more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第18回 ヴィクトリアマイル

ソングライン、インから差し切るとは。恐れ入りました。

 

直線外に出せない流れは先週のエエヤンとほぼ同じ運びだったんですけどね。Bコース替わりながら降雨でインが荒れていった土日。直線に向いてから有力馬が馬場のよい外へ流れていく中、外への進路をカットされたソングライン戸崎のイン突きが決まりました。

レース後のインタビューから、馬場をとらえる走りができるという手ごたえはあったようです。が、やはり戦略的にあの位置にいたかったわけではなかった様子。外を走りたかったことにも触れていますね。

 

ペースもポジションも受け。戸崎ならではのレース振りという印象があります。ジャスタウェイ安田記念も思い出しましたね。ポジション<馬のリズム、というあたりは善臣先生にも重なるように感じました。

 

昨秋に喉の腫れで米国遠征を取り止め。サウジアラビアでは展開にスポイルされての惨敗。噛み合わなかった時期がありましたが、この日の仕上がりは見事でした。インから勝負する選択にも陣営の調整が大きくものを言ったと思っています。

 

公式レースラップ

12.1-11.0-11.1-12.0-12.3-11.3-11.0-11.4

 

昨年の安田記念のレースラップは以下。通った位置は違いますが、レースラップの緩急は近しいですね。

12.2-11.0-11.5-12.0-12.0-11.2-11.0-11.4

 

土日の雨でインが荒れ気味の馬場コンディション

土曜は断続的に雨。それでも良馬場をキープできるのが府中のスポーツターフですね。

メインの京王杯スプリングカップも良で行われて、レッドモンレーヴが外から上がり32.6で後方一気を決めていました。前々で運んだダディーズビビットが33.5、コース取りで仕掛けが遅れたアヴェラーレが上がり最速の32.5。速いラップは刻めるコンディションでしたね。

 

馬場とは少し異なる切り口ですが、ゾンニッヒが不利なく馬なりで登坂しながらゴール前失速していたのがちょっと気になりました。ダミアン・レーン、得意でないパターンかもしれません。覚えておこうと思っています。

 

そして日曜はインから2、3頭分を開けるジョッキーが多かったですね。開いたインにはいった馬はなかなか伸びていない傾向。内枠からインをキープしなければならない馬には不利という見立てでした。…だからびっくりだったんですよね。

当日15時過ぎから一気に雨脚が強くなりましたが、直前の雨ですからね、レースに強い影響はなかったように思っています。

…強いて言えば、スターズオンアースの加速にはマイナスだったかもしれないですね。これを書くと負け惜しみみたいになりますけど。

 

ソダシは外枠から先行して僅差2着

スタートから最内枠を利してロータスランドの逃げ。ソダシにとってはやりやすい流れになったものと思います。破綻のない緩→急→緩のレース展開になりました。

馬場コンディションは異なっていますが、昨年とラップの緩急の波は相似形。その展開を4コーナーで先頭に出る勢いで追走したわけですから、自分のレースはできたものと思います。

 

連覇はなりませんでしたが、1年後の同じレースでほぼ同様のパフォーマンスを示すというのはいろいろな意味でタフですね。2歳G1を制した馬の息の長い活躍は陣営のケアの賜物。今浪さんは次走安田記念までとのことですが、もう少し見ていたいコンビですね。

 

ソダシの乗り替わりについて

テン乗りとなった鞍上レーン。見事な組み立てという一方で、向こう正面でのインへの寄せでナミュールが挟まれて下がってしまう展開も招きました。インでソングラインもリズムを崩していますね。

この挙動の制御、吉田隼人ならもっとセーフティかつ攻めた形が作れたのではと思っています。安田記念でセリフォスが決まっていることも含めて、今回レーンである必然性は低かったのかなというのがいちファンの身勝手な感想です。

 

個人的にはソダシのパフォーマンスや戦歴にこそプライドを発揮してもらって、もう一度吉田隼人が騎乗依頼を受けることを望みますが、気持ちよく乗ることは難しいかな。

 

スターズオンアースはスタートが決まるも3着

大阪杯に続いて見事な仕上がりでした。パンパンの良馬場ならもっと信頼できたと思ってパドックをみていました。

スタートでましたねー。直前にゲート練習をしていたのは確認できなかったのですが、その効果はしっかりでたようです。そのままサウンドビバーチェの後ろに収まり、外枠馬のごちゃつきの影響も受けずに済みました。

 

結果としては上位2頭には差し届きませんでした。マイルのペースが合わなかった、直線ソダシが邪魔になった、といった分析的なコメントも目にしましたが、どちらも異なっているでしょう。ラストまでしっかり伸びていますし、上がりはソダシと同じ33.6ですし。力を出し切れないペースではなかったという認識です。

 

残り400m、登坂部分で追い出してから少しソダシに離される時間があるんですよね。そこからルメールがソダシの外に進路を切り替えて加速していきます。

この置かれてしまう場面、馬場を捉え切れなかった降雨の影響なのか、トップマイラーのパワフルな加速には少し及ばない能力の質の差だったのか、なんとも形容しがたい瞬間だなぁと思っているところです。

内枠もペースも克服しましたが、府中マイルのG1ウィナーである2頭に適性の差で負けた、という言い方が妥当な気がしています。翻せば相手の得意な舞台でよくぞここまで追い詰めた、その点を褒めるべきと思っています。

 

春はこのまま休養し、秋に備えるとのこと。早速イクイノックスと鞍上が被る問題について声があがっておりますが、国内を問わないローテーションの検討をお願いしたいところ。もうひとつタイトルが欲しいですものね。

 

その他気になった馬

先行馬とインを進んだ有力馬が直線を押し切っていますので、外をまわる馬 or 後方待機した馬には勝機が少ない展開だったという認識。アンドヴァラナウトやサブライムアンセムは2、3着より速い上がりでそれぞれ11着、13着ですからね。展開スポイルと言うべきでしょう。

その中で期待したナムラクレアは8着。マイルをこなしてはくれましたが、同様に展開にスポイルされたと考えるのが妥当と思っています。今後はキーンランドカップからスプリンターズSとのこと。今度こそG1タイトルを獲ってほしいです。

 

最後に

当日は現地観戦でした。パドックではソダシ白いという端的な感想を覚えたり、直前の雨に悶絶するなど、満喫できたということではありますね。

 

本馬場入場で1頭ずつ紹介されるたびに拍手がおこる場内の雰囲気にはちょっと驚きを覚えました。何といいますか、ファン層が入れ替わっているなぁという実感が得られましたね。あ、好意的に受け止めていますよ。

 

すでにオークス前日ですが、リバティアイランドの追い切り後インタビューで川田が声援に関するお願い事をしていました。

最後の馬が枠入りするところで声援が大きくなることを指して「3歳牝馬の繊細な女の子たちがお客さんの目の前でゲート入りしてスタートする」「陸上競技のスタートと同じように」盛り上がるタイミングを少しだけ我慢してほしいとのこと。

リバティアイランドに限った話ではなく、競走馬の特性を踏まえた応援のありかたというお願い事と受け取りました。とても穏やかなトーンで話していたのが印象的でしたね。5:48あたりから見ていただけると。

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先ほど書いたファン層の変化を踏まえると、応援のありかたに関係者から明確なメッセージ(指針)を出していくにはよいタイミングなのではないかと感じた次第です。

 

レース直前の期待値マックスになっているテンションで手拍子や声援がトーンアップするのはよくわかります。馬券も買っていますしね、自分も心中はドキドキです。

ただ個人的にはファンファーレ時の手拍子と声援は控える姿勢で臨んでいます。やっぱり応援する馬やG1レースにたどり着いた馬たちが全力をだせることに協力したいという思いが勝るんですよね。自分以外の方にお勧めするつもりはないのですが、これはずっと変わらない姿勢でしょうね。その分レース後は爆裂してますよ。

川田のお願いがどれくらいの影響を及ぼすのか、オークス当日は現地で見届けたいと思っています。

 

…そうそう、そのインタビューで川田の左頬が時々ピクッと痙攣しているのが気になりました。2冠へのプレッシャーを自分に課しているのかな。いい形につながってほしいところです。