more than a SCORE

1996年から競馬を開始。20年続けてなお楽しんでいくための備忘録を兼ねた日記。

第39回 マイルチャンピオンシップ

セリフォスの追い込み一閃、G1に届きました。

 

序盤で位置取りを下げたときに「これで圏外かな」と思っていたんですけどね、直線の伸びは際立って見えました。スロー寄りに展開して中団外から直線真ん中に展開できることが勝つ馬のポジショニングと読んでおり、大外一気は届かず3、4着とイメージしていました。逆でしたね。。。

ダミアン・レーンのハンドリングは負けられないプレッシャーを背負ったそれではなかったでしょう。直線外にだせるように、という配慮はありつつ、縦のポジションにはあまり執着していないように見えていますので。6番人気というある種の気楽さが生んだ後方一気と受け止めるのが適当とも思っています。

 

でもこれがセリフォスの武器になりそうですね。結果的に(と思っていますが)ワンテンポ遅れて追い始めた富士Sと似たリズムを感じています。

切れ味勝負のレース展開でさらに他馬より切れる。前受けしてスピードとパワーで押し切るダイワメジャー産駒の傾向からは外れる印象です。異形のダイワメジャー。ひょっとしたらダイワメジャーの血脈をつないでいくのはセリフォスかもしれませんね。

 

公式レースラップ

12.2-11.2-11.7-11.5-11.9-11.6-10.8-11.6

 

当日の雨は先週ほどではなく

前週のエリザベス女王杯は相当に内外のギャップが強く出ていましたので、やっぱり週末の雨はいやだなぁと思っていたら今週も雨。。。土曜夜に少し降って朝まで残る、という天候だったようです。

日中の芝レースではインから2~3頭目を開ける傾向が徐々に強くなっていった認識。ユタカさんのコース取りを見ていたのですが、朝いちの未勝利ではインを選択、午後の秋明菊賞は一転して外を選択していました。秋明菊賞のほうが内枠(3番)だったんですけどね。という狙い方も参考に、でも前が決定的バテるわけでもないという印象も受けておりました。

 

本命ソウルラッシュは微妙な切れで4着

スタートから少しポジションを求めにいったようです。ペースが上がらないと読んでいたのでしょうね。ダノンスコーピオン川田も前々、ファルコニア池添に至っては外枠から外々を回る懸念もあったでしょう、思い切ってハナを切ったピースオブエイトに並びかけるところまで攻めていきましたから。

松山は出していった後、馬の気持ちを収め切れずにいたようです。馬の後ろにいれることができなかったと反省のコメントを残していますが、外枠が当たっていますしね、やむを得ないと言うべきでしょう。

残り400からの10.8を引き出すには少しペースを追い過ぎたようにも思いますが、さすがにそれを求めるのは酷。馬場もペースもピンポイントで読み切るヘッドワークが必要になるでしょうから。

積極策を取った分の4着。府中より京都より阪神マイルというイメージでいますので、獲ってほしかったなぁ。香港は回避して来年に備えるようですので、来年どこかで大きいところを。期待しています。

 

ソダシは不利な流れで3着に健闘

強力な逃げ先行馬がいないメンバー構成。もう少し中盤のペースを引っ張ってくれる存在があれば、もっときわどい勝負に持ち込めたかもしれません。吉田隼人はあらかじめインから3列目を通って、勝負所でバテてくる馬をあらかじめ避けておくポジションをキープしていましたね。このあたりはさすがの判断だったと思っています。

直線の切れ味勝負、かつ直線半ばではショルダーチャージを我慢しあう瞬間も生じましたから、これらを乗り切るだけのトレーニング、コンディショニングが十分だったと受け取っています。

トロールビデオで見ると内からぶつけられてもヨレる素振りがほぼ見られないという。筋力も体幹もすばらしいそれでした。その引き換えというべきか、鞍上がレース前にコメントしていたようにより短い距離にシフトしてきた印象はパドックや走りを見て自分も感じているところです。

どうやら来年に備えて休養に入る模様。現役続行という方針に若干の驚きを覚えつつ、来期はどこを目標にするのか。ワンターンの左回りという意味ではヴィクトリアマイル連覇かな。サンタアニタパークブリーダーズカップだとちょっと小回りですかね。

 

ダノンザキッドは低評価を覆しての2着

4コーナーでは思ったより後ろで、捌ききれるかという不安を覚えました。空いたスペースに飛び込んでからは4頭ほどで狭いスペースを主張し合う場面も。これらの展開をはねのけての3着は立派のひと言ですね。テン乗り新馬戦以来だった北村友一も上手くリードしてくれたと思っています。

 

昨年の走破タイムとコンマ1秒しか違っていないのですが(もちろん馬場コンディションは加味しなければいけませんが)、個別ラップタイムをみると昨年と異なる運び方を読み取ることができました。個別ラップはmahmoudさんのサイトから引用しています。

2022年、ダノンザキッド個別ラップ
12.73-11.26-11.85-11.66-11.73-11.25-10.74-11.53

2021年、ダノンザキッド個別ラップ
13.08-11.46-11.88-11.90-11.61-10.91-10.61-11.41

今年のほうがテンに速く、いったん緩めてから後半の加速につなげています。2021年は前半4ハロンは今年ほど速いラップを求めず、後半3ハロンで目いっぱいアクセルを踏んでいったラップ構成に見えますね。

特に残り4ハロンと残り3ハロンのラップ差は川田将雅北村友一のアクセルの踏み方の差がよく表れているように思っています。勝つためのアプローチはひとつではない、と思いつつ、ダノンザキッドの特徴には北村友一の踏み方が合っているように感じました。

 

思い入れ的には師弟コンビでもうひとつG1を、と思っていますけどね。ようやく馬体が完成期にはいったように見えるあたりジャスタウェイ産駒なのかもしれません。このあとは香港カップへ転戦ですが、どうやら川田はリバティアイランドかな。鞍上はどうなるでしょう。

 

その他、気になった馬

シュネルマイスターはエアロロノア武豊に直線の進路を消されて末脚不発。エアロロノアも7着に粘る力をもっていましたから、1番人気に簡単に進路を譲る武豊ではないですよね。内枠発走から外へ展開したかったであろうルメール。順に川田、松山、武豊と、道中から直線まで外に壁が立ち塞がり続けた格好になりました。

とはいえ、それだけが敗因ではないような。前走スプリント戦を使ったことで思った以上に力んだ追走になった模様。NHKマイルカップよろしく、前半のリラックスから後半の追い込みにつなげるのが本馬の特徴でしたからモデルチェンジ?にしてはかなり切れ味が削がれてしまったような。。。次走香港マイルは展開よりもマイペースを貫く姿がみたいですね。

ダノンスコーピオンは先行したことで前進気勢が過剰になってしまいました。そこに川田がパワーで抑え込みますから3コーナー手前で首をブンブン。この前半のロスは大きかったでしょう。

46.6-45.9の後継ラップのレースでスタートから出していって前半力んでの後半失速ですから、ちぐはぐな内容になってしまいました。これが若さと結論付けてよいものか。。。次走は香港マイル、こちらも鞍上が気になります。

ジャスティンカフェはインで不利を受けての6着。こちらも7番枠というイン寄りの枠から、外に進路を確保できなかった1頭と理解しています。結果的に不利が主な敗因になりましたが、もともとコース選択の難しさを抱えていた側面は押さえておくべきと思っています。セリフォスの後から外に出しても、ね。

サリオスは馬場が合わずの15着大敗。サウジアラビアロイヤルC毎日王冠2勝、府中の良馬場開幕週で重賞3勝している馬は珍しいでしょう。速い馬場に適性がある分、疲労の蓄積もまた大きいと推測しています。もともと右トモが弱く、3歳の香港遠征は回避していますし、今回も調整の難しさがあったかな。

 

最後に

もう明日はジャパンカップ。本当はもっと早くまとめたかったのですが、平日の業務に加えて、この金土は金沢へ旅行に行っておりまして。思いついてから半月ちょっとでしたのでなかなかの強行軍でしたが、あちこち見て回ることができました。香林坊から片町、同じ道なのに1区画移動するだけで街の雰囲気が変わるあたりに、金沢に来た手ごたえを感じておりました。

刺身もお寿司もおでんもいただきましたが、金沢港で働く方向けの食堂で食べたカツカレーが一番印象的という。いわゆる出汁の効いたお蕎麦屋さんカレーに玉ねぎもたっぷりで、うま味と甘味が際立った美味しさだったのですが、何十年も船員さんの仕事を支えてきた味なのだろうなと推察が及ぶと何とも味わい深く。

観光客が押し寄せるのにすっかり慣れた佇まいでしたので気にすることはなかったのでしょうが、何かお邪魔して申し訳ないという心地でおりました。もともとカレーは好きですからね、そっちが大きいかもしれません。

 

というわけで、ようやくジャパンカップの予想に取り掛かり始めたところです。いまのところ、シャフリヤールの直後に控えて直線外から差し切るダノンベルーガ、というイメージが一番強く。ただ、インの馬場が土曜より切れ味を担保するなら、ヴェルトライゼンデの一撃を期待するのもアリだなと思っています。

33秒前半の切れと回転の速いピッチ走法に寄った末脚。勝ち切るのに必要な要素はこれかなと推測しているところです。その点で他の有力馬よりヴェラアズールはちょっとだけ劣るかな、と思っています。でもライアンですものねーどうしましょう。

明日は納得して本命を指名できるのが大事ですね。現地観戦、堪能したいと思います。