパドックから本馬場までの間、ファンが見学できるように設計されているのは知っていましたが、それを誘導馬目線で確認できるのはなかなか面白かった。ファンの熱ってこういう形で入場する人馬に伝わるんでしょうね。

動画のラストのほうでサングラスでビシッとした藤原の親分が誘導馬の鼻面をなでに来るところも味わい深いオチでよいと思っています笑

 

最後に

当日はウインズ汐留で観戦していました。汐留自体かなり久しぶりでしたが、エクセルフロアに立ち入るのは初めて。これがなかなかよかったですねー。

 

エクセルフロアは8、9階と2フロア。8階の席は個別に仕切られていて手元にモニターがあり、一方9階は特急列車のような座席が複数のブロックを形成していて、それぞれ正面と斜め上に大きめのモニターが複数配置されているレイアウト。どちらを選ぶかはその時によるなーと思いつつ、程よい広さと収容人数という印象でした。

 

9階には食事ができるレストコーナー。自分はお昼を大きく過ぎて到着したのでカツが売り切れていまして、ミニカツカレー丼とラーメンを組み合わせる汐留セットを断念しかけたのですが、とりからへの変更提案をいただいて汐留セットダッシュにめでたくありつくことができました。店員さん親身でよかったですはい。

レストコーナーの窓際の席からは、ゆりかもめとビル群、その向こうに浜離宮と、なかなか趣のある眺望が広がっていました。ラーメンの味とテーブルクロスについてはかなり懐かしい趣でしたので(丁寧に表現してみました)、このあたりにアップデートの余地はあるように感じたことも併記しておきたいと思います。

 

新橋駅から歩くと少し距離がありますが、渋谷駅→ウインズ渋谷よりは近いでしょうね。落ち着いた競馬観戦の選択肢が増えてよかったというのが率直な感想でした。札幌記念の最後の直線で「武史!来いや!」「そうや!そのまま!」みたいに一部はヒートアップしてましたけどね。また足を運んでみようと思っています。